今年辺りに4KのPCモニターが多数発売される、と私は予想していた事を、このBlogを見続けている人は覚えているかも知れない。
実際発売されている事は間違いないが、決定打が足りないと考えている人も少なくはないだろう。
テレビ業界から現れた異端児
東芝のREGZAシリーズと言えば、液晶テレビの雄である。
ソニーのBRAVIA、パナソニックのVIERA、東芝のREGZAと言えば、液晶テレビを買おうという人からすると知らないブランド名ではないと思う。
これらブランドから発売されている4Kテレビは、ほとんどが50型以上の液晶サイズで、居間にドンと居座る大型テレビ、というイメージが強い。実際私もそうである。
ところが、今期発売された東芝のREGZAシリーズに40型の製品がある。
4Kで40型。
居間に居座る大型テレビとしては最近では40型は決して大きいとは言えない。
実際、東芝以外のメーカーはこの40型という製品を展開していない。
この40型というサイズは「パーソナルユース向け」を意識したサイズと言え、それは近年求められている4Kディスプレイというニーズに応える製品である。
つまり、私と同じように広いデスクトップを求めるニーズが、この40型4KモニタREGZAを企画させたといえる。
パーソナルだからこその液晶パネル
このREGZA 40J9Xは、実勢価格が25万円(最安値では20万円を下回る)と、最近大陸や半島から登場する4Kモニターから比べて価格は高い。
それもそのはず。パネルが違うのである。
使われているパネルは、広視野角のIPS型液晶パネルではなく、暗部階調特性に優れたVA型液晶パネルを採用している。ちなみに私が使用しているディスプレイもVA型だ。
このVA型は視野角だけでいえばIPS型液晶に劣る事は間違いない。特性がそうなんだから仕方が無い。但し、近年のVA型液晶パネルもかなりIPS型に近いところまでの視野角は得られている為、そうそう問題視する必要はない…というか、もともとパーソナルユースを目的としている場合、画面のど真ん中に居座るのが使用者本人である事を考えると、そもそも視野角は問題にはならないハズだ。
それよりも、暗部階調特性に優れる事で、より良い画質で映像を得られる…と考える方が良いだろう。さらに付け加えれば、IPS型よりもVA型の方が応答速度が速く動画に有利である事も利点の一つである。
私が数年前にVA型液晶モニターを選んだのも、もちろんこの理由である。
他のスペックでいうと、ディスプレイ部の外形寸法が91.8×6.7×55.0cm(幅×奥行き×高さ)、画面サイズは88.5×49.8cmで、上と左右の額縁幅は14mmと狭額縁仕様になっている。
また、バックライトは白色LEDによる直下型とこれも40型というサイズでは実に珍しい仕様だ。直下型とする事で鮮明な映像が得られる利点は、何物にも代えがたいと私などは思う。但し、狭額縁仕様であるため、外周部5mm幅ほどが若干暗くなってしまっているが…40型の外周5mmである。さして大きな問題とは言えないだろう。
このパネルスペックに、地上デジタル放送チューナ3基、BS/CSデジタル放送チューナ2基が搭載され、さらにこのうちの2チューナ分の放送をUSB接続したHDDにダブル録画できる性能を持っている。この接続可能なHDDの最大対応容量は1台あたり4TBで、最大4台同時接続にまで対応する。
さらにいうと、このREGZA 40J9Xは、その動画性能も実に優れていると言える。その詳細は割愛するが、応答速度的遅延問題はほぼ皆無といっていい。だからゲームに使用しようが、映画を見ようが、残像が気になるなんて事はまずない。東芝は、昔からこの応答遅延に対し真っ先に対応してきたメーカーであり、そのアタリに抜かりはない。
PCとの接続に難あり?
REGZA 40J9Xそのものの性能は分かったかと思うが、問題はパーソナルユース向けとして使用する上で問題となるPCとの接続である。
PCの接続端子として現在使われているのは、DVI-I、Display Portといったところが主流で、HDMIはどちらかというとオマケ的な扱いになっている。
実際、ビデオカードに搭載されているHDMI端子は、そのほとんどがHDMI 1.4対応止りで残念ながら4K対応となるHDMI 2.0は採用されているケースがほとんどない。
REGZA 40J9XはHDMI 2.0対応端子が4系統あり、x.v.Color、DeepColor、3D立体視、CECと言った主要機能にも全て対応する。例外としてARCのみはHDMI 1のみの対応となっている。
他に搭載されている端子はアンテナ端子2系統、コンポジット1系統、LAN端子、光デジタルout 1系統、SDカードスロット1基、USB端子3系統(ビデオカメラ用ミニUSB端子1基含む)といった感じで、PCと接続できる端子はHDMI端子しか存在しない事がわかる。
PCとの接続がHDMI 1.4対応までということになると、4K出力は30Hz(30fps)までか、2,560×1,440ドット(60fps)程度までの出力になるワケだが…これでは折角の4Kモニターでもフルスペックで利用することができない事になる。
ここで救済というわけではないのだが、最近のNVIDIA系ビデオドライバでは輝度情報だけを4Kフル解像度で出力し、色情報をフルHD相当で伝送する「YUV=4:2:0の4K出力」をβ版としてドライバに搭載、サポートを開始している(GeForce 340.43 Driver BETA)。これを利用する事で、HDMI 1.4でも完全とは言えなくてもほぼ4Kで60fpsを実現可能になる。
この機能を利用することで問題となるのは、ディティール情報の多いケース、つまり文字主体の映像出力だと、偽色が出やすいという事。おそらくゲームやビデオ映像といったものであれば視覚的に問題を感じる事はないだろう。
接続端子の統合はないのか?
