Category: サイエンス

理研笹井副センター長、亡くなる

個人的にはちゃんとした説明だけはしてほしかった。その上で、STAP細胞に可能性があるのなら、その行く末を見たかった。

可能性はゼロじゃない?

小保方研究ユニットリーダーは未だSTAP細胞の検証の為の実験を続けているが、笹井副センター長が自殺した原因がSTAP細胞にあるとするならば、小保方氏はこの笹井副センター長の行動をどう見るのだろうか?
もし、笹井副センター長の自殺が、理研解体の可能性もしくは責任者達の更迭というところにその理由があるのなら、汚点を作ってしまった自分の未来に絶望したのか?
どちらにしても、ある種無責任な幕引きをしてしまったな、と私には思えてならないと同時に、日本の科学界において大きな損失になったな、と思う。
個人的には、STAP細胞は可能性はゼロではない、と未だに思っている。
仮にSTAP細胞そのものが否定されたとしても、新たな再生細胞研究の一端を担う可能性はあったかもしれない。そう考えれば、まだこの結論を出すには早すぎただろうし、早すぎた事で、今の小保方氏が行っている検証研究が無駄だという事を笹井氏が言っているようで、その方向から考えても笹井副センター長のとった行動は軽率だったと思う。
自殺を選んでしまったのは、エリート街道を突き進んできた笹井氏が精神的ダメージに弱かった、という事が原因かもしれないが、それだけの権威と地位を得た者ならば、世間に対しての責任があった事くらいは自覚していて欲しかった。

結果的に膿を出す

私は今回のSTAP細胞事件そのものは、理研の中にある膿を出すというとても重要な役割を果たしたと思っている。
見えない権限構造、そして資金の流れ。少なくとも、理研内にあるこうした不穏な動きを世間に公表したという事で意味のある事件だったと思うのである。
官公庁もそうだが、こうしたエリートが創り上げる世界には、必ずどこかに歪みが存在していて、その歪みの原因が、或いは金だったり、或いは権威だったりする。理研はまさにその渦中にあるわけで、公的資金の流れがないとはいいつつも、天下り含めた権威的問題が渦巻いている。理系だからこそ、そうした部分も白黒ハッキリつけられる状態なら良かったのだが、そういう部分に限ってアナログかつ曖昧という事で、実力と見返りが必ずしもイコールにならない組織を見直すには、こうした組織の根底を揺るがす事件がないと、問題が露呈しにくい。
問題を引き起こした関係者が、そうした思いを持つ事はできないかもしれないが、周囲が、そうした考え方や思いを転換させるような働きが出来ていたなら、笹井氏の自殺は防げたかも知れない。しかし、世間は笹井氏含めて関係者を叩きまくった。その気持ちも分からないでもないが、ハッキリした結論が出る前に叩きまくった。その結果がコレである。
誰にもメリットはなく、ただデメリットのみが残る結果になってしまったワケである。

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日本の自然エネルギー

時々思うことがある。
日本は自然エネルギーに囲まれた国なのに、その利用度が低いのは何故なのだろう?

自然エネルギーをもっと活用すれば…

自然エネルギーにどんなものがあるか? という質問をしたならば、今の日本の人だと大部分が太陽光発電と答えるのではないかと思う。いや、これはもちろん統計など取っていないため、私の予想でしかないのだが、日本人が今耳にする事が多い自然エネルギーと考えると、ソーラーパネルで発電するものがもっとも身近で、わかりやすいのではないかと考えたためだ。
だが、残念ながら太陽光発電は安定的に電力を供給するに向かない電力である。天候に左右されるし、電力変換効率にしてもまだ3割台に留まる。
太陽光発電以外の自然エネルギーだと、風力発電というのもわかりやすい。大きな風車を回して発電機を回し発電するその仕組みは、見た目にもわかりやすい。だが、この発電方法も結局は大気の動き、つまり風に影響される観点から安定的とは言えない。
他にも波力発電というのもある。これは波の力を利用して、上下するフロートで発電機を回し発電する方法だが、これも波の強さによって発電能力が変わってくるという問題がある。但し、波が全くなくなる事はないため、最低限の発電能力がゼロにはならないという特徴はある。
その他にも、温度差を利用した発電方法などもあり、海洋深層水と表面の海の温度差を利用した発電方法などもあるが、こちらはまだ初期研究が終わった程度で大規模な発電実験はまだ行われていない分野だ(だったと思う)。
では安定的で絶大な発電が可能な自然エネルギーは存在しないのか?
恒久的…という話になると疑問も若干残るが、そんな夢のような自然エネルギーが一つあるのである。
それが地熱発電である。

