第3世代RyzenのIPC

気になるのはシングルスレッド性能。

どこまで速くなった?

7月7日に発売となる第3世代Ryzenだが、その性能が著しく向上しているという話は以前から出ていた。
Zen2アーキテクチャになり、分岐予測が強化され、AVX2命令に対してSIMD性能も2倍に強化された事が、この性能向上の大きな理由となっているようだが、問題はその程度である。
一体どれぐらいの性能向上幅があったのか?
おそらく、自作PCを趣味としている人のほとんどが気になるところではないかと思う。
というのは、もともとZenアーキテクチャでもマルチスレッド性能はRyzenが上回る傾向にあったからだ。理由は単純で価格的に同じCPUを比較するとRyzenの方が搭載しているコア数が多いからである。
これを、搭載しているコア数を同じにして比較すると、シングルスレッド性能が高いIntel CPUの方が性能が高いという結果になった。これが今までの傾向である。
Zen2になり、IPCが向上した事によってRyzenのシングルスレッド性能がドコまで伸びたのか?
この結果によって、RyzenがIntelコアを超える可能性が出てくるのである。
今の所、巷で流れている情報では第3世代Ryzen(Zen2)はIntelのSkyLakeコアと同等程度の性能と言われている。
これでも随分と進化したなと思える性能だが、果たして実際はどうなのか?
その結論の一端となる情報がPASSMARK SOFTWAREというサイトで公開された。

PASSMARK SOFTWARE
https://www.cpubenchmark.net/singleThread.html

SkyLake以上?

このサイトで公開されたのは、該当サイトのベンチマークテストの結果で、これによると、Ryzen5 3600のシングルスレッドが2,981というスコアでトップとなっている。
次点はCore i9-9900KFで、2,929というスコアである。共にベース3.6GHzのクロックで動作するが、BoostクロックはRyzen5 3600が4.2GHz、Core i9-9900KFが5.0GHzなので、本来ならCore i9-9900KFの方が有利なハズである。
通常、シングルスレッドでの動作の場合、クロックは最大周波数となる傾向だが、それでもRyzen5 3600が僅差でトップとなっているところに若干の違和感は感じる。
おそらく、何かしらの原因でCore i9-9900KFが最大周波数で動作していない可能性があるが、それでも総合動作で結果的にRyzen5 3600がその頂点に立ったわけである。
また、同じ第3世代RyzenのRyzen7 3700Xは、ベースクロック3.6GHz、Boostクロック4.4GHzというスペックだが、今回のシングルスレッド性能ではスコア2,876をマークしている。
同じく比較対象としてCore i7-8700Kはベースクロック3.7GHz、Boostクロック4.7GHzというスペックで2,701というスコアをマークしている。
この結果から総合的に考えると、Zen2のIPCはSkyLakeを超えているのではないか? という考えに至る。
というのは、Core i7-8700KはアーキテクチャとしてはCoffee Lakeであり、動作クロックなどを考慮して考えたとしても、今回の第3世代Ryzenの結果は、良すぎるほどに高い。
そうなると、当然だが噂で言われていたようなSkyLakeと同等ではなく、それ以上のIPCを達成している可能性がある。

使ってみるしかない

とは言っても、これはあくまでもベンチマークテストの結果であり、実際に使用した状況における結果ではない。
実際は使用するアプリケーションに最適化されている方が効率良くプログラムは動作するので、使った感じで本当に速くなったのかがわかるというものである。
ただ、それでも単純にプロセッサ性能はZen2アーキテクチャになった事で相当よくなった事は間違いないだろう。
特にゲームなどでは、最近はGPU性能に大きく依存するとは言ったものの、それでもCPUによって性能差が生まれる事もあったが、第3世代Ryzenの登場で、Intelが圧倒的有利、と言いにくい状況が出てくるかもしれない。
Zen2は、分岐予測性能が著しく向上しているというが、CPUにおいてこの分岐予測の正確性は性能向上の要になる部分なので、この結果がIPCに繁栄されていると言えるのかも知れない。

とりあえずあと5日後には発売なので、もっと正確な第3世代Ryzenの性能が見えてくるだろう。
そして9月にはAM4プラットフォームでは最大コア数となる16コア32スレッドのRyzen9 3950Xが登場する。そうなると、今度はマルチスレッド性能でまた一騒ぎ起きるような気がする。
果たしてIntelがこの時、どのような対応を見せてくるのか。
非常に楽しみである。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. 200505 より:

    最新の情報だとIPCはCometlakeの1.2倍はありそうですね。

    • アバター画像 武上 より:

      どうも、情報ありがとうございます。
      Zen2のIPCがComet Lakeの1.2倍程度だと、Intelの第10世代デスクトップコアは、残念ながら第3世代Ryzenには及ばない、という事になりそうな結果ですね。
      OSや各アプリケーションがZenアーキテクチャに最適化されれば、さらに実用上でも性能は伸びるので、AMDにはこの辺りを抜かりなくやって欲しいところです。
      逆にIntelはクロックが高い状態を維持できるようなアプローチを考えないと、差が開くばかりになりそうなので、ブーストクロックを如何にして引き出し、維持するか、というアプローチで攻めてきて欲しいところです。

      やっは、この市場は互いが争わないとダメですね。
      一強時代は誰も幸せにはならないので、双方の過激な争いを希望します。

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