iPad AirでApple Siliconを考える

Appleが4製品を発表した。私が目をつけたのはミドルレンジ向けの「iPad Air」が刷新された事だが、残念な事にiPad Proはまだ来ない。

注目はiPad Air

Appleがミドルレンジ向けの「iPad Air」、エントリー向けの「iPad」、スマートウォッチの「Apple Watch Series6」、廉価版のApple Watchである「Apple Watch SE」を発表した。
個人的には「Apple Watch Series6」がとても気になるのだが、今回私がピックアップしたのは「iPad Air」である。
本体がiPad Proのような外観になったので、そこにはいつもあるTouch IDセンサーが存在せず、だからといってface IDが搭載されているわけではない、という、新しい本人承認を搭載したiPadである。
ではどこで本人認証するのか? というと、なんと電源ボタンにTouch IDセンサーが存在し、電源ボタンを押す度に認証をその場でやってしまうという方法に切り替わった。
Displayサイズが10.5型から10.9型へと大型化し、解像度は2,360×1,640ドットのLiquid Retinaディスプレイになるのも今回の特徴で、見た感じからして新世代だという事がハッキリわかるものとなった。
5nm世代のAシリーズ搭載するSoCは、5nmプロセスのA14 BionicのBig.LITTLEコアで、従来から40%のパフォーマンスアップ、GPUは4コアで30%高速化している。
Bionicなので、Neural Engineも組み合わされるが、コア数は16コアとなり、1秒で11兆の演算処理が可能な機械学習コアとなった。このことで、機械学習のパフォーマンスは70%の向上だという。
他にはApple Pencil(第2世代)に対応し、外側カメラも1,200万画素で4K/60pに対応し、1080/240pのスローモーション撮影にも対応する。
真新しいところでは、Wi-Fi6に対応し、接続端子はiPad Proと同じくUSB-Cとなった。
これにより、外部メディアとの接続も容易になったと言える。
これらを見るに相当に使い勝手の良いモデルになったと同時に、現時点ではiPad Proを選択する意味が相当に薄れるモデルになったという印象を受ける。

見えてくる? Apple Silicon

私は、今回のiPad Airに搭載されたA14 Bionicコアは、次期MacのApple Siliconの試金石だと考えている。
多くの人が同じ事を考えていると思うが、現時点のiPadの処理能力は既にノートPCと比較しても劣らない性能であり、逆に超えていると考えられる。
となれば、このA14 Bionicをそのまま搭載したノートPCが登場してもおかしくない話であり、もしPCとしてもう少し性能を強化したいと考えるなら、その搭載コア数を調整したりするだけで、そのまま運用可能なものと考えられる。
今回発表されたA14 Bionicは、Big.LITTLEコアとの事だが、その構成は高性能コアが2つ、省電力コアが4つの6コア構成だと言われている。
Macに搭載する時にはこれを高性能4コア+省電力4コアの構成にする可能性もあるし、また搭載するGPUも4コアから6~8コアへと調整するかもしれない。この辺りは、最近のマルチコア体制を考えれば、いくらでも調整はできると思われる。
また、機械学習性能を左右するアクセラレータであるNeural Engineは、現時点ではiPad Airと同程度で良いと考えられるので、そのまま16コアを搭載するかもしれない。仮にそうだとしても、PCの世界では機械学習用のコアを搭載しているというだけでも大きな変化である。使い方次第で、今までとは全く異なった性能を持たせる事ができるかもしれない。
これで性能を調整したApple Siliconを設計し「A14X Bionic」なんて名前で出してくるかもしれない。あくまでも想像でしかないが、性能的に考えて真実味のある話ではないかと予想する。

次期iPhoneはどうなる?

Apple Siliconももちろん重要だが、今年発売されるであろう次期iPhoneも気になるところ。
というのも、従来のAppleの動きであれば、まず最初に一番新しいSoCを搭載してくるのがその年のiPhoneなのだが、今年はまだ新しいiPhoneが発表されていない。
今年はiPhoneの更新がない、という事は、まずないとは思うが、今の段階では今回発表されたiPad Airと同じA14 Bionicをそのまま搭載してくるのかどうかはわからない。
ただ、製造面で考えるとiPad Airと同じSoCを使用する方がコストを抑えられる事は間違いない。iPhoneは小さくとも本人認証に必要な性能は高くしておきたいだろうから、Neural Engine性能の高いA14 Bionicをそのまま利用するのは意味としては間違っていないように思う。
さらに言うと、iPad Airに搭載された電源ボタンと一体化したTouch IDをFace ID以外のもう一つの本人認証デバイスとしてiPhoneにも搭載してくる可能性もある。
これらの事から、おそらく内蔵してくるSoCはA14 Bionicだろうと私は予測する。iPad Airの発売が10月になっているところを見ても、来月発表となると言われているiPhoneに合せているのかもしれない。
どちらにしても、今年は例年とは異なる流れでいろんな情報が流れてくるので、予想も何もかもが難しい。これ以上の事は大人しく来月の動きを注視したい。

とにかくApple Siliconの方向性はA14 Bionicからある程度の予想はできるが、最終的な規模がどうなるのかはまだまだわからない。
一説では、MacBook ProもApple Silicon版とIntelコア版が出てくるなんて話もある。ホントかよ? と思えるような話だが、Apple Siliconの性能が、あくまでも省電力側に向いていて、最高性能側に振られていなければ、このIntelコア版が出るという話もあながちフェイクと言えないかもしれない。
ホント、Appleは何をするにしても話題になるな…(-_-;)

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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