地熱発電では日本メーカーはシェア7割

意外と知られていないのだが、全世界の地熱発電市場では日本企業が7割近いシェアを持っている。しかもその7割は3社の企業で達成しているという。その3社とは東芝、三菱重工、富士電機の3社で、その中でも東芝は23%というシェアで世界第一位なのだという。
そうしたシェアを持っているにもかかわらず、日本は地熱発電をあまり行っていない。
とてももったいない話ではないかと思うのだが、もちろんそんな事は、もっと頭の良い国のお偉方も分かっている。
日本が地熱発電に舵取りをしない最大の理由は、おそらく地熱発電のデメリットにある。
地熱発電は他の発電施設に比べ、莫大な建設費用がかかる。発電に向いた良質の蒸気を探査する為、その建設地点も限られるし、また蒸気井を作る為の掘削費用も高くつくし、仮にその掘削で良質な蒸気を見つける事が出来たとしても、熱効率が余り良くない。
こうしたデメリットが、日本であまり地熱発電が着目されない最大の原因と言える。

だが、効率の悪さで言えば太陽光も同じである。
しかしそれでも太陽光発電は進められていて、メガソーラーなんて言葉も生まれたぐらいである。
太陽光発電の最大のメリットは、太陽光が受けられる場所ならどこでも良いという事であり、比較的平地か少ない日本でも、海上埋め立て地で発電が可能だったりするし、手軽に発電ができるところである。
それだけにいろいろな企業が事業に乗り出し、結果発電効率を飛躍させてきた。
結局、研究開発が活発に行われなければ効率は上がらないわけで、地熱発電はその研究開発の規模が太陽光発電に劣ってしまっている可能性はある。
私は思うのだが、地熱発電も研究開発を行い、今以上の熱効率を生み出す事は可能なのではないだろうか?
折角世界シェア7割なのだから、もっと効率的な地熱発電システムを可能にできれば、日本は安定的な恒久エネルギーを手にできるように思う。

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理化学研究所

STAP細胞の件から、理化学研究所、いわゆる理研の存在がいい加減という感じがしていたが、まさかここまでとは…

関係各所に謝って!

「関係各所に謝って!」という言葉の元ネタはモモノキファイブの中村先生の言だが、でも本当にそう叫びたい人がいる話が理研で起きたようだ。
朝日新聞デジタルの伝えるところによると、理化学研究所が国内外の研究機関の注文に応じて実験用マウスを提供している事業で、注文とは異なったマウスが繰り返し提供されていたようである。
その影響は41機関にのぼり、178匹の遺伝子組み換えマウスが提供されているようで、提供を受けた41機関の実験データが使えずに支障が出ているケースもあるという。
…いや、朝日新聞デジタルは「支障が出ているケースもある」というが、コレ、普通に考えたら提供されたマウスを使っている実験全てに支障は出ているのではないかと思うのだが…。

Yahoo!ニュース 朝日新聞デジタル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140622-00000009-asahi-soci

この41機関がどういった所なのかまではわからないが、もしiPS細胞研究に関係するところにまで影響しているとすると、かなり大きな問題になりそうだ。
STAP細胞でも理研はとんでもない失態をやらかしているが、その責任を小保方研究リーダー側にのみ向けさせているように私には見えてならない。

ムーミンはまだ許せるが、その中身には研究者として問題が…

ムーミンはまだいい。問題はそんな話ではない。研究結果そのものの表記が大問題だ…。

確かにSTAP細胞研究の、小保方研究リーダーの研究ノートは信じられないものだったが、その小保方氏が理研に所属する際の手際も、理研の杜撰さを表していたし、今回の件も理研という組織そのものを揺るがすほどの杜撰さを呈しているとしか思えない。

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Gが8bitコンピュータに!

