希望のモニタは遠い

PS5が発売され4ヶ月が経過したが、PS5が求める品質を満たすモニタが現れたのか?

4K+HDR+120fps

PS5が発売された当初、PS5が要求する性能を持つ液晶パネルは存在しなかった。
いや、今でも完全に対応しているパネルは存在しないかもしれない。
ここ最近、これらの情報をあまり入手していなかった事もあって、調べて見ないとわからないのだが、おそらく4K+HDR+120fpsという条件を完全に満たすパネルは、未だ存在しないと思う。
これらの条件を満たすパネルは、制御する半導体の処理能力がさらに向上しない事には達成は難しい。特に解像度が大きくなればなるほどフレームレートを稼ぐのが難しく、またHDRになれば色情報も増えるので、液晶パネル内のデータ転送速度にも影響が出る。
そうした事から、これらの条件を満たすパネルは、仮に存在していてもまだ価格的に手に届きやすいものではなく、実際問題としては製品として成立していないだろうと予想する。
なので、現時点で液晶パネルを購入する場合、基準をPS5ではなく、他のものに置き換えて、何を求めるかを決める事で、購入する液晶モニタが決まってくる。
PCの場合、昨今では1440pで高フレームレートというのが一つのトレンドになっている。
GeForce 3070系にしてもそうだし、Radeon RX 6700系にしても、4Kを対象にしておらず、その下の解像度を対象としている。
PS5は、この1440pという解像度そのものが未対応なので、4Kの下となると1080pという事になるわけだが、残念ながら今の普及価格帯にある製品は1440pをターゲットにしていると言わざるを得ない。
ちなみにPS4 Proは1440p環境でも表示する事は可能である。ゲームタイトルにも寄るのかも知れないが、少なくともPS4版のFF14は1440pという解像度を認識したし、表示もできた。
PS5はハイエンドなのは良いが、汎用性に欠けるというのは残念極まりないところである。

34WN780-B

そんな中、昨年末にLGから「34WN780-B」というモニタが発売された。
パネルはIPSで、リフレッシュレートは48~75Hzと高リフレッシュレートではないのだが、HDR10に対応し、3440×1440ドットという解像度を実現したウルトラワイドモニタである。
バランスの取れた製品かも特徴的なのは、スタンドが付属するのではなく、モニターアームが付属する事で、机などに固定してアームで位置を変更したりする事ができるモニタになっている。
ハードウェア的にはFreeSyncに対応し、輝度は300cd/平方m、sRGB99%、34インチの21:9というパネルを持つ事だが、これだけの性能を持っていて価格が65,000円程度と抑えられているところがポイントである。
良いモニタになると10万円の上を狙う必要がある場合もあるが、そこまで予算はかけられない、だけどそこそこの表示品質は欲しい、という人には最適な製品の一つと言えるかも知れない。
DELLなどにもモニタはあるが…極端なまでに高性能かつ高価格という製品か、事務レベル品質かつ低価格という製品構成で、両極端なのが問題である。
特に、ウルトラワイド液晶は一度使うとその便利さは病みつきになるので、34WN780-Bは私的にはオススメできる製品と言える。

LGジャパン 製品情報
https://www.lg.com/jp/monitor/lg-34wn780-b

第3のディスプレイ方式

私はPS5の要求性能を満たすモニタを一般化するのは、マイクロLEDが登場するなど、技術的な革新がないと難しいのではないかと考えている。
マイクロLED方式は、画素を構成する赤、緑、青(RGB)をそれぞれの色のLEDで発光させる方式の事で、その画素サイズまでLEDを小型化する事で実現する技術である。
LEDは高輝度かつ長寿命、光源としては非常に優秀なのだが、マイクロLEDという名の通り、小型化する技術が成立しないと実現できない。
しかも高解像度になればなるほど、膨大な数のLEDを敷き詰める必要があるので、コスト的に見合うかが問題になる。
なので、これを実現する為には量子ドット技術や他の異なる組成の半導体などを組み合わせたりと、技術的なブレイクスルーが必要になると考えられる。
だが、もしこれが可能となれば、PS5が要求する品質表示は簡単に達成できる。
私は、このマイクロLEDが一つの大きな変革の一手になると思っている。
ただ、その前にミニLEDというバックライト技術が先に来る事は間違いなく、それで広色域を実現し、他の技術でリフレッシュレートを達成していく時代がやってくるだろう。
全ては同じ延長上にはないが、そうした技術的障壁を一つずつ越えていく事になるだろう。

と言うわけで、まだまだ発展途上にあるモニタだが、今の製品でも一定の性能はもちろん実現できている。
どの部分を妥協し、どのレベルでコストをかけられるかで製品はわかれるが、34WN780-Bは一つの選択肢になるだろう事は間違いない。

 

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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