日本の受験みたいなISO 9001

 本日、勤め先でISO 9001の継続審査が行われた。
 本来なら私は全くと言っていいほど無関係で居られたハズなのだが、なぜかISO推進委員として強制登録されてしまい、来年から私が担当になる事となった。
 また仕事増えるのかよ orz
 で、今年は何をしていいのか分からないため、とりあえず前任者がメインで私がそれを見て覚える…というプロセスとなった。
 ハッキリ言って、見ているだけで覚えられるならISOの教育プログラムなど存在するはずもなく、とてもじゃないか分かるわけがない。
 ISO 9001は、単純に言ってしまえば自分たちで自分たちの仕事のマニュアルを作り、そのマニュアル通りに仕事をしているかどうかの記録があるかどうかを審査する。
 自分たちでマニュアルを作るといっても、最低限入れ込まないといけないというラインがあり、結構面倒な作りになっている。
 このマニュアル作りが一番難しいのは多分土木建築業だろうが、製造業も何だかんだと結構めんどくさい。
 作業の標準化を明確にするために必要と言えば聞こえはいいが、なんかやってることが矛盾だらけに思えてきてならない。


 マニュアルを作るという行為はキライではない。
 だが、既にあるマニュアルを確認し、改定する所を見つけて直すという行為は思いの外疲れる。
 …前任者の文章の作りがどうも私と合っていない…困った orz
 まぁ、あまり直す所もないのだが、読んでいると頭が疲れてくる。
 そして直す箇所を見つけるだけならまだマシだが、問題はこのマニュアルを読んで覚えろというのだから、さらに疲れる。
 読み手を考えずに翻訳された小説を読むくらいの労力だ orz
 次に、作られている帳票類を確認し、マニュアルのどの部分で言われている帳票なのかを確認していく。
 殆どが売り上げなどのデータや会議に使われた議事録などがその帳票に当たるわけだが、分析されていれば何ら問題のない類のもの。
 …ま、この分析という部分が利用されているかどうかがポイントなのだが、こんなの言い訳しようと思えばいくらでもできるような感じ。
 進めていくウチに「ISO 9001って結局、何?」という思いが…。
 で、それを約2週間にわたってやり続けてきていたわけで、今日はその審査日だったワケ。
 審査は作成された帳票類を使って審査委員と共にマニュアル通りに通常業務が行われているかを確認していくワケだが、その審査方法は“まんま対話”であり、思っていたより会話が普通に流れていくだけのような感じだった。
 その流れとここ2週間の確認作業を見てふと思った。
 コレって…日本の大学受験と同じじゃない?
 要するに、ISOの審査を通過するための勉強をして、当日通過するための通過儀礼をするだけ。
 本来、ISO 9001は“自分たちの作業を標準化する”事が目的なんだろうが、結局は審査を通過するために資料を作成したり手順を覚えたり…
 実際の仕事の中で行われている事ではあるものの、実際にその資料作りなどはあくまでも審査を通過するために作られ、人々の頭の中に入っているのかどうかはかなり曖昧。
 まるで大学受験の為に勉強していると称して、その実、受験に合格するためのテクニックを覚えているだけの、本来の勉強とはかけ離れた作業をしているにすぎない現状と同じような気がしてきた。
 これでISO 9001認証取得と言われても、ホントにそれ意味あるの?と思えてしまう。
 まぁ、内容をよく知らない人からすると、ああ、国際的に認証されてるのね…ぐらいの感覚なのかもしれないが、製造業においてモノ作りは結局作られるモノと技術で語らねばならない所を、こうした国際認証取得で誤魔化している感じがしてならない。
 …製造業は、結局は作られたモノがその中身を語るんですよ。
 私、間違ったこと言ってます?
 ビジネス的に業務を分析できているかどうかは、その会社の問題であって、対外的にISOを取得しているとかしていないとかは無関係ですよ。
 問題が起きたとき、そのトレーサビリティを確立するためにISOを取得しているという事なのかもしれないが、そもそも問題が起きる製品つくっちゃダメなんですよ…。
 ま、その万が一を考えてのISOなのだろうが、そのISOが日本の受験みたいな通過儀礼では意味がないでしょ…
 と、いつもの如く毒を吐きまくる私であった。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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