個人的に衝撃を受けた記事を見つけた。
いや…ホントの意味で衝撃的だった。まさかのまさか。

何もGで実験しなくても…

Gとはガンダムではない。
ここでいうGとは、昆虫綱ゴキブリ目のうちシロアリ以外のものの総称の事を言うが…まぁ、ようするにゴキブリである。
全世界に4,000種もいるゴキブリのウチ、どの種類を使ったのかはわからないが、何と、ゴキブリが8bitコンピュータに匹敵する演算能力を発揮する媒体になるというから驚きである。

やじうまPC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/20140411_643902.html
ゴキブリを複数ならべて並列コンピュータとか…見たくねぇ…同記事によると、イスラエル バル・イラン大学の研究チームが、生きたゴキブリの体内で、任意の場所に薬を投与するナノボットを開発したとNewsScientist誌が8日付けで報じているようだ。
DNAの特徴を利用した方法で、特定物質によって鎖を解き、ナノボットが特定の場所に薬を投与するようだ。
しかも、生きたゴキブリにさまざまな種類のナノボットを投与して、送出および制御精度をコンピュータシステムと同レベルにまで高めたというから凄い。
結果、このナノボットを利用してゴキブリ体内で8bitコンピュータに匹敵する演算性能を実現することすらできるという。
まぁ、デジタルという事は「0」と「1」を再現できれば良いわけで、その値を読み取る事ができれば、事実上演算する事は可能だから、言っている意味は別段間違っていないと思う。

一応、このイスラエルの研究チームはゴキブリ型コンピュータを開発しているのではなく、免疫反応を回避しながら、特定のがん細胞にだけ的確に投薬できる技術の確立を目指したものという事だから、ゴキブリ型コンピュータが作られる事はまずない。

8bitコンピュータ

8bitコンピュータと言えば、前記事にも登場したコモドール64やAtari 800の他に、PC-6000、PC-8800、FM-7、X1、MZシリーズなど、コンピュータ黎明期に数多くのコンピュータが存在していた。
ちなみに同時期に発売された“ぴゅう太”という、超高級言語を扱える家庭用コンピュータがトミー工業から発売されたが、コイツは16bit機である。ちなみに超高級言語とは、日本語による日本語ベーシック言語で、コマンドを数字以外は全て日本語で記述する言語だった。
コンピュータ言語とは、人間が理解できるほど高級であり、コンピュータが理解できるほど低級とされるため、ぴゅう太のベーシック言語は超高級言語と言わざるを得ない。

話を戻すが、8bitコンピュータの中でも幅広く普及したのは、マイクロソフトとアスキーが提唱した統一規格パソコンMSXではないかと思う。
MSXは、上記の有名8bitコンピュータとは別路線で、数多くの総合家電メーカーから発売された。
Sonyや日立、カシオ、松下電器、三菱電機、YAMAHA、Victor、三洋、東芝と、錚々たる日本メーカーが参画し、対応機器を発売していた。
総合家電メーカーから発売された事もあって、その販路は実に広く、家電製品という扱いだけでなく玩具として扱われ、販売されるケースも多かった。それ故、価格も(他PCと比較して)安かった事からかなりの普及率だったと言える。
もちろん、国内メーカーだけでなく海外メーカーからも発売されていたが、中でも松下電器は最後の最後までMSX規格のパソコンを発売していた。
MSXもMSX2やMSX2+、そしてMSX2 turbo Rと上位規格が生まれたが、ラストのMSX2 turbo Rは松下電器製のものしか発売されなかった。というのも、MSXという規格で動作するコンピュータは、徐々にゲーム機として見なされる事が多くなり、巨大なライバルの登場と共にその人気は下火になっていったからだ。実際、MSX2+の製品も日本国内メーカーからしか発売されておらず、海外メーカーはMSX2の時点で撤退している。

いろいろな機種が発売されたが、8bitコンピュータは言うまでも無く今のコンピュータの立役者であり、この存在がなければ今日のコンピュータはあり得ない。この8bitコンピュータの時代に後に主流となるいろいろなデバイスや規格が生まれ、精査されていったのだから。

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日本も半島と同じ道を歩んだのか?

STAP細胞の発表が行われた時、さすがは日本と世界中の人が言ったかどうかはしらないが、少なくとも日本人は偉大な発明に讃辞を贈ったに違いない。私だってその一人だ。

論文中の画像に不審点が?

