標準モニタがタッチパネルになるのはまだ遠い…

 Tablet PCというものが世の中に出始めた頃は、まだタッチパネルの価格が高くて大きな画面サイズの製品がなかなか出てこなかった。
 だが、そのタブレットによる操作性はキーボード+マウス(もしくはタッチパッド)という決まり切った世界に一石を投入する程のインパクトがあったし、むしろ一般人はタブレット入力の方がなじみがあるのではないかと思えた。
 実際、その後に登場したタブレット型入力を備えた機器、たとえばiPadなどは爆発的な普及を遂げたし、今現在もその人気は驀進中である。
 Windows 7にしても、実際の所タブレット入力に対応しているのだが、Windows 7を中心としたTablet PCが前面に出てきていない事から、その認知がほとんどない。Windows 7だって、マルチタッチによる操作が可能なハズなのだが、実にもったいない話である。
 そこにきて、モニタ界のブランドであるEIZOから、マルチタッチ対応の23型フルHD液晶ディスプレイ“FlexScan T2351W-L”が発売される。

 価格はオープンプライスとなっているが、店頭では大体12万円を下回るくらいではないかと予想される。
 タッチパネル搭載ディスプレイという区分ではあるが、タブレットとして使用できるのはそのスタンドに秘密がある。画面を垂直にした時の角度を0度として、最大約65度までスタンドの足を倒す事ができるため、床面から角度25度にまでモニターを寝かせられるのである。これによってまるで本を読んでいるかぐらいの角度にする事ができるのである。


 また、このFlexScan T2351W-Lは、電子書籍を読みやすくする機能も持っている。
 それがPaperモードというヤツで、通常の多くのモニタで使われているsRGB設定は色温度6500Kで表示されるが、このPaperモードにすると色温度4500Kの輝度10%という設定になる。これによって白が蛍光灯下の紙の色に近い感じに表示され、通常モニタの白よりも若干赤っぽい…いや、黄色っぽい感じの色に変化する。
 ま、これは実際に見てみないと感覚が分からないと思うので、FlexScan T2351W-Lを詳しく紹介しているサイトを紹介しておく。

ITmedia
電子書籍時代のマルチタッチ液晶ディスプレイ
   ――「FlexScan T2351W-L」でマンガを読む
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1010/15/news001.html

 私は思うのだが、世の中iPadがあれだけ売れ続けるのであればPCだってその流れの中で変化していってもいいような気がする。
 だとするならば、今のPCのモニタだってタッチパネルになっていってもいいような気がする。もちろん、入力機器としてのキーボード+マウスに利点もある。だからiPadと違い、Windowsはもっと幅広い入力機器に支えられるOSになっていくべきではないかと思うわけである。
 タッチパネルで操作する人、キーボード+マウスで入力する人、音声入力で操作する人etc…いろんな形があって然るべきだし、Microsoftはもっとそのあたりを強く押し出すべきではないかと思う。
 現に今AppleはiPadというデバイスでタッチパネルの大型化&量産化を現実的なものにしている。制御はソフトウェアの産物かもしれないが、少なくともメカニカルな部分は標準化されつつある。
 Windows 7でもそうしたタッチパネルでの操作が浸透できれば、もっと直感的でわかりやすい操作体系が得られるのではないかと思う。
 ただ、その為にはタッチパネル型ディスプレイの普及は欠かせないワケだが、現時点ではそのデバイスの価格が普及価格帯にない。
 今回の“FlexScan T2351W-L”にしても価格は12万円弱の予想だし、これでは手が出したくても出せない人は多いと思う。一昔前に比べれば格段に安くなってはいる(以前は20万円を超えていた)ものの、まだ普及価格帯にないのは残念な話でしかない。

 Appleは大きなヒントをWindows勢に示してくれた。
 あとはWindows勢がそこから何を学び、どう展開していくかだけだと思う。
 私はWindowsの標準モニタがタッチパネルになる日がいつか来ると思っているが、残念ながら今の価格がもっと下がらない事には、それはまだまだ先と言わざるを得ない。
 MicrosoftがWindowsというプラットフォームをさらに強いものにしていこうと考えるなら、もっとそのあたりのメーカーと協力して、タッチパネルを推進させていく必要があるように思う。
 そうすれば、少なくともiPadより日頃使っているシステムでiPadライクな操作ができるようになり、使い勝手が向上するハズである。
 日本でも徐々にApple製品の浸透が進んでいる。Apple好きな私からするとWindowsを応援する義理はもちろんないが、AppleのMacですらまだ完全なタッチパネルOSにはなっていない今、Windowsはそこに活路を見いだすべきではないだろうか?

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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