正直、このREGZA 40J9XをPCモニターとして使用するというのは、理想の一つでもあるかもしれないが、それでもイマイチ感を私は感じている。
PCのビデオカード側がHDMI 2.0対応するか、テレビ業界がDisplay Portをサポートするか。
私はこのどちらかが成立してはじめて、このREGZA 40J9Xはホントの意味で真価を発揮すると思っている。
映像業界とPC業界は未だにこの辺りの繋がりに壁があるようで、接続端子の規格に統一性がない。
もともと、アナログ系の電気信号の時はそれぞれの業界が最適と思える形で、映像信号を規格化しなければならなかったかもしれないが、今のデジタル時代に入ってからは、このあたりを改める必要があるのではないかと私は思う。
映画もそうである。最近フィルムを使っている所などないだろう。
地上波のテレビ信号ですら今はデジタルになりアナログは存在しない。
PCの映像信号もデジタル化しているわけで、これらを統合する動きがあって然るべきではないかと思うのである。
この差があり続ける限り、テレビをディスプレイとして100%有効活用しようとしても問題は残るだろうし、その逆もあり得る話だ。
でも映像作品はほぼPCで作られる時代であり、そのPCで作った(編集した)映像をテレビや映画館で再生している…今はそんな時代である。
インプットされるデータが同じなのに、アウトプットされる規格が統一されていないという、いち消費者である私からすると、なんでこんな複雑な事をしてるんだよ? と思わざるを得ない。
このアタリ、国際的に標準化する団体がもっと手を取り合わないといけないのではないだろうか?
ちなみに…40型をPCモニターとして使うのは大きすぎない? という疑問があるかもしれないが、それは杞憂というもの、と言っておこう。
40型は20型の面積を4倍にしたものであり、縦に2画面、横に2画面拡大したものである。
今、自分の目の前のモニターが仮に21型クラスだとすると、面積を単純に4倍にしたとして想像してもらいたい。
多分…大きすぎると感じるのは、置くスペース的な問題だけで、見やすさや視野角だけで考えれば、大きすぎるという感じではないのではないだろうか?
目の前50~60cmの位置に、その40型のモニターがあると想像すれば、臨場感が増したモニターが目の前にあるように想像できるハズである。
つまり、今の時代はその大きさを違和感あるものと捉える時代から、より臨場感あるものと捉える時代へと変化してきたという事。
実際、株のトレーダーなどは20型クラスのモニターを6画面、8画面と並べて使用しているケースもある。
時代がそうさせてきたワケであり、既に違和感はない時代と言える。
つまり、REGZA 40J9Xは、確実にパーソナルユース向けのテレビ兼PCモニターとしての位置を占めている。
もし、大画面で個人的に使いたいモニターとして4Kモニターを探しているのなら、このREGZA 40J9Xをぜひその候補に入れてもらいたい。
ま、価格で引っかかる人がいるかもしれないが…。
PCのモニターとしては、ソフトウエアーがウインドウを重ねて表示したくない時に大型モニターは便利かもしれません。複数のモニターを使うよりもいいかもしれません。それから、21型モニターに対し、40型は面積2倍ではありません。約4倍だと思います。
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今回、私は4Kモニターを諦め、34型ウルトラワイド液晶へと進みました。
横幅が大きく改善され、縦幅も200ドットくらい拡大したので、従来では表示できなかった複数のウィンドウを表示できるようになり、かなり便利になりました。
広いという事と、大きいという事は別モノだな、と感じております。
ま、4KモニターもOS全体の解像度が見直され、定着さえすれば、もっと小型で高精細なパネルが一般化するのかもしれませんね。
画面の大きさは対角線による大きさで表されるので、確かに21型モニターに対して40型は面積4倍ですね。
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