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重要科学技術史資料

過去を保存する。

デジタル技術だって歴史がある

9月6日本日、独立行政法人国立科学博物館より「重要科学技術史資料」としてNEC製パソコン「PC-9801」及び「PC-100」が登録されたと発表された。
「PC-9801」は1982年発表の16bitパーソナルコンピュータで、Windows95が出てくるまで事実上日本の標準機として長きにわたって活躍した。
「PC-100」は1983年発表のマウスによるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を搭載した業務用PCで、MS-DOS ver2.01上で動作するマウスオペレーションを可能にしたコンピュータである。最大の特徴は縦横自在に使える絵と文字を同様に扱えるビットマップディスプレイを標準としていた所にある(だからこそのマウスオペレーションなワケだが)。
一般的にはPC-9801シリーズの方が馴染みはあるかもしれないが、どちらも現在の日本のコンピュータの歴史を支えてきた名機中の名機である。国民機と呼ばれた名機中の名機

PC-9801

私も真実は知らないのだが、当初PC-9801には国産OSが搭載されるという話が出ていたらしい。その国産OSとはTRONと呼ばれるOSで、現在でも家電などに搭載されているケースがある。
ところが、1980年代初めは米国との貿易摩擦が激化した時期であり、米国より強い圧力がかかり、PC-9801には米国製OS、当時急速に普及し始めたMS-DOSが搭載される事に決まったと言われている。
それが結果的に良かったかどうかは定かではない。だが、国産OSでなく海外のOSを搭載するという事になった経緯から、PC-9801はMS-DOSというOSが持っていない漢字を再現する為に、ハードウェアとして第一水準漢字ROMを搭載したりしている。まぁ、当時はソフトウェア処理は速度が稼げないため、TRONを搭載していたとしても、漢字ROMは搭載したかもしれないが、少なくとも日本語を扱う為にハードもソフトも独自仕様を組み上げなければならなかった事は間違いない。
とにかくPC-9801は長きにわたってシリーズ製品が次々と投入された製品で、特にカスタムCPUであるV30を搭載したPC-9801VM2は21万台を売り上げる名機となった。
だが、その後CPUが80286や80386を搭載したRA/RXシリーズが出てくる頃になると、個人的にはPC-9801シリーズは随分と迷走してきたな、と感じるハードになった。V30というカスタムチップのカスタムした部分が悪影響を及ぼしたのか、CPUをV30と80286/80386と2つ搭載し、物理的スイッチで切り替えるというようなシステムになった。本来なら切り捨ててもよいV30を使い続けなければならなかったのは、PC-9801専用で制作されたソフトウェアの一部が、80286/80386で動作しなかったからである。
そういった問題はあったものの、その後ラップトップ機(膝の上で使えるという意味)も登場し、とにかくPC-9801は日本国内パソコンの絶対王者として君臨した。それだけは間違いない事実である。

個人的にはX68000

PC-9801が「重要科学技術史資料」となる事については反論はない。
だが、私は同時にシャープから発売されたX68000も同様に「重要科学技術史資料」と扱って欲しいと思っている。
今の国内プログラマーの育成に大きく関与した、という意味では、PC-9801以上にX68000は活躍したのではないかと思うのである。
PC-9801は、たしかに国民機と呼ばれるほど普及はしたが、プログラマーがプログラムを組みやすい機種だったかというと、実の所そうでもなかった。しかしX68000は使用できるメモリ空間は広く、画面の発色数も多く表現豊かで、クリエイターとしての発想力をも刺激するコンピュータだった。
しかも、X-BasicというC言語にコンパイルできる開発言語を持っていたりと、今日のプログラマーを支える技術を当時から提供できていた。恐らくだが、現在のプログラマー達の管理者や熟練プログラマーなどは、その昔X68000ユーザーだったという人は少なくないハズである。
また、現在のPCが高速動作する礎を生み出したのもX68000だと言える。
もともと10MHzで動作するところを、ハードウェア改造で17MHzで動作するようにしたのは、民間のX68000ユーザーである。基盤に取り付けられていた水晶振動子の交換でそれを実現したのである。
ハードウェアとしてもソフトウェアとしても、熟練の技術者を生み出すきっかけになったX68000は、日本の科学技術の一端を確実に支えてきたと言えるのではないだろうか?

黎明期を支えた名機

X68000もそうだが、1980年代というコンピュータの黎明期を支えてきた名機は他にも沢山ある。
その中から特別にPC-9801を持ち出すというのは、理解できなくもないが、残念な話でもある。
見る者の視点の違いにもよるが、PCとテレビの融合をもっとも早い時期から達成していたのはシャープのX1シリーズだったし、初めて8bit機で4,096色という天然色の発色を達成したのは富士通のFM-77AVだった事を考えると、評価すべきポイントによっては歴史に名を残す名機は他にもある事になる。
また低価格でコンピュータを使用する人を爆発的に増やしたのは共通規格のMSXだし、視点を変えればいろんな名機が出てくる。それぐらい黎明期にはいろんな種類の、いろんな特徴のあるパソコンが多かったワケであり、その多様性がいろんな文化を生み出していた。
もし、当時から多様性のない製品しか存在しなかったなら、その後の日本のプログラマー達から、世界に羽ばたく人材は生まれなかったように思う。
ビジネスソフトももちろんそうだが、日本のパソコンゲームの多様性に驚き、その後過去の名作を集めて保管する外国人がいたりするのも、そうした日本独特の多様性から生まれた文化から作られた作品に特徴を見出したからに他ならない。そしてそうしたプログラマー達が、現在のPlayStationフォーマットを支えていたり、或いは任天堂フォーマットを支えていたりするわけである。
たしかに海外プログラマーの凄さというものもあるが、日本人は限られたリソースの中で最大限のパフォーマンスを生み出す特徴がある。そうした土壌を確固たるモノにしたのは、間違いなく1980年代の名機たちである。

正直に言えば、もっと記念すべき名機は沢山あるだろうとは思う。ポケコンと呼ばれるポケットサイズのコンピュータにも名機は存在する。私が知るだけの話では済まない話ではあるが、そうした文化を生み出した名機達を科学技術資料として登録し、保管する…莫大な予算がかかる事かもしれないが、文部省も一緒になってそうした活動をしてくれないかと思ったりする。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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