オリンパス中期経営計画

我が愛機E-M1の今後を占う一因になる話。

ブランドポジションの確立

具体的な話は、公式サイトのPDFデータを見て戴きたいが、私の本来の目的である映像事業に関する部分だけで見ると、3つの要素が中期経営計画に盛り込まれている。

  • 映像事業はデジカメ市場の変化・縮小に対応すると共に、映像事業の技術・リソースの他事業における活用を検討
  • 小規模であっても特定の顧客に価値を認められる特徴あるブランドポジションの確立
  • OM-DおよびPROレンズを中心とするシステム優位性の実現と全社技術ドライバーとしての貢献

ココからいろいろ憶測するのは難しいのだが、先日話題に出たオリンパスのフルサイズセンサー搭載機発売の話は、どうもあり得ないように私は考える。
というのも“映像事業はデジカメ市場の変化・縮小に対応する”と謳っているからだ。これは明らかに高収益モデルを中核に据えるという話になるわけで、デジカメ本体のフルサイズセンサーを今から開発、発売したとしても、それが高収益モデルになるかと言われれば、流石に後発過ぎてそれに該当しないように思える。
逆に“映像事業の技術・リソースの他事業における活用を検討”とある所を見ると、他社フルサイズセンサー機へのレンズ供給という側面を見て取ることができる。
つまり、オリンパスとしてはフルサイズセンサー市場に全く入らないという事はないが、カメラ本体をフルサイズセンサー搭載型にはしない可能性が高いのではないかと。
そうなると、オリンパスの光学技術の高さを他機種で証明する形になる為、或いはオリンパスブランドをさらに高める結果を生み出す事になるかもしれない。
…逆を言えば、そのオリンパスの光学技術がニコンやキヤノンに至らないという事を証明してしまう結果を招く恐れもあるワケだが。合いすぎて恐すぎる…とにかく“OM-DおよびPROレンズを中心とするシステム優位性の実現”とある以上、現在のOM-DシリーズとPROレンズには継続して予算投入が行われる事は間違いない為、E-M1の後継機に関してはおそらくm4/3規格で進んで行く事に間違いはなさそうである。

基礎技術研究は重要

オリンパスが“小規模であっても特定の顧客に価値を認められる特徴あるブランドポジションの確立”という一文を中期経営計画に盛り込んだのは、明らかに基礎技術研究を止めないという事を明言している、と私は見ている。
日本の素材メーカーを見ていれば解るが、基礎研究を根気よく続けていくメーカーは世界的にも強い企業へと成長している。
たとえば旭化成。例えばクラレだったりする。これらのメーカーは素材メーカーとして世界的なシェアを確実なものにしていて、他国では追いつく事のできないレベルに昇華した。
光学技術も全く同じで、基礎技術研究なくして今後の優位性は語れない。
おそらくオリンパスがフルサイズセンサーの研究を始めたのは、そうしたフルサイズセンサーに対応できるレンズを研究、製造して行くことで、光学技術の積み上げを行うつもりだろうと予測する。
昔は光学技術と言えばドイツだったが、現在では日本もそれら技術では世界的な技術力を保有していると言える。それらは研究の賜物であって、その研究を止めてしまえば技術はそこで止まってしまう。
オリンパスはまさにこの部分にフルサイズセンサーという道を見出したのではないかと思う。
そうなれば、他社へフルサイズセンサー対応レンズを供給する可能性は十分あり得るわけで、自社ではm4/3のシステム優位性を訴求し、その技術をひっさげてm4/3規格を盛り上げていこうとしているのではないだろうか。

何はともあれ、中期経営計画という、ある程度の期間にわたっての計画が見えたことで、今後のm4/3はまだ安心していいと言えるだろう。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

2 Responses

  1. ruser より:

    やはり、小さくて軽いのは良いですよね。
    カメラの売れてる台数的にも、小型軽量なミラーレスはまだのびしろがあるように思えます。

    センサーが小さいから云々と言う話はよく聞きますが、写真はスペックで撮るものでは無いし、レンズの性能やセンサーの改良によってその差も縮まりつつあると思います。
    私もミラーレス使ってますが、一眼レフと比べて不満なのは高感度耐性が低い事と、EVFの画素数やタイムラグ位で、等倍鑑賞でもしない限り画質的な差は本体のサイズや重さほど無いと思ってます。
    流石にエントリー機のE-M10では劣るところも多々ありますが、それでも拡大表示出来るEVFの有り難みはMFレンズやオールドレンズを使ったときに感じてます。

    あと、(比較的)レンズ安いのは良いですよね。
    私は今後フルサイズ用レンズを買う事になると思いますが、あの価格にはそうそう手を出せる気がしません…(´д`)

    ところで、何でE-M1に着いてるのFlectogonなんすかw
    PROレンズってこんなデザインだったっけ?って見直しちゃったじゃないですかw

    • アバター画像 武上 より:

      「センサーの大きさが画質の優劣差でない事を教えてやるっ!」
      …とオリンパスには力強く言ってもらいたいもんですが、オリンパスは自社センサーではないので、言い切るのは難しいかも知れませんな。
      高感度耐性に関しては、センサーが変わる事で一気に改善するように思います。
      それだけにE-M1の後継機には期待せざるを得ないワケですが。

      ちなみに私はEVFのタイムラグを感じた事は一度もないですね。E-M1はファームウェアアップでEVFのフレームレートが向上したってのもありますが、もともと高速動作するEVFなのと、私が極端に動くものを撮影していないという事がそう思わせる原因かも。
      とりあえず、E-M1で不満を感じた事はないです。
      なので、この路線でオリンパスには頑張ってもらいたいと常々思ってるわけです。
      ま、おそらくこのままの流れで進んで行く事になるだろうとは思いますけどね。

      ちなみに…Flektogonの写真を使ったのは、レンズの大きさとかバランスが絶妙でものすごく似合うからです(爆)

ruser へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version