30mmマクロというレンズ

コストパフォーマンス抜群。

こんなに安くていいのか?

オリンパスからマイクロフォーサーズ用30mmマクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro」が11月18日に発売された。
マクロレンズなので寄れるレンズとしては普通のレンズよりはずっと寄れるし、何と言っても最大撮影倍率が1.25倍(35mm判換算で2.5倍)ととにかく被写体を大きく撮れるというのが魅力。
最短撮影距離が短い事もあって、人によっては非常に扱いやすいレンズかもしれない。
私はマクロレンズを一本も持っていないので、購入候補に入れているレンズの一つなのだが、このレンズ、機能もさることながら恐ろしいまでのコストパフォーマンスが魅力。
メーカー希望価格が32,400円、店頭での実売価格は既に3万円を切った価格で購入できるという、夢のようなレンズである。
オリンパスの公式オンラインショップで使えるポイントを最大限使えるのであれば、27,540円で購入できる(恐らく現時点では最安値)。
プレミアムレンズに分類されてはいるが、価格は驚く程プレミアムという程ではない、有り難いレンズである。

光学特性も申し分なし

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macroのレンズ構成は、6群7枚と現代のマクロレンズとしては仰々しくはないシンプルな構成。但し、その使われている7枚のレンズのウチ、3枚は特殊レンズで、DSAレンズ、EDAレンズ、非球面レンズが組み込まれている。
この構成枚数を減らしたという所がポイントで、6群7枚の構成ながら、重量128gと実に軽い。
F値は3.5と明るいわけではないが、常用域と言えばそれまで。使いどころに困る事はあまりないハズである。
最短撮影距離は撮像面から9.5cmと近い為、ほぼレンズの真ん前に被写体を持ってきて撮影しても問題はないハズ。寄れるとかそういう問題じゃないレベルである。
公式ページでMTFチャートを見ても、光学特性もこの価格にして申し分ない性能を持っていると言える。価格を考えれば十分でしょう試写した事がある人であれば、このレンズの光学特性の良さはわかると思う。
ただし、気になる人は遠景におけるボケにややざわつきを感じるかもしれない。まぁ、私は驚く程気にはならなかったが。
通常、本格的なマクロレンズにはフォーカスリミッターが付いていたりするが、このレンズにはそういった機能はなし。必要最低限だからこそ、この価格が実現できたと言えるが、そのかわりフォーカスブラケットに対応している為、被写界深度を十二分に補える。同じオリンパスの60mmマクロレンズよりも被写界深度は深く、より幅広い深度を楽しむ事ができるのは良いポイントと言える。

ライバルは?

同じマイクロフォーサーズ用のマクロレンズ、つまりライバルだが、私としては3種のレンズがライバルとして考えられる。
パナソニックから発売されている「LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.」と「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. H-ES045」、同じオリンパスから発売されている「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」がライバルである。

この中でもライバル筆頭とも言えるのが「LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.(以下パナ30mmレンズと略)」である。何しろ、サイズも価格も非常に似たところにあるからだ。
違いは最大撮影倍率で、小さい被写体にクローズアップ撮影で臨むのであれば、オリンパスの30mmを選ぶ方が良いが、標準レンズとして使って行くのなら、パナ30mmレンズの方がAFの速さで使いやすい。
また、パナ30mmレンズはレンズ内手ブレ補正を持っている為、LUMIXユーザーは当然パナ30mmレンズの方がメリットが大きい。
E-M1の私なら…オリンパス30mmマクロの方が選択肢としては良いと思える。

「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. H-ES045(以下、パナライカ45mmレンズと略)」は、マイクロフォーサーズ用マクロレンズの元祖と呼べるほど長期に渡って販売されているマクロレンズである。
ワーキングディスタンスの長さでいえば、このパナライカ45mmレンズの方がオリンパス30mmマクロレンズより長くとれるので、本格的な撮影が可能。
最大の弱点は設計が古いっ!(爆)
ま、元祖だから当たり前だが、これもレンズ内手ブレ補正機能を持っている為、LUMIXユーザーは選ぶ意味がある。
オリンパスカメラユーザーで、本格的なマクロ撮影がしたいなら、後述のオリンパス60mmマクロレンズを選ぶ方が良いだろうし、お手軽さを求めるなら今回発売されたオリンパス30mmマクロを選んだ方が個人的には良いかもしれないと思う。

「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(以下60mmマクロレンズと略)」は、オリンパスマクロレンズの先輩にあたるレンズで、ワーキングディスタンスは現存するマイクロフォーサーズ用マクロレンズの中で最長。
しかもE-M1の深度合成撮影機能に対応しているし、フォーカスリミッターを搭載していたり、スライド式フードを搭載していたり、至れり尽くせりのレンズである。
最大の弱点はその鏡筒の長さ。
まぁ…インナーフォーカスレンズだから、極端に困るという事はないが、今回発売された30mmマクロもインナーフォーカスでありながら長さは60mmと短いため、取り回しは言うまでもない。
AFの速さも今回発売の30mmマクロの方が速い。が、フォーカスリミッターが搭載されているので、困る事もないだろう。
こうして比べると、本格的マクロ撮影をしない限りコチラのレンズを選ぶ意味はなさそうに感じるかもしれないが、この60mmマクロレンズの最大の特徴は防塵防滴性能を持っているという事。
こうして性能比較してみると、60mmマクロレンズと確実に棲み分けされている事がよくわかる構成である。

今までマクロレンズを買わなかった理由

私がどうして今までマクロレンズを買わなかったのかというと、それはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROというレンズが、本当の意味で神レンズだったからである。
最大撮影倍率はマクロレンズから比べれば劣るものの、35mm判換算で0.6倍と標準ズームとは思えない程の性能を持ち、最短撮影距離も20cmとギリギリまでは寄れないものの、常用では困らないほどの距離であり、それでいてズーム全域でF2.8という明るさを持っているため、特別困る事がなかったのである。
ただ、本格的なマクロ撮影…というか、もっと被写体に寄って、被写体を大きく撮りたいとなると、やはりマクロレンズには劣るわけで、今回手軽な30mmマクロレンズが登場した事で購入候補とした次第である。
3万円以下のマクロレンズと考えれば、一本は持っていても良いレンズではないかな、とは思う。この一本で表現力は拡大するわけで、撮影の幅を広げる為の投資額として考えれば実にコストパフォーマンスの高いレンズだと思う。
オリンパスカメラを持っている人なら、ぜひオススメしたい一本である。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. 通りすがり より:

    ワーキングディスタンスも通常レンズよりはずっと長くとれる ←???

    • アバター画像 武上 より:

      この度はご指摘ありがとうございます。
      言いたい事の表現がメチャクチャでした。

      有り難く修正させて戴きましたm(_ _)m

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