α7s登場

SonyからEマウントのミラーレスカメラ「α7S」が6月20日に発売される事が発表された。
同時に先日記事にしたα77IIも国内発売される事が発表された。

超高感度“ISO409600”での撮影

今回発表されたα7sの最大の特徴は、超高感度画質に対応し、なんとISO409600で撮影が可能になった事だろうと思う。
…正直、これだけの高感度撮影が必要なのか? という疑問もあるのだが、Sonyがそういう仕様で発表したという事はこの超高感度撮影を望む声がある、という事だろう。
ま、私には不要な領域である。
今回のα7sに搭載されているイメージセンサーは、旧来のα7シリーズよりも画素数がかなり少ない。
α7Rでは約3,640万画素だったし、α7では約2,430万画素だったが、今回のα7sではわずか約1,220万画素しかない。
高性能=高画素数という図式でモノを語る昨今の宣伝戦略では理解できない話かもしれないが、コレこそが私が以前から「高画素数=高画質ではない」と行っている所以である。
総画素数を減らす事で、1画素あたりの高感度、高画質を狙ったのが、今回のα7sである。
画素数が多いという事は、その総数で入ってくる光を分けるという事だから、当然高画素数になればなるほど1画素あたりの光量が減る。逆に画素数が少なければなるほど、1画素あたりの光量が増えるのだから、そうした光量という側面から見ても高画素数である事が高画質という話ではない。この辺りは絶妙なバランスで考える必要があるのである。
4K動画可能な高感度カメラ搭載されるイメージセンサーはもちろん新開発品で、オンチップマイクロレンズはα7Rと同様のギャップレス構造を採用している。さらに新世代のRGBカラーフィルターを搭載した事で、α7と比較してセンサーの感度特性が3倍になった。高感度撮影が可能になった背景には、前述の画素数の問題だけでなく、こうした新機能を搭載した事で実現しているワケである。
これらの技術で、最終的には飽和信号量が約2.3倍向上し、ダイナミックレンジが広がったと言える。
こうしたセンサーで撮影された絵は、最終的にα7R/α7と同じBIONZ Xで画像処理される。

4K動画撮影OK

今回のα7sは、35mmフルサイズセンサーを搭載したデジタルカメラとしては初めて4K動画の撮影に対応している。
4Kとは3,840×2,160ピクセルを言うが、α7sは画素加算がない全画素読み出しでHDMI出力できる機能を有している。もちろんフルHD(1,920×1,080ピクセル)でも同じだ。この事でジャギーやモアレを押さえた動画撮影が可能になったとする。
と、ここで勘違いしてしまわないように先に言っておくと、今回のα7sの4K動画はカメラ本体だけで録画する事はできない。4K動画を録画する場合は、外付けレコーダーが必要になる事には注意が必要だ。
先日Panasonicから4K動画撮影可能な「LUMIX DMC-GH4」が発表されたが、こちらは単体録画が可能であるため、比較すればα7sの方が劣っているように感じるかもしれない。
ま、録画機能は性能とトレードオフで外付けした、と考えれば、α7sは撮影機能に特化した動画カメラと言えなくもない。HDMI出力できるのだから、4K画質でネット配信するだけなら、このα7sだけ可能、という事になるだろう。…そんな事する人がいるかはわからないが(爆)

超高感度センサーになった利点?

一部は前述したが、基本的な機能等については、Sonyの公式プレスリリースを参照してもらいたい。

Sony プレスリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/201405/14-0516B/

今回のα7sで、私が意外に思ったのが、像面位相差AFを搭載していなかった事である。
ミラーレスカメラで像面位相差AFを搭載すると、イメージセンサー内に像面位相差センサーを埋め込まねばならないため、画質に不利に働く事は分かるが、高機能機になればなるほど、一般的にはAFスピードもその必要要件が厳しくなる傾向にあるため、私は今回の機種には像面位相差AFが搭載されるものだろうと思っていた。
ところが、α7sでは、コントラストAFのみ搭載し、像面位相差AFは搭載されていない。
何故だろう? と思ったのだが、今回のα7sでは超高感度撮影が可能になった事で、全体的な映像のコントラスト分析がより緻密にできるようになったのかもしれない。その事でコントラストAFの精度がかなり高くなった…のではないだろうか?
実際、センサーの感度が上がったことで、以前では合焦できなかった-4EVという暗所でも合焦できるようになった、とされている。
コントラストAFでは、コントラスト差の少ないシーンではAFスピードが落ちる傾向にある。というか、場合によってはフォーカスできない事もあり、今回のα7sでは、そうした暗所でフォーカスできるようになった事を考えれば、全体的にコントラスト分析がより緻密化した可能性は高い。
ミラーレスでは画質的に不利に働く像面位相差AFを搭載するよりも、こうしたコントラスト分析がより緻密化する方が高画質・高性能化に繋がるのかもしれない。

今回のα7sも、昔ながらのカメラ的スタイルではない。
ま、これはα7R/α7の流れから作られたカメラであるため、仕方のない話かもしれないが、やはり残念な感じがする。
何時も言っている事は同じになるが、カメラは小型で軽いモノが良い…というのもわかるが、できればボディスタイルは先祖返りして欲しいものである。
…Sonyにそれを望むのは無理かもしれないが。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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