STAP細胞の論文中に使われている画像の中に、小保方リーダーが3年前に博士論文に使った画像と酷似しているものがある事が判明したらしい。
もし、この3年前の論文に使われた画像が、同じ万能細胞を扱ったものならまだよかったのかも知れないが、残念ながら別の研究を扱っていて、画像をそのまま転用した可能性が指摘されはじめた。
酷似しているとされる画像は、ある細胞がいろいろな組織に分かれていく能力、つまり多様性を持つことを示す画像で、STAP細胞を発表したネイチャー論文ではSTAP細胞から組織が出来た、と発表していた画像が、3年前の論文では骨髄から採取した細胞からできたと説明されている。
この画像問題もそうだが、論文のテキスト自体にも他論文からの引用が以前より指摘されていて、信憑性が疑われていた。
問題のSTAP細胞だが、不思議な事に発表後1ヶ月を経過しても、理化学研究所以外で再現実験が成功していない事も問題となっている。

理化学研究所の広報担当はこれら一連の事に関して「調査中であり具体的な内容については答えられない」としているが、このSTAP細胞の発明によって生きる希望をもった人もいるだろうだけに、ねつ造だという話になると、その信頼失墜はタダ事ではないものと思われる。

さすがにココまで来ると、ねつ造したのでは? と言われても仕方のない状況だけに、早期に真実を明らかにしてほしいものである。

そういえば韓国でもあったな…

お隣韓国でもiPS細胞の際に似たような事があった。
結局、他では再現できないiPS細胞を発見したとねつ造した問題だが、日本はそれを笑えない立場になろうとしている。
もっとも、まだSTAP細胞の論文は全くねつ造だと言い切るのも難しい。ネイチャー論文は最先端すぎて他で再現できない事が多すぎるからだ。
とはいうものの、論文のテキストの引用なども含めると、信憑性は著しく低いと言わざるを得ない。世界が驚きで震撼した論文だっただけに、このねつ造問題は事がどうしても大きくなってしまう。
韓国のねつ造教授は今何をしているのだろうか?
小保方リーダーが同じ境遇にならない事を祈りたい…というか、同じ境遇にならないためにも、今回の問題は再検証する必要はあるだろう。
理化学研究所は、一度この論文を取り下げ再度検証し、正確なデータで実証すべきだろう。
それが科学者と呼ばれる人達のマナーであり絶対的ルールだと思う。

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発想の逆転からSTAP細胞

世間がこの話題で持ちきりになっている。
この発見そのものも素晴らしいが、学ぶべき事はその逆転の発想にあるのではないかと思う。

まだ可能性の域でしかない

STAP細胞の凄いところは、iPS細胞と違って遺伝子操作の段階で核移植の必要がなく、その核移植の際に核にキズを付けてしまうとガン化するというプロセスそのものを行わなくても良いという所に尽きると思う。
このリスクがなくなるだけでも凄い事なのに、iPS細胞よりも生成確率が高く、今後発展していく可能性はiPS細胞よりも高いというから、確かに凄い発見ではないかと思う。
ただ、残念なのはまだヒトの細胞では確認が出来ていないという事。
マウス実験では良好な結果が得られている事から、ヒトでも“多分”問題ないだろうという憶測が立つのみである。
ただ、発見としてはヒトだろうとマウスだろうと凄い事であり、この事自体を評価する事は当然の事だと思う。

この発見を発表する事によって、今後の研究がより進むことが考えられる。可能性が高ければ高いほど、その話に乗る人が増えるのは当然の事であり、あらゆる所から支援や援助が届く可能性も増える。
今後の発展を祈りつつ、早期の医療現場投入へと漕ぎ着けて欲しいものである。

