折りたたみ式キーボードの決定版か?
ニッチな製品
キングジムが発売している事務用品の中でもとびきりニッチな製品と言えるのがポメラではないかと思う。
何をする為のデバイスかというと、ただ単に「テキストを打つためだけ」に存在するという事。
今の時代、スマホやタブレットが当たり前の時代に、物理キーボードを持っているとはいえ、テキストを打つためだけに存在するハードウェアに意味はあるのか? と言われれば、その判断は人によって様々かもしれないが、キングジムとしては一定の需要があると判断して発売をして、今に至った製品である。
私自身、スマホが今ほど当たり前の時代でなければ、多分このポメラの役割はもっと大きいのかなとは思うのだが、残念ながらスマホが圧倒的なまでに普及し、しかもフリック入力という入力方法そのものにもテコが入った現代で、このポメラの役割というのは、昔ほど大きなものではないのではないかと思う。
しかし、キングジムはこの時代においてもまだ新製品を発売してくる。ある意味、このニッチな世界に当たり前のように君臨すべくデバイスを投入するその姿は、潔くも見え、面白い製品でも絶対数が売れなければ企画も通らないイマドキの家電メーカーにはない、開拓者としての姿が垣間見える。
そんなキングジムが今回発表した新しいポメラは、E Inkが開発した電子ペーパーをモニターとして搭載した、折りたたみ式キーボードを持つポメラだった。
観音開きのキーボード
今回発売されるDM30は、一つ前に発売されたDM200と異なり、折りたたみ式キーボードを搭載している。しかもその折りたたみ方は、従来の二つ折り式ではなく、観音開き式へと変化している。
その事が理由かどうかはわからないが、キーピッチは横17mm、縦15.5mmと従来のポメラより余裕のあるものになった。キーストロークも従来より浅くなり、全体的に打鍵感は向上している。ちなみに本体幅よりキーボード幅が広くなるため、キーボードを展開した時にはキーボードに足が必要になるが、その足もキーボードを開くと同時に飛び出す機構を持っているため、特にユーザー側が気にする必要は無い。
この観音開き式のキーボードに行き着いた事で、折りたたみ式のポメラとしては今までない安定度を手に入れたと言えるだろう。
その他の進化点
今回採用された技術で他に気になるところは、モニタが電子ペーパーになったという事。E Inkという電子ペーパーの開発メーカーとしては老舗とも言えるメーカーのものを採用し、電力の保持なく画面の内容を保存できるものになっている。
しかも、従来の電子ペーパーのように全画面を更新する事なく、一部分だけを高速に書き換える事が可能な電子ペーパーであるため、より消費電力は少なく済む。
欠点は、前に表示した内容がうっすらと残る事だが、これは画面をリフレッシュすれば解決する問題なので、一定の更新の後に全顔面を反転表示し、リフレッシュする機能が盛り込まれている。
他にも、ソフトウェア面での特徴として、アウトライン機能をDM200に続いて搭載し、最大10階層のツリー構造表示が可能になっている。
また、SDカードスロット、microUSBポートを備え、PCとのデータのやり取りが可能になっている。DM100以降、PCとのやり取りができるというメリットは引き継がれているので、今からポメラを使う人からすれば出来て当然のことと思うかも知れないが、その昔のポメラは、テキストデータを外に出すにもQRコードを使って外に出すという事しかできなかった側面があるので、ポメラとは何なのか、という位置付けは昔の方が確固たるものがあったのかもしれない。
またSDカードスロットは東芝のFlashAirに対応しているので、Wi-Fi経由で転送が可能という側面もある。
こうしてできる事を羅列していると、昔のポメラから随分と進化したなぁとつくづく思う。
これで価格は43,000円(税別)と設定されているが、これを高い見るか安いと見るかはポメラの価値を必要としているかどうかに係っている。
私としては…このポメラの折りたたみキーボードがスマホのBluetoothキーボードとしても利用可能なモードがあれば、十二分な価値があると思うのだが…。
キングジムさん、このキーボードを独立させてBluetoothキーボードとして発売しません?
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