先日、E-M1のファームウェアver4.0が公開になった。
深度合成とは
今回のファームウェアアップデートの最大のポイントは、何と言っても「深度合成モード」ではないかと思う。
深度合成というぐらいだから、合成写真の機能である事は想像に難くないのだが、実際には何をするものなのか? 知識のある人なら解るが、ない人からすると何を言っているのか? と思う話だと思うので、私なりに簡単に整理してみたい。
マクロ撮影などは、被写界深度が非常に浅い撮影になる。被写界深度って何? という人は、ピントの合う範囲と考えれば良いだろう。とにかく、マクロ撮影などで被写体を大きく撮影しようとすると、ピントの合う範囲が極端に狭くなり、先端部分を撮影するとその被写体のすぐ後ろ、例えば犬の鼻を撮影すると、場合によっては目の辺りは既にピントが合っていない、という現象が起きる。
鼻を大きく写してもせめて顔ぐらいまではピントがあった画が撮りたい…そう考えた時に役立つのが「深度合成モード」である。
これはフォーカス位置をずらした写真を8枚連写し、その8枚の合焦した部分をカメラ内で自動合成する機能である。
だから先程の例なら、おそらく犬の鼻先、鼻の付け根、目、耳、首…とそれぞれのピントがあった写真が撮影されて、最終的にそれらを合成すれば、犬の鼻先から首くらいまでピントのあった写真が撮れる、というワケである。
これはマクロレンズを持っている人からすると、絶対的に便利な機能だと言える。
マクロレンズはとかくピント範囲が狭い。狭いから、ホントに撮りたい所だけピントが合い、その他はすぐにボケ味のある写真になる。
これはこれでピンポイント的な写真にはなるのだが、小さなものを撮影した場合は、背景だけボケさせて、小さな被写体はピントの合った写真にしたい、と思う事は多々あるハズだ。
そういう時、この深度合成モードがあれば、カメラが自動的にそれを実現してくれるのである。
ホントはフォーカスブラケット
で、この深度合成モードだが、ピント位置のずれた複数枚の写真を撮影する所までの機能を「フォーカスブラケット撮影」という。
「深度合成モード」は、この「フォーカスブラケット撮影」のプリセット機能みたいなもので、フォーカスブラケット撮影で撮影された複数枚の写真を合成するだけの機能である。
だから、別にカメラ内で合成しなくても良い、というのなら「深度合成モード」を使わずに「フォーカスブラケット機能」で撮影だけしておき、後からPCで合成する、という事もできる。いや、多分そうした方が良いかも知れない。
というのも「深度合成モード」ではピント位置のずれた写真を8枚まで撮影するが「フォーカスブラケット撮影」機能では、連写枚数が最大999枚(といっても記録時間との兼ね合いで制限はできると思う)と絶対的に多く撮影できるからだ。
ただ、多すぎると画の端々までピントの合う写真になるため、そこら辺は調節した方がいいだろうし、場合によっては「深度合成モード」の方が自然な写真に仕上がるかも知れない。
どちらにしても、フォーカスブラケット機能が使えれば、深度合成写真が簡単に撮影できる、という事に間違いはない。
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