学ぶべきはその発想

そもそも、iPS細胞やSTAP細胞は何が凄いのかというと、どの細胞になるかどうかがまだ決まる前の初期の細胞を生み出す事によって、新たに細胞を分化させ欠落した部分等の細胞を再生させる事ができるという事である。
この、初期の細胞というのは、遺伝情報を初期化する事で生成させるのだが、体細胞でこの初期化を引き起こすには、未受精卵への核移植(これは通常クローン技術と言う)や未分化性を促進する転写因子と呼ばれるタンパク質を作らせる遺伝子を細胞へ導入する(これがiPS細胞技術)など、細胞核へ人為的な操作が必要になる。
通常、この分化の初期化は、動物細胞ではこのような人為的操作が必須で、自然には初期化されないとされてきた。動物細胞の分化状態は非可逆的とされてきたのだ。
一方、植物ではこの分化状態は可逆的と言われていて、自然界で未分化状態の塊を生成する。接ぎ木が出来たり、株分けができるのは、この分化状態が可逆的だからだ。
だが、今回のSTAP細胞は、この植物に可能だった可逆的分化状態を動物細胞で可能にした、というのである。
これは、一種常識を覆したに等しく、まさしく逆転の発想から生まれた新発見だったと言える。

そもそも、動物細胞での未分化状態細胞を生み出すには、核移植が必要とされてきたのは、一度遺伝情報を確定した細胞はその後変化をしないという固定概念があるからだと言える。つまり、外的要因を入れない限り未分化細胞を作る事はできない、というワケだ。
だが、その遺伝子操作そのものが、細胞に与える外的刺激だったとしたらどうだろうか? そしてその外的刺激によって、細胞が変化していたとしたらどうだろう?
植物の細胞も、あるべき組織が切断されたりする外的刺激によって、分化状態が可逆的になっているのだから、動物細胞も同じように外的刺激を与える事によって分化の初期化が行われるのではないか? と着目したのがSTAP細胞である。

細かい技術的な話は理化学研究所等のサイトに詳しいが、私はこの“逆転の発想”そのものが評価されて然るべき事ではないかと思う。
常識とは、人間が当たり前と決めた説にしか過ぎない。しかもその視点はすべて人間側のものである。
その視点をずらす事で、今まで見えなかったものが見えてくる。
今回の発見は、そうした逆転の発想がもたらしたものだ。
想像力とも言えるかも知れないが、今まで当たり前だった事がそうでなかったら? という想像が新たな道を切り開く。
この流れは、こうした理化学だけの事ではなく、特に企画と言われる分野では当たり前の事だ。しかし、実際はなかなか行われないのが実情だ。
言葉にすれば簡単な事だが、なかなかできない事。それが発想の逆転であり、真に活路を見出す手段ではないかと思う。

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地味だが凄い技術

角の1点で直立できる立方体型メカ。
これだけを聴くと、よく意味が分からない。
だが、これを動画と共に見ると、地味だがとても凄い技術がそこにある事に気がつく。

別に角1点でなくてもよいようだが…

とにかくこの動画を視るべし。

実に奇っ怪な動きをするメカだが、この技術は他にいろいろと転用が利くと思われるだけに、非常に気になる存在である。
開発したのはスイス連邦工科大学チューリッヒ校Institute for Dynamic Systems and Controlの研究者達で、このメカを“Cubli”と命名している。
Cubliは、1辺15cmの立方体形状のメカで、フレーム内部に3つのリアクションホイールと、それを制御するプロセッサ、センサー、モーター、バッテリーなどが内蔵されている。リアクションホイールは、宇宙船の方向制御などに利用されている技術だが、コマが回る事でバランスが取れるように、3つのディスクを上手く調整し回転させることで、物体の角度を安定させることができる。だから複数のリアクションホイールを回すことで角の1点で立つ事もできれば、一辺を軸に立つ事もできる。というか、大味な動きかもしれないが、本体ごとガタンゴトンと回しながら移動する事もできる。

応用するとしたら…

やはり惑星探査メカとしての運用なんかが考えられるのだろうか?
外面に可動するパーツがないため、結構頑丈に作る事ができるだろうから、そうした人がまだ行く事ができないところを探査するメカとしては有効かもしれない。ただ、その分内部が緻密だからそのアタリをどうするかという課題は残るかも知れないが。

あと、これは私が思いついた事でしかないのだが、既存の二足歩行ロボットの脚部に入れることで、より安定的な二足歩行が可能になったりしないだろうか?
二足歩行ロボットが平地を難なく歩いたり、走ったりする事はもう珍しくはなくなったが(それでも凄い技術である事に違いはないが)、今二足歩行ロボットに求められているのは、不整地を難なく歩くことであり、それがこの技術の応用で、片足時のバランス取りに上手く使えるような気がしてならない。

