Endeavor ST170E、登場

EpsonのEndeavorシリーズは、実の所私の個人的好みに合致する製品だったりする。シンプルなデザインの中に必要十分な性能を詰め込むというスタイルのこのシリーズの中でも、特にSTシリーズは私のストライクゾーンに入る製品なのだが…。

NUCの存在がSTシリーズを陰らせたか?

EndeavorのSTシリーズの良いところは、コンパクトに収められたその筐体にある。
小さくても必要十分な性能
ところが最近ではNUCというもっと小さなプラットフォームが登場しているため、現時点でSTシリーズの良さがスポイルされてしまっている。
「小さい」という事を売りにしていたPCは、軒並みNUCの登場でその存在価値の半分くらいは失いつつあるわけで、STシリーズはマトモにそのど真ん中に存在しているようなPCである。
その中でSTシリーズが光る為に必要な要素は何かというと、やはり業務に耐えられるだけのインターフェースを持つという事になるだろう。
NUCはお世辞にもインターフェースが充実しているとは言い難い。約120mm角に収まるNUCはマトモに2.5インチのストレージすら入らないわけで、そこにいろいろなインターフェースを詰め込むのは難しい。
STシリーズもその大きさからインターフェースが豊富に揃っているとは言い難いが、今回のST170Eは、オプションでシリアル端子(RS232C)を増設できるよう配慮されている。
製造業などでは、未だにこのシリアル端子を使用しているケースも多く、USBへの移行が終わっていない事も多い。
また、標準で搭載されているGigabit Ethernet端子をもう一つ増設する事もできる。ネットワークを分離して運用しているケースでは、こうしたネットワークカードを2枚使用しての運用もよくある話だが、ST170Eはその要望にも応えることが可能だ。

光学ドライブは別体でくっついているだけ

Endeavor ST170Eは、光学ドライブ搭載モデルと、光学ドライブを持たないスリムモデルの2モデルが存在する。より小さくするために、光学ドライブが不要というユーザーに対してより小さな筐体を用意したのだろうと思う。だが、同時に光学ドライブが欲しいユーザーもいるわけで、そういうユーザーの為の筐体も用意している。
だが、それではコストが高くついてしまう。そこで考えたのが、DVDドライブを別体で用意し、背面でUSB接続してしまうという方法。つまり、PC本体の上にそのまま重ねるように取り付き、接続は外部でやってしまうというのである。
これはこれで考えたな、とは思うが、これによってUSBポートが一つ消費されてしまうのは正直戴けない(ま、光学ドライブ側にUSBが1ポート増設されるワケだが)。
この大きさでも何ら問題はないと思うが…
思うのだが、そもそも小さくてとにかく稼働させすれば良いというユーザーはST170Eを選ばないように思う。前述したようにNUCという存在があるからだ。
だからここはあえてDVDドライブを内蔵するくらいの大きさにしてしまい、光学ドライブが不要な人は内蔵せずに他のデバイスを接続して使用できるという選択肢を残す、従来のSTシリーズと同じ道で良かったように思う。
どうしてこういう判断になったのか、という事は明確な事はわからないが、おそらく光学ドライブの必要性をかなり低く見積もっているのだろうな、と考える。
実際、私もVAIO Duo 13のセッティング時に、USB接続のBDドライブを購入はしたが、設定そのものでは光学ドライブの必要性はなかった。
そういった現代のPC事情を考えた結果、光学ドライブ不要モデルをメインに据えて、ラインナップとしたのだろう。

BTOできるCPUにQuad Coreがある

Endeavorシリーズは軒並みBTOできるのも強み。自分の好きなようにカスタマイズする事で、付加価値を高める事ができる。
今回のST170EもBTOできるのだが、その構成の中にCore i7-4702MQが選択できるようになっている。
前提としての話だが、STシリーズは初代からノートPCなどで使用されるモバイルプラットフォームで構成されている。ある時期は部分的にメモリはデスクトップと同じものを使用可能にしていた時期もあるが、今回のST170Eはその構成がほぼモバイルプラットフォームである。
だからBTOできる構成もモバイルプラットフォームのものになるが、モバイルプラットフォームになるとそのマシンパフォーマンスが限られるという問題が出る。
ビジネス主体の場合はそれで問題はないのかもしれないが、折角デスクトップとして使用するのだから、ある程度のパフォーマンスは欲しい所。
幸い、ST170EはBTOでCore i7-4702MQが選べる。コイツはモバイル系としては珍しいリアル4コアのCPUである。ガチで多重処理をしなければならない場合は、この選択はありがたい。
但し、ビジネス系を主眼においている事もあって、内蔵ビデオ機能でIntel HD Graphics 5000以上を搭載したCPUは選択肢にない。最高でもIntel HD Graphics 4600になるため、ビジネスなら困る事はないが、これでハイエンドゲームPCとするのは難しいだろう。

普通にPCとして使う小型プラットフォーム

NUCが最小PCだとしても、内蔵ストレージがmSATAのSSDが主体となる以上、その使い方はノートPCをデスクトップリプレースメントとして使う方法と似たような運用になるだろう。がっつりと2.5インチHDDの容量を使いたい、などという用途で考えれば、NUCよりもST170Eの方が選択肢に入ってくる。
ビジネスを意識したPCだが、個人宅に入っても活用域はかなり広い小型PCと言える。
普通に使えて小さいPCが欲しいという人には、オススメてきる構成だと思う。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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