日本語配列版が出た

コレは使えそう!

願い、叶った?

2016年10月23日に、当Blogでも紹介した、台湾Mistel製の左右分離キーボード「Barocco」だが、その時には英語配列モデルしか発売されなかった
左右分離型のキーボードは、左手部分と右手部分で分割されるため、手の微妙な開き具合に対応できるため、非常に打鍵しやすいスタイルなのだが、英語配列のキーボードだと、一部のキー配置が異なっていたり、エンターキーの大きさが異なっていたりと、普段JIS配列を使用している人からすると、若干使いにくい部分があった。
なので前述の紹介記事を書いた時、私自身も「日本語配列モデルが出てくれれば…」という事を書いたのだが、難と、遂に日本語配列モデルが登場し、国内代理店のアーキサイトから発売された。ついに日本語版登場アーキサイト 商品ページ
http://www.archisite.co.jp/products/mistel/barocco-jp/

製品はCherryMXのメカニカルキーのスイッチ軸によって5種あり、黒軸、茶軸、青軸、赤軸、静音赤軸の5モデルになる。
価格は静音赤軸モデル以外が税込17,500円で、静音赤軸モデルのみが税込17,980円になる。

CherryMXスイッチ

そもそもCherryMXスイッチとは、ドイツのZF Electronics社が製造したキースイッチの事で、軸色で特色が分けられているスイッチの事である。
今やメカニカルキースイッチのスタンダードと言ってもよいぐらい有名なキースイッチになってしまったが、それだけに製品採用しても他メーカーとの差別化を図るのが難しくなったため、最近のゲーミングブランドメーカーなどはあえてCherryMXを使わず、独自路線のスイッチに切り替えている所もある。
だが、圧倒的な信頼を得ているCherryMXスイッチは、色の説明だけで打鍵感の特色が説明できる事から、未だ採用例がとても多い。

それぞれの特色

CherryMXスイッチは色によってその打鍵感の特色が分けられているが、その色と特色は以下のような種類がある。

まず一番歴史が古いのが「黒軸」と呼ばれているもので、1984年に登場したものである。カチッとした打鍵感がなく、押し込めば押し込むほど圧力が大きくなるリニアな特性をもっていて、とても重い印象のあるキーである。
指を押し込む力が60グラムの時に文字入力認識が行われ、そのまま85グラムの力で底打ちとなるのだが、軽いと言われている押下力が10グラムである事を考えると、とてつもなく重いキーである。
ただ、その重さとリニアな特性のおかけで、ゲームには向いていたりする。なので昔からゲーミングデバイスとしてのキーボードは黒軸が採用されるケースが多かった。

黒軸の次に登場したのが茶軸と呼ばれるもので、1994年に登場したものである。
黒軸と違い、カチッとしたスイッチ感があり、押下圧15グラムの所で文字入力認識が行われ、そこでスイッチ感を与える感触と共に45グラムの押下圧で作動点に至る特性を持っている。
ある意味、一番スタンダードな特色を持っているスイッチで、リセットポジションの位置などを考えてもダブルタップに向いているキーで正に万能キーと言われるタイプになる。

茶軸と同じようにクリック感のあるキーとして他にも青軸がある。これは2007年に登場したスイッチで、押下圧が重いがリニアな特性ではなく、クリック感のあるスイッチになる。
初期押下圧20グラムのポイントで文字入力認識が行われるが、文字認識直前の圧力が60グラムもあり、またそのストロークが他キーより0.2ミリ深いため、タイピングのタイミングは結構遅く、またとても重い感触になる。
ただ、文字が認識されてから一気に軽くなり、その押下圧は15グラムとなり、一気に底打ちとなる。
カチッと音がなるその音量は茶軸より大きく、またその音から軽快に文字を打っているような感覚が得られる為、達成感が得られるキーでもあるが、茶軸や赤軸よりは疲れやすいと言えるキーである。

一番軽いキーと言われているのが赤軸で、こちらはカチッとしたクリック感は全くないリニアな特性を持つキーではあるが、その軽さは黒軸とは全く異なる。
文字認識までの押下圧はわずか10グラムで、そこから徐々に圧力が大きくなって底打ちするが、その一番深いポイントで60グラムに到達する。それまでは徐々に圧力が加わって行く為、基本底打ちしなければ全然重くはないスイッチである。
あまりにも軽い為、所謂誤爆が多発するキーでもあるため、このリニアな特性が合わない人には使いづらいキーかもしれない。