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紙の太陽電池、現る

エネルギー問題が深刻化した辺りから、急激に自然エネルギーへの注目が大きくなっている。というか、そうならざるを得ないという風潮が世の中を吹き荒れている。原発の安全神話が崩れ去るという事は、つまり豊かな生活の保障がなくなるという事に直結した話だが、実際電力不足は日本中に影響を及ぼし、人々の生活の利便性だけでなく、経済の停滞を引き起こした。
その数年前、日本はソーラーパネルの開発でも世界一を誇っていたが、ここ数年の経済不振から一気に世界3位以下という地位に落ち込み、そこにきて大震災&電力不足という状態を招いた。
全てが悪い方向に向かっているように思えてならないが、それは政策が悪いのか、それとも企業努力が足りないのか、その答えをハッキリ言える人は少ないのではないかと思う。
誤解を恐れずに私個人の意見を言わせてもらうなら、ホワイトカラーと呼ばれる人達の危機感のなさ、政治家の思想、一部の大企業の経営者と呼ばれる部類の人達の国際観念のなさ…など、大凡大多数の指揮をとる人達の舵取りに問題があったとしか思えない。だが…その中でも問題は政治家で、その政治家を選んでいるのは国民たる我々であり、その我々そのものが政治に無関心である事が大きな問題だったと言える。
長年、日本は政治的な問題を大きく取り上げなくても世界有数の経済大国たり得た事が、今そのまま危機感となって降り注いでいる。要するに、結局悪いのは今の時代の大人達であり、問題を先送りにしてきたツケが今回ってきているにすぎない。

話が逸れた。
今、深刻化しているエネルギー問題を根本から改善出来るかどうかは分からないにしても、画期的な開発が今ひとつ実を結んだ。

これは大阪大学産業科学研究所の能木雅也准教授らのグループが開発した“紙の太陽電池”である。能木准教授は材料学を研究しているのだが、太陽電池の小型・薄型化の研究において、木材パルプの繊維を暑さ15nmにまで薄くして透明化させ、それを基板として利用することで環境に優しく、製造コストを10万分の1にした紙の太陽電池の開発に成功した。

毎日新聞
紙の太陽電池:製造コスト10万分の1 阪大グループ開発 (現在リンク切れ)

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深海3300mの小宇宙

 カリフォルニア沖、水深3300メートルの海底から、新種の肉食の海綿生物が発見された、という記事を見た。
 海綿生物って何だ? という話になるのだが、Wikipediaによると「熱帯の海を中心に世界中のあらゆる海に生息する。淡水に生息する種も存在する。壺状、扇状、杯状など様々な形態をもつ種が存在し、同種であっても生息環境によって形状が異なる場合もある。大きさは数mmから1mを越すもの(南極海に生息する樽状の海綿 Scolymastra joubini)まで多様である。多細胞生物であるが、細胞間の結合はゆるく、はっきりとした器官等の分化は見られない。細かい網目状の海綿質繊維からなる骨格は、スポンジとして化粧用や沐浴用に用いられる」とある。
 要するに分類としては一つに括っているものの、かなり個体によって違いのある生物群、という事になるだろうか。

カラパイヤ
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52107464.html
Scientists describe extroardinary new carnivorous sponge
http://www.mbari.org/news/homepage/2012/harp-sponge/harp-sponge.html

 リンク先の画像を見て貰えればわかるが、その形状は根のような部分から、放射状に伸びる枝が生えていて、この枝で罠をしかけて、先端についているフックを使って小さな甲殻類を捕食するらしい。

 何とも不気味な…それていて不思議な生物である。

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42光年のその先に…

 英国ハートフォードシャー大学などの欧米研究チームが、地球から42光年離れた比較的近い恒星に6個の惑星が存在し、その一番外側の惑星には水が液体状態の『生命存在領域』にある可能性がある事を9日までに発表した。論文は天文学誌“アストロノミー&アストロフィジックス”に掲載される。

 この42光年離れた恒星は“HD40307”と呼ばれ、太陽と質量や明るさ、古さが似ているとされていて、これまでは惑星が3個存在すると考えられてきていた。今回の発表は従来の考え方とは異なるものであり、またより詳細なものと言える。
 HD40307の一番外側の惑星は、質量が地球の7倍強あると推測されている。これは所謂“スーパーアース”とよけばるタイプの惑星である可能性があり、今後登場するであろう、より高性能な宇宙望遠鏡で直接観測する事ができれば、その惑星の地質や大気の有無などを観測する事ができるようになるため、地球と同じ性質かどうかがわかると期待される。

