記念品のようなゲーム&ウオッチ

昔はモノクロ液晶のゲームでも面白かったのだよ…。

35周年記念マリオ

Nintendoのオンラインショップ「My Nintendo Store」で、3月末までの期間限定でゲーム&ウオッチ35周年を記念して『スーパーマリオブラザーズ』とのコラボレーションアイテムが発売中である。発売したのは昨年の11月13日なので、既に知っている