左右独立型イヤフォン

最近よく聞くジャンルのイヤフォン。

Appleが火付け役?

EARINが発表された時は、多分ほとんど独擅場だったのではないかと思う。
左右の耳に独立してコードレスでステレオ再生が出来るという左右独立型のイヤフォンで、各々にバッテリーを内蔵しているのが特徴だった。
接続はBluetoothで、完全にワイヤレスというのがウリだが、搭載しているバッテリーが小さい事で再生時間が2~3時間と短く、収納するカートリッジがバッテリーになっていてそこに収納したときに充電するという仕組みだった。
このEARINの仕組みは、最終的にその後登場する事になる類似品の基本格子になったようで、あのAppleが発売した“AirPods”も、基本的な部分は変わらない。
このAppleの“AirPods”が発表された後あたりから、途端にいろいろなメーカーから類似品が登場するようになったように思う。
しかし、いろんな類似製品が市場に投入されていても、バッテリー問題は改善されたとは言い難く、コノ手のイヤフォンのバッテリー問題を解決するには、バッテリーそのものを大容量なものに変更するか、或いは消費電力そのものを極限まで小さくするかしか道はない。
だから、増えてきた類似品全てに共通して言えるのは、そのほとんどの製品が似たような連続再生時間であるという事。
大体が2~4時間程度しかバッテリー電力を保持できない。
これがせめて6時間とか8時間ぐらい持つと、比較的安心して使用できるようになるのではないかと思う。

ユニットは?

こうした、左右独立型イヤフォンのスペックを細かく調べた事はないのだが、そのほとんどはダイナミック型ドライバーユニットを使っているのではないかと思う。これが何故そうなのかはわからないが、BA(バランスドアーマチュア)ユニットを採用したものは多分ないものと思われる。
消費電力に問題があるのか?
それとも低音の物足りなさを避けているのか? このあたりはよく分からないが、基本的にダイナミック型ドライバーユニット採用の製品ばかりなのではないかと思う。
今の所、この左右独立型イヤフォンは音質の善し悪しをあまり問いかけるような製品にはなっていないように思うが、それはやはりまず先に利便性という所を最優先しているからだと言える。
ワイヤレスである事の最大のメリットが最優先に立つのは分かるが、時代はハイレゾと言っている以上、そこに踏み込めるだけの品質をそう遠くない内に要求される事になるだろう。
そうなると、やはりBAユニットの採用を検討するメーカーが出てくるハズだと思うが…今はまだそこに至っていないようである。

思わぬ双方向性

この左右独立型イヤフォンが思った以上に進化したなと思ったのは、マイクを早々の内に内蔵したという事である。
Bluetooth接続という事で、マイクとスピーカーが通信するという事は、この時点でヘッドセットと同等の機能を持つことになる。
登場してからすぐにこの機能まで飛んだのは随分早かったな、とホントに思う。
だが、私はここでもう一歩先を進んで考えたいのは、このワイヤレス機能を保持したまま、バイノーラル録音ができるといいなと思ったりする。
そもそも、左右の耳に独立して入れているのだから、左右それぞれにマイクを内蔵すれば使用者の耳の位置で聞こえる音をそのままマイク入力できるハズである。
もっとも、その場合マイクもステレオ録音になるわけで、それだけバッテリー消費が激しい事になるワケだが、もしこうした付加価値のある機能を持たせる事が出来たなら、通常のヘッドフォンよりも使い勝手が良いし面白いと評価されるのではないかと思う。
また、マイクを内蔵したという事は同時にノイズキャンセリング機能を持たせる事もできるはずである。
既にそうした機能を持っているものが製品として登場しているかもしれないが、これもマイクを利用しているからこそできる事であり、それが今のバッテリー容量で実現できているのなら、バイノーラル録音もそう難しい話ではないように思う。

進む低価格化

そしてもう一つ驚いているのが、今や2,000円台から左右独立型イヤフォンが買える時代になっているという事。
もちろん、高い金額のものもあるにはあるが、それでも3万円台までである。
所謂高級機と呼ばれるイヤフォンなどは、全て有線であり、ワイヤレスでは極端に高い製品は発売されていない。
ここから考えると、やはり本当の意味で最高品質の音を追求できていないと言えるのかも知れない。
Bluetoothという通信でハイレゾ音楽は既に実現できる時代にはなっているものの、音データをやり取りする中であまりにも重いデータ量であれば、当然それだけバッテリー消費が激しくなるわけで、今まで有線で実現していた品質を無線で実現する時代は、まだもう少し時間がかかるように思う。

聞くだけなら、個人的にはONKYOの“W800BTB”をイチオシしたいところ。φ8.6mmのダイナミック型ドライバーユニットを搭載しているという、この手の製品の中では高音質なユニットを持っているというのがその理由だが、マイクを内蔵しているモデルが便利なのは言うまでもない。
今後、こうしたあらゆる要望を満たせる製品が出てくる事を願いたい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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