さらば、Transmeta

 Crusoe、Efficeonといったコアを知っているだろうか?
 ハードウェアにあまり関心のない人は知らないかもしれない。
 だが、かつてPCをモバイルするというノートPCの世界で、Crusoeは絶大な注目を浴びた。
 WikipediaでCrusoeを検索すると詳細が分かるが、結局はIntelがPentium Mというモバイルコアを投入した事で、Crusoeの後継であるEfficeonも振るわずに消えていく事となった。
 Crusoeの最大の特徴はx86命令をCrusoeのハードウェアではデコードせずに“コードモーフィングソフトウェア”によってx86命令をCrusoeのネイティブのVLIW命令に動的に変換する点にある。
 つまり、Crusoeそのものはx86命令で動くコアではないワケで、ソフトウェアでx86命令をエミュレーションするところが斬新であった。
 処理能力は決して高くはなかったが、それでもバッテリー持続時間は長く、Crusoe登場時は対抗コアがなかったため、モバイル系PCによく採用されていた。
 そんなCrusoeという一時代を担うコアを製造したTransmetaが、デジタルビデオプロセッサなどを手がける独立系ファブレスチップメーカーのNovaforaに全資産を売却することを発表した。
 Efficeonが振るわなかった頃から、LongRun2というCPU負荷に応じて動的にCPUのクロック周波数を高低する技術をライセンスするという、知的財産ライセンス企業へと姿を変えてしまったが、結局その後に続くものがなかった…という事かもしれない。


 個人的にEfficeonは成功して欲しかった。
 Intelの圧倒的な市場独占状態を切り崩す良コアになるだろうと思っていたが、結局いろんな部分で立ち上がりが悪かった事もあって、不振に終わったのは残念でならない。
 結局AMDがなんとかIntelに対抗しているという状況だが、現在はモバイル系もメインストリーム系も結局は電力管理できるコアになってしまった関係で、なんとかAMDも対抗できてはいるものの、性能的な部分も含めて考えてみるとIntelが頭2つくらいリードしている状況が続いている。
 AMDも次のPhenom IIでどこまで性能的に追いつくのか…ちと気になるところである。
 何はともあれ、Transmetaよ、Crusoeをありがとう。
 

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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