PowerDollsの面白さが蘇るか?

 PowerDollsという名作シミュレーションゲームがあった。
 WindowsというOSが登場する前に存在していたゲームだからもうかなり古いゲームである。
 ジャンルタイトルにはドラマティックシミュレーションというジャンルが書かれているから、シミュレーションゲームなんだという事はわかるが、バッケージイラストを見ると、かわいい女の子がちょっとサイバーな格好をしている姿が描かれていて、その隣には色気も何もないメカが仰々しく描かれている…PowerDollsというゲームのバッケージは、ある意味とてもナンパなデザインだった。
 シミュレーションゲームで女の子が出てくる…当時はこの時点で、ほとんどの人は簡単なシミュレーションゲームだと思う事になる。そんな時代だった。
 だが、このPowerDollsはそんな甘い考えでもってプレイしたなら、コテンパンにされるゲームだった。確かに女の子が出てくる。出てくるが、そのゲームの中身はシステムソフトの大戦略シリーズよりも硬派だったかもしれない。
 とにかく難易度が高い!
 生存率が低く、与えられるミッションをノーダメージでクリアできる事など稀に等しい難易度だった。しかもドラマティックシミュレーションと謳われている通り、このシミュレーションゲームには一つの一貫したシナリオが用意されていて、条件でそのシナリオがいろいろ変化していくのである。それが難易度に結びついたとき、そこからさらなる難関が降りかかってくるという、実にやり応えのあるゲームだったのである。
 このミスマッチが功を奏したのか、PowerDollsは第一作でも人気作となり、第二作でその人気は爆発した。
 マルチメディア展開に発展したPowerDolls2は、小説、アニメ、漫画へと枠を広げ、一時代を築くまでの作品となった。残念だったのは、アニメの出来がイマイチだった事。これが最高峰と呼ばれる出来だったなら、PowerDollsは新しいロボットアニメの金字塔となったかもしれない。
 そんなPowerDollsがブラウザゲームになる、という話を結構前にした。
 そして実は触れなかったが、6月にデバッグテストが行われていたのである。

 今は既にデバッグテストは終了してしまっているが、ブラウザゲーム“Web PowerDolls”は、司令官であるプレイヤーが女性兵士を訓練し、パワーローダーと基地を運営、戦地へと部隊を派遣して軍資金を増やし、軍団を強化していくというゲームである。
 …シミュレーションではあるが、元々のゲームとはかなりかけ離れそうな感じではある。


 で、そのクローズドβテストが7月7日から行われることが告知された。

 今度は5,000名で、しかもある特定の条件を満たすと、本サービス開始時に“パワーローダー X5零”がもらえるキャンペーンも同時開催される。
 特定の条件というのが以下。

1) “Web パワードール”クローズドβテスターに当選していること
2) クローズドβテスト期間中にゲーム内で「研修」を終了した方
3) クローズドβテスト終了後に公開されるアンケートに答えた方

 ま、今回のクローズドβテストに参加できれば比較的簡単に手に入るのではないかとと思う。
 私は…正直このブラウザゲームをやろうという気が起きていない。
 理由は単純だ。オリジナルのPowerDollsの面白さを十二分に熟知していて、なおかつその後に発売された続編のダメっぷりを知っているからである。
 残念な事に…誠に残念なことに、PowerDollsはPowerDolls2シリーズ(PowerDolls2はそれ単体でいくつかのシリーズが存在する)以降はどんどんつまらなくなっていったのである。
 シナリオも簡単になり、難易度も随分と下がった。敷居が下がったことでユーザーの間口は広がったかもしれないが、本来の面白さはどんどんと薄れ、いつしか“ただのシミュレーションゲーム”になってしまったのである。
 元となる設定がとてつもなく良く出来ていただけに、この落ち込み具合は悲しい以外の何者でもない。

 今の工画堂スタジオでは、オリジナルのPowerDollsの面白さを取り戻すことは難しいのではないかと思う。というのは、工画堂スタジオの主軸はもう既に他にあり、PowerDollsでなくてもメインを飾れるだけになったからだ。
 おそらく、PowerDollsをより面白くできるのは、そうした過去のPowerDollsを知っている人たちではないかと思う。
 そういう側面で見れば、このブラウザゲームは別メーカーであるガマニアが制作しており、面白い可能性を秘めているようにも思える。が、ちょっと見た感じではその可能性は限りなく低そうに思えてならない。
 なので、他の人には「かつておもしろかったPowerDollsのブラウザゲームだよ」という紹介はできても、私自身は今ひとつ乗り気になれない。
 誰か、プレイする人がいたら、面白いかどうかをぜひレビューしてほしいものである。

 ま、PowerDolls自体は今でも好きなので、できる事ならフロムソフトウェアあたりがアーマードコアのような感じで作ってくれるとありがたいのだが…。
 フロムソフトウェアさん、何とかなりません? -_-;

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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3 Responses

  1. アバター画像 きっず より:

    うん、判ってはいるけど、管内閣に期待するぐらいの期待度で申し込んでみましたw

  2. アバター画像 武上 より:

    菅内閣に期待するぐらいの期待度って個人によって差がでるな。
    私なら…ゼロだぞ?w

  3. アバター画像 きっず より:

    うん、まぁ、評価は同じですw

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