楽しいが不満足?

アイマスプラチナスターズをちょっとずつはじめてみた。

見栄えはOK

PS4というプラットフォームに移行した事もあって、アイマス史上最高のグラフィックスを実現したアイマス。それだけに、見ているととても綺麗で見応えがあるものの、私がプレイして感じた第一声が「コレ、ゲームとしてどうなの?」だった。
まず見た目という意味だけで見ると、モデリングデータやテクスチャ処理など、その演出の巧さは流石というべき内容になっている。これを疑う人はあまりいないと思う。
PS3版「ワンフォーオール」では、13人総出演のオールスターライブになると、単に大きさとテクスチャに一部を変えただけのキャラクターが総出演していたに留まっていたものが、今作は一人一人のモデリングが別々に作られていて、千早の72もちゃんと区別されて表現されている。
それだけに、見応え感は凄まじいものがあるし、ちゃんと13人が独立しているという感覚が非常に強い。
そのあたりは大いに評価できるのだが、あくまでもこれはゲームである。
だからゲームという側面で検証してみると、やはりそこにはいくつかの疑問符が付くわけである。

ゲーム性ダウン

プレイし始めて最初に感じるのは、完全にリズムゲームであるという事。
タイミングを取るという意味ではアイマス2もタイミングを合わせてボタンを押すというゲーム性を持っていたが、今回のアイマスは一定タイミングから変速タイミング、つまり楽曲に合わせたタイミングでのボタン押下に変わり、ライブ中はゲーム性が増したとも言える。
そこまでは良いのだが、問題はバーストアピールとか想い出アピールなどが自分のタイミングで出せないシステムのようで、アイマス2に存在していた駆け引きという要素がなくなってしまった。
さらに、ライブ以外のアイドル達とのコミュニケーションという部分は随分と簡素化されてしまい、失敗はなくなったものの、成功したからどうなのか? という、各キャラクターたちとの親密さがかけらも感じられない流れになってしまった。
つまり、ゲーム性という意味で存在しているのは、アイドルランクというランクとそれに合わせた難易度、そしてユニットの組合せによるスコアの稼ぎ方の違いという、実に簡素なものだけになってしまった。
私が初めてアイマス2を見たとき、コレは面白いと思った、他アイドルユニット達とのランキングとそれに応じた売上などのデータを元に、新曲等を投入するタイミングを見てラストの大会を目指す…というような要素は皆無になってしまった。
これはゲーム性という意味では総合的にマイナスになったのではないかとすら思えてくる。
完全に楽曲とそれに合わせたリズムゲームという要素に全フリしたタイトルである。

時代がそれを求めたのか?

私はXbox時代のアイマスをあまり詳しく知らないのだが、当時のアイマスはどちらかというとギャルゲーに近い立ち位置のゲームだったのではないかと思っている。
だから各キャラクターとのコミュニケーションは実に重要で、そのコミュニケーション次第で望むエンディングを迎えられるかが決まったと言える。
また、アイマス2においても、結局は指定したアイドルをトップアイドルにする事が最終目的で、そこにはちゃんとプロデューサーとの関係が存在し、その上で決められた期間でのエンディングが用意されていた。
しかし、ここ最近のアイマス(シリーズ含めて)はリズムゲームという側面が強いものが多く、挙句の果てには「太鼓の達人」とのコラボレーションまで実現してしまい、当初のコミュニケーションゲームという側面がどんどんと薄れてしまった。
リズムゲームを求める人からすればそれもよいのかも知れないが、アイマスのキャラクターをメインに考える層からすると、本作の方向性は求めていたモノと異なるものになっているのではないかと思う。
スマホのシンデレラガールズスターライトステージもそうだが、完全にリズムゲームという作りは、今後も主力になっていくのだろうか?
だとしたら、何もアイマスでなくても良いような気がしてならないのだが。

そうは言ってもアイマス

ただ、今回のプラチナスターズは、合宿という設定を上手くいかし、あらゆる所でキャラクター達の日常をとらえている。
ゲームをプレイしていると、次第にこれらの映像が邪魔になってくる事も多々あるのだが、合宿所にいる姿をいろいろ垣間見る中で、各キャラクターの特徴が見えたりする事がある。
この見せ方は、PS3版「ワンフォーオール」の中にも見られた事だが、演出として魅せるという方向に舵を切り、特にシステムとしてユーザーに何かをさせるのではなく、日常の一つとして見せるだけというやり方。
だから…途中から飽きてくる事がある。プレイヤーの中からは「飛ばせる機能が欲しい」と言われる見せ方の筆頭みたいなものである。
この辺り、良い受け止め方をすればアイマスらしくてキャラが立っているという言い方ができるが、悪い受け止め方をすると、ゲーム性とは何ら関係のないところに力をいれてもね…となる。
実際、長時間に渡ってゲームをプレイする側から考えると、演出としては理解するがゲームとしては理解しがたいところがあるのもまた真実である。
キャラクターを立たせたいが故に、ゲーム性を犠牲にする。
…ここらへんは良くも悪くもアイマスであり、物議を醸す部分でもある。

やはりアイマス2が頂点か?

こんな事を言うと反発を受けるかも知れないが、個人的にはアイマス2がゲームとして見たときに頂点に来るような気がしてならない。
ワンフォーオールはエンドレスゲームとなった事によってアイマス2の良さをバッサリと切り捨ててしまったし、今回のプラチナスターズはPS4のパワーをそのままグラフィックのみに向けたものとしか言いようがないように思う。
リズムゲームにするならば、いっその事「シンデレラガールズスターライトステージ」のような作りにしてしまう方が潔かったかも知れない。まぁ…そうなるとDLCの売り方が変わってくる可能性は高いわけだが。
繰り返すが、ゲームとして見たときは、私はXbox時代のアイマスを知らないだけに、アイマス2が頂点にあるように思える。リズムゲームとしては中途半端かもしれないが、少なくとも駆け引きが存在して戦略を立てる事ができるライブパートがあり、キャラクターとのコミュニケーションがその戦略の中枢に影響を与えるという作りになっていた点は、ゲームとして実に良く出来ていたように思う。

まぁ、そうはいいつつも、私もまだプラチナスターズは始めたばかりで、まだまだその要素の欠片も理解できていない可能性があるため、これからその面白さの真髄を理解して行かねばならないのだが、現時点で直感的に感じたのは、私が思ってた方向性と違うところに流れていた、というものである。
それでもステージフォーユーは見ていても結構楽しい要素なので、アイマスファンは楽しめる事は間違いない。グラフィックスが綺麗になっただけに、その要素だけでも見物といえばそうなのかもしれない。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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