基本的にカチッとしたクリック感が欲しい人は茶軸か青軸しか選択肢がなく、ポンポン叩いていくように打てればクリック感はいらないという人は赤軸や黒軸が向いていると言える。
私は…AKIBAで全てのキーを試したことがあるが、黒軸は使いづらかった。基本的にクリック感が欲しい人なので、茶軸か青軸が理想になるが、赤軸だったら慣れれば問題はないかな?とは思う。しかし、メンブレンなどのキーボードしか使った事のない人は、基本的にはリニア特性を持つ赤軸や黒軸はその感覚の違いから違和感を感じるかも知れない(メンブレンそのものはクリック感はないが、すぐに底打ちするのためそれがクリック感に繋がっていると思われる)。
なので、実の所一番無難なお薦めは茶軸で、適度なクリック感を得られつつ、軽いといういいとこ取りな特性が万人受けする理由。
迷ったらとりあえず茶軸にしておけ、という感じだろうか。

実際には12種ぐらいある

他にも緑軸というのもあり、これは黒軸より重いキーである。黒軸と違うのは、クリック感があるキーで、そのクリック感を出す為に黒軸より重くなっていると言っても良い特色である。
また、緑軸と同じような特色のあるキーとしてグレー軸(クリック感ありとなしの2種が存在する)、青軸以上の重さでクリック感のある白軸、茶軸以上青軸未満の押下圧とクリック感があるクリア軸、というとてもレアな軸もある。また特定メーカーに独自に出しているものもあり、オレンジ軸、銀軸、黄軸なんていうのもある。あまり一般的ではなく見かける事も少ない軸なので、選択肢になる事もあまりないが、存在くらいは知っていてもいいかもしれない。
また、これらのウチ、比較的一般的な9種のタイプ音や、押下圧の特徴を紹介したページもある。

Century Black Pawn
http://www.century.co.jp/pc_solution/special/black_pawn/

上記ページの中程に、Web上でシミュレートできるコンテンツがあるのだが、それで大凡のタイプ音の確認が出来、また押下圧がどれぐらいかを示してくれる。
ただ、このコンテンツにおいて、おそらくデータが正しくないのが青軸である。
青軸は一件軽い印象があるが、実際の押下圧は決して小さくない。文字入力認識直前まではたしかに軽いが、認識される段階では60グラムと一気に重くなり、その後の押込みがぐっと軽くなる特徴があるので、音の軽さ大きさに反して実際には黒軸の次くらいに重い。
この辺りは、実際のキーのスペックデータを見ればわかる。

CherryMX軸の研究
http://lunaluna302.blog.fc2.com/blog-entry-222.html

上記サイトは「ブログなんかめんどくせえよ」という個人サイトに掲載された記事だが、かなり詳しく紹介している。
ここで各軸の特性が説明されているので、データを見るだけでなく、その内容を読んでみる事をお薦めする。
キーボードのスイッチでは、まず文字入力を認識するまでの押下圧とそこまでのストローク、そして同じように二次認識した後の底打ちまでの押下圧とストローク、そしてキーが戻って入力がリセットされるストロークが打鍵感を大きく左右する。
その打鍵感にしても、純粋に押し込んだ際のタッチ感だけで判断はできない。実際にはキーが戻ってきて次の文字入力を受け付けるまでのストロークが浅いか深いかで打鍵感そのものが変わる。
だから説明サイトが沢山あっても、それらの言葉だけで判断すると自分が思っていたのと違うという事が頻繁に起こる。とことん突き詰めたい人は実際に打ってみるのが一番いいのである。

というわけで、私がもし「Barocco」を購入するとしたら、多分茶軸を選択するのではないかと思う。適度なクリック感があり、軽いタッチで入力できる茶軸は確かにスタンダードと言われるだけの事はあると思う。
それでもリニアな特性を気に入っていて、ゲームに使用する事を考えているなら黒軸という選択肢もあるし、リニア特性で軽いタッチで疲れずに使いたいというのなら、赤軸という手もある。音、打鍵感共にしっかり打ち込んだ、という感覚が欲しいなら青軸という選択肢もあるだろう。
ここらへんは好みの特性を選べば良いだろう。
とにかく、左右分離型は手に負担を掛けないのが特性なので、そういうキーボードが欲しい場合は「Barocco」は良い選択肢になると思う。
まぁ…カーソルキーやテンキーが欲しいという場合は、また別の補助キーボードを必要とするのが難点ではあるので、そこは注意である。

ま、個人的に最高の押下感を感じるのは東プレのRealforceなので、静電容量無接点方式で左右分割型が出てくれればそれが最高になるんだけどさ(爆)

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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