枯山水

枯山水…日本古来の日本庭園の様式として、石庭の一種と言われている。

異常ヒット

なぜ枯山水などという言葉がいきなり出てきたかというと…この枯山水というタイトルのボードゲームが発売されているからである。
もうね…タイトルからして渋すぎで、タイトルからはどんなゲームかも想像出来ないゲームである。
しかし、そのゲーム様式は、まるでホンモノの枯山水のようであり、ひたすらセンスを要するものであった。

この動画は、東京ドイツゲーム賞という、三鷹にあるボードゲーム専門店「テンデイズゲームズ」が主催したUstreamで放送された番組の2次審査の様子である。
ハッキリ言って…テキトーな部分もありながら、そのゲームのデザインだけに留まらず、システムまでもが異様な出来映えという、かなりの異端的ボードゲームである。
しかし、そのセンスたるや、型破りという言葉では収まりきらないものがあり、発売後、すぐに注文に生産が追いつかないという人気ぶり。
2014年11月に発売されてから、翌年1月までに560セットを販売、現在は月産150セットのペースで出荷する計画で増産されている。
ボードゲームの世界で、月産150セットといえば、ほぼ大ヒットと言ってもいいかもしれない。カードゲームならもっと価格が低いため、販売数量は多いかも知れないが、この枯山水、価格がなんと税込8,100円もする製品なのである。
しかもほぼ手作業で作られているため、月産150セットは生産能力としてはほぼ限界の域にあると言ってもいい(規模的に)。

ゲーム関係者よ、センスを磨け

この枯山水、私としてはぜひともプレイしてみたいタイトルの一つだが、このボードゲームを見ていて思うことは、この世のゲーム関係者はぜひとも見習わなければならない要素が満載しているのではないか? という事である。
ゲームには勝者と敗者が必要…という、勝ち負け的要素は必須と考えるのが常だが、場合によってはその考え方そのものが間違っている可能性もある。
特にRPGは、この勝ち負けという要素は本来なら皆無だったりする。しかし、気がつけば勧善懲悪なストーリーを作って、そのゴールに至るまでの過程でプレイヤー達に勝ち負けを要求しているゲームを見るときがある。もちろん、それが間違っているとは言わないが、そもそも勝ち負けが必要でないジャンルのゲームである事を、時としてデザイナーは忘れてしまっている時がある。
また、私としてはボードゲームであっても、勝ち負けが目的ではなく、プレイヤー達の生存を目的として展開するゲームがあっても良いように思う。
つまり、世の中の標準という考え方からまず脱却しないと、目からウロコ的なゲームは生まれないという事。
長年ゲーム制作という立ち位置で仕事をしていると、時々原点が何であったかを忘れてしまう時がある。そういう原点に立ち返る事で、自らをリセットする必要がある。
特に娯楽を相手に商売をしている人達は、ココを忘れてしまうと業界がマンネリ化する、という事に気がついて欲しい。

自らの原点を見つめ直せ

枯山水、というゲームを見て、私も自分の原点が何であったかを見直す時期に来ているな、と感じた。
今はゲーム関係者ではなくなってしまったが、この原点に還るという考え方は、全産業に携わる人に言える事ではないかと思う。
そして自分の原点が何であったかを今まで意識してこなかった人は、この機会に自分の原点を定めた方が良いと思う。自分が夢見た道、姿、思想を原点として、今の自分がその道からどれだけズレてしまっているか? を見直すのである。自分の周辺事情で道を変えざるを得なかった人もいるだろうが、変えてしまった道のゴールからもズレてはいないだろうか?
枯山水のようなゲームに触れ、そうした自らの歪みを見直すのも良いのではないかと思う。
…ゲームの話なのに、実に奧が深すぎる話だ(爆)

枯山水 New Games Order LLC
https://sites.google.com/a/newgamesorder.jp/www/games/stone-garden

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

2 Responses

  1. ruser より:

    渋すぎるタイトルに驚いて、リンク先のパッケージイラスト(?)を見て吹いたw
    どんなボードゲームなのか見当も付かないけど、月産150ってのは凄い。(゚Д゚)

    最近ゲームと言えばデジタルのコンピューターゲーム(コンシューマー機のも含む)を指すのが殆ど。
    顔突き合わせて駆け引きや会話を楽しみながらプレイするボードゲームやTRPGはかなり小規模ですよね。
    今の子供達に、3DSを持ち寄って黙々とプレイするのも悪くはないけど、こんな面白いボードゲームだってあるんだぞと教えて上げたいものです。

    • アバター画像 武上 より:

      この枯山水というゲームは、所謂「日本庭園」を作るゲームで、与えられた条件から入手したデザイン等を他プレイヤーから譲り受けたり、場合によっては強奪したりする事ができる…と書くとぶっそうなゲームに感じられるかも知れないが、要するにそうして他人と積極的に絡んでいって徳が高い、かつ巧妙な日本庭園を作るゲーム…のようです。ま、日本庭園といいつつも、ほぼそれは石庭の事ではありますが。

      こうした他人に積極的に絡んでいくゲームで、今問題視されているコミュニケーション障害を打破していこう、というアプローチをもっと大人が作ってあげなきゃいけない時代なんじゃないかと思う。
      モノポリーなんかは、このコミュニケーションが成立しないと全くもって面白くないし、そういう意味ではこの枯山水だってコミュニケーションなくして成立しない。
      コミュニケーションなんて他人と話すだけの事じゃないか、と大人は思うかも知れないが、今はそれができない時代なのだから、こういうゲームでその下積みが出来れば、結果として面白いと思う。
      …もっといろんな人がこういう事を真剣に考えてくれないかなぁ。

ruser へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version