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光学迷彩なのはわかるが…

 慶応義塾大学の研究チームが、後部座席が透明になる“プリウス”の試作車を開発したという。いわゆる光学迷彩で実現したものだが、原理は特殊な反射素材に背後の映像を投影する仕組みであり、その装置は非常に大がかりと言える。
 稲見昌彦教授率いる研究チームが開発したこの透明プリウスは、10月25日~27日に日本科学未来館で開催される“デジタルコンテンツEXPO2012”に展示されるが、まずはどんなものかコレを見て戴きたい。


 ま、車の後部座席が透けて見えて、後ろが見える為に車庫入れが簡単にできる…という車なワケである。
 これSUGEEEEEEEE!って言うと思ったら大間違いだ、コラw
 ハッキリ言おう、車庫入れできないレベルで車運転する方が危険だ。いや、まぢで。
 そもそも、車の運転は、全体的な車体感覚が全てと言える。その車体感覚の一つで速度を体感し、速度的な危険を察知するし、また車の周辺状況を把握させ、距離的危険を察知する。
 こんな光学迷彩を使わないと車庫入れができないレベルで車を運転すれば、左折時に巻き込み事故を起こすかもしれない状態の時に、その危険を察知できようはずがない。
 技術的に面白いとは思うが、もしこれを現実化しようという動きが出てきたならば、恐ろしくて車を運転できなくなる。

 これなら、まだGoogleが開発した全自動運転カーの方がまだマシというものである。

 便利な技術は時として人間をバカにする。
 技術は人が使うものであり、決して使われてはいけないのである。
 全自動運転カーも使われていると言えるアイディアだが、これはもっと突き詰めれば別の未来が見えてくる。
 しかし、前述の光学迷彩の車は、あきらかに車体感覚を身につけられない人間を増殖するだろう。それが如何に危険な事か。

 この透明プリウスが市販化されない事を切に願いたいところである。

WIRED TECHNOLOGY
光学迷彩で後部座席が透明になったプリウス

http://wired.jp/2012/10/15/transparent-back-seats/

今更ながら金環日食

 5月21日、日本の広い範囲で金環日食が観測できた。
 一部の学校などでは始業時間を変更するなどして、全体で観測する時間を設けたりと、実に話題性に富んだ一日となったが、私も会社で観測する有志があつまり、天体望遠鏡で観測するという事をした。
 ところが残念な事に当日のその時間のみ、ウチらの周辺では曇り空となってしまい、望遠鏡では上手く観測する事ができなかった。が、逆に言えば、雲がフィルターになり肉眼ではそれなりに観測できた事もまた事実であり、実際どうだったのか? という事を説明するのが難しい。
 というのも、私も雲がフィルターになっていた事をイイ事に、iPhoneのカメラで撮影を試みたのだが、iPhoneの集光能力が高すぎて、白飛びしてしまって撮影が出来なかったのである。
 それ故に説明に困るのだが…。
 とりあえず、望遠鏡にもフィルターを付けていたのだが、光量が足りなかったため、曇り空の中、フィルターを外して撮影した画像を入手した。

 真っ黒なのが雲である。
 雲の切れ間から、太陽の光が透過してこのように撮影が出来た。

 これがほぼ完成状態の金環日食である。
 この時の雲が一番分厚く、雲の層を突き抜けてくる太陽の光量だけで撮影したものである。
 撮影するポジションとしては最高の地域だったのだが、このタイミングの時のみ、異様なまでに曇り、この10分後くらいには逆に太陽が燦々と照りつけてきたのだから、タイミングの悪さたるやヒドイものである。

 天体観測が好きな人が会社にいるおかげで、本格的な機材でいろいろと観察する事はできたのだが…天体ショーはホント、タイミング次第だという事を痛感した。
 次は6月6日の金星の太陽面通過が焦点となるワケだが…私の周辺ではどうなる事やら。
 また撮影する事ができたなら、情報公開する事もできるだろう。
 少なくともiPhoneじゃ、光量ありすぎて撮影はできないのだ(爆)

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