PS4をPCでリモート

PS4をPS VITAでリモートはもともと出来る機能だったが。

Remote Play PC

4日ほど前の話である。
PCでPS4をリモートできる非公式ソフトが日本時間の11月26日に海外の個人デベロッパーからリリース予定だという話が浮上した。
もともとPS VITAで可能だった事だが、この技術そのものの原理はとても簡単なのもので、要はPS4の映像出力をLAN(有線・無線問わず)経由で出力して、LANを受信できる媒体にその映像を受信、受信した媒体で操作した結果をLANを経由してPS4に返すという、実に単純な仕組みである。
ただ、問題はその送受信の速度だけが問題であり、またその通信に使う暗号化の解析だけが個人で行うには問題だったに過ぎない。
だが、この個人デベロッパーはそれを可能にしたのか、或いは他の方法にたどり着いたのかは解らないが、とにかくPCでPS4をリモート操作する事を可能にしたようであった。

これを見る限り、PS VITAでリモートしている時とほぼ同じ状態でPCでリモート出来ているようである。
また、このリモートの遅延に関しては…

ほぼ遅延なしと言っても過言ではないレベルである。
よく個人でココまで再現したものだと思う。

Twisted’s Development Blog
http://tmacdev.com/

ところが…

このRemote Play PCの情報が露呈した後、今度はSCEの吉田修平氏がTwitterで以下のようなコメントを発表した。

…まぁ、英語なんで読めない人も多いかと思うが、要するに『PC及びMacで動作するPS4リモートアプリの公式アプリを開発中で提供予定がある』という事である。
Twisted’sの中の人、もう涙目なんじゃないかと思うが、公式アプリが提供される予定となると、Remote Play PCの購入者はかなり減ってしまうのではないかと思われる。
ただ…Sony系列のPC用ソフトというのは、比較的デキが良くないものが多いのも事実で、過去ウォークマンと連携するソフトであるSonic Stageなどはかなりヒドイ出来映えだったという記憶が私の中にある。もし公式アプリのデキが酷いようなら、Remote Play PCを導入する、という手もあるかもしれない。

意味あるの? と思う人

だが、そもそも据付けのPS4をPCでリモートする意味があるのか? と思う人もいるかもしれない。
少なくとも、意味は二つある。
確かにデスクトップPCならそう思えるかも知れないが、これがノートPCのように持ち運びが出来るモバイル端末だと話が変わってくる。そう、一つはまさにこの遠隔操作にある。
これはPS VITAでも可能だったが、何も同じ屋内でなくてもインターネットと接続できる環境があれば外であっても、このリモート操作が可能になる。
だから出先にインターネット接続環境があるならば、その場で自宅のスタンバイ状態になっているPS4を起動させ、その場でプレイする事が可能になる。これが従来はPS VITAしかできなかったものが、WindowsやMacでもできるようになるのである。
この場合、PCはLANの通信を受信できる環境とせいぜい動画を再生できるパワーがあれば良いわけで、何も高度な演算を可能にするGPUは必要ない。だから、今後普及が予想されるWindows 10 Mobileを搭載したスマホやタブレットであっても、これが可能になるという事でもある。

もう一つの意味は、PS4とPCを一つのディスプレイでプレイしている人に大きく意味がある。
ディスプレイの入力端子を切り替えなくても良くなるのだ。PC上からPS4の操作ができるのだから、ずっとPC側でコントロールするだけで良くなる。
そしてこの方法は、PS4の映像をストリーム生放送している一部の人達の福音にもなる可能性がある。
PS4は単体でもブロードキャストできる機能を持っているが、PCの映像などと組み合わせて放送したい人からすると、当然だが一度PS4の映像をキャプチャしなければならなくなる。だから本来ならキャプチャユニットが必要になったりするのだが、もしアプリだけでPS4の映像をPCに表示させる事ができるのなら、配信ソフトはキャプチャユニットの入力を受けるのではなく、リモートされているアプリの映像を受ければよくなり、キャプチャユニットがなくてもPS4の映像をPCに取り込む事ができるようになる可能性がある。
まぁ、可能性レベルの話もあるにはあるが、PCでのリモートにはちゃんとした意味はあるのである。

Xbox One対策か?

今回のSCEの公式ツイートは、Remote Play PCを牽制する為のコメント…かもしれないが、私はそれ以上にXbox Oneに対する牽制ではないかと思っている。
Xbox Oneは6月にXbox360のソフトを稼働させるプレビュー対応が行われ、11月12日にWindows10への統合と同様に正式に対応する事となった。
Xbox Oneの場合は後方互換性への対応が主ではあるものの、Windows10への統合という意味で、間違いなくPC上での動作に対応を行ってくる。
つまり、プレイ幅という意味でPS4を超えてくるワケである。
利便性そのものは最初は大した意味を感じられないかも知れないが、いざ使ってみるとその便利さから不思議と用途が増えてくる…なんて事はよくある話で、SCEもソコにテコ入れしないといけないという事を考えているのかも知れない。
実際、PS VITAは別としても、インストールベースの少ないXperiaにしかリモート対応していないのは、そもそもそのアプリを作った意味がほとんどない事になる。
このコメントタイミングそのものは、いろんな意味が重なった為かもしれないが、今後はPS4ももっとオープンにしていく路線を採るという意思表示を行ったのかもしれない。

どちらにしても、私としては今回の公式アプリの発表は有り難い話である。
唯一の心配は…公式アプリがいつ出るか? までは言及されていないという事である。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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