初音ミクNT

初音ミクがニュータイプになったのかと思ったら、案外間違っていなかった。

VOCALOIDじゃない

クリプトン・フューチャー・メディアから、新種の「初音ミクNT」が発売になった。パッケージ版の店頭価格は税込17,578円。
なお、ダウンロード版も発売されていて、そちらは19,800円(税込)になり、どちらの場合でも過去の初音ミク商品をライセンス登録している場合は、15,400円(税込)で購入することができる優待販売が案内されている。

初音ミクNT

クリプトン・フューチャー・メディア

https://ec.crypton.co.jp/pages/prod/virtualsinger/mikunt

今回の初音ミクは、従来のようなYAMAHAのVOCALOIDのシステムの上で実現されているものではなく、クリプトン・フューチャー・メディアのオリジナルである歌声合成ソフト「Piapro Studio」専用のボーカル音源として作られている。
よって、今回の音源は従来のVOCALOIDでは動作しない。そこが一番大きな違いである。
といっても、ここ最近はこの歌声合成ソフトも多種多様な時代になり、VOCALOIDが全てという時代ではなくなっているので、編集のやり方や機能改善は既存のソフトの良い所をいいところ取りをした感じでPiapro Studioも作られている。
だから、初音ミクを音源として使用する上でも、その編集操作は昔よりずっと使いやすく作られていて、より自然に歌わせる事ができるようになったとも言えるが、今回の「初音ミクNT」は良い意味で従来の初音ミクであり、その独特の声そのものに大きな変化はない。あくまでも編集方法が異なる、といった意味である。

既存データは?

初音ミクNTに付属するPiapro Studioでは、旧Piapro Studioの楽譜データ(PPSFファイル)とVOCALOIDの楽譜データ(VSQXファイル)の両方を読み込む事ができる。互換性という意味ではありがたい話だが、過去の音源の仕様と異なる部分を多々あり、全く同じように歌わせる事はできない。過去データをリメイクする場合は再度調整する必要は必ず出てくると言える。
また、初音ミクV4XやMEIKO V3といった過去の製品や、他社のVOCALOID音源をPiapro Studioで読む混む事もできない。音源そのものに手が入っているからだろうが、残念な話である。
また、従来の初音ミクとは異なる利用規約にも注意が必要である。
まず、今回の初音ミクNTは、営利利用しない場合は従来通りの使用が可能ではあるが「製品を法人などが営利目的で利用する場合には初音ミクの名前を明示すること」という一文が使用許諾に含まれる事になった。
つまり、商業利用の場合には何らかのライセンス使用料がクリプトン・フューチャー・メディアとの間で交わされる事になるだろう。いや、これも従来と同様だと言えるが、どうも一部の広告代理店が顧客に対して「初音ミクの声をプロモーションに無料で使える方法がある」などという触れ込みで販売していたらしい結果、この一文が追加されたという話らしい。
この初音ミクを初めとしたVOCALOIDで生まれたキャラクターの利用や、その音源から作られた楽曲に関しての利用規約に関して、より詳細な情報を公式サイト等で調べる事をお薦めする。
ちなみに、基本的に音源は楽器と同等と捉えられていて、特別な権利は生じないと考えられているが、もしこの音源を利用して権利ある楽曲を鳴らしたなら、そこには楽曲に対しての著作権が発生するので、注意が必要である。

3つの音源中2つは準備中

今回発売された「初音ミクNT」に関しては「Original+」「Whisper+」「Dark+」の3種類のボイスライブラリーを搭載する予定だったようだ。
ところが、当面の間は「Original+」のみが提供され「Whisper+」「Dark+」は一部発音の改善と品質向上が完了した次点でアップデータという形で供給される。
残念な話ではあるが、品質向上の為に時間を掛けると考えれば、納得せざるを得ないところか。
初音ミクは既に確立したキャラクターであり、そこには固定されたイメージ等もあるので、未完成なものを配布できない、という事なのだろう。

仮想的なコンテンツ制作の為のツールは、ビジュアル的なものの進化もスゴイが、サウンド的なものもついにここまで来たか、と考えさせられる進化を遂げた。
初音ミクNTはVOCALOIDという枷を外し、独自の進化を突き進む道を選んだ。
今から挑戦したいという人は、新たな初音ミクNTで仮想の世界を切り開いて欲しいところである。

初音ミク NT / BOX

楽天で購入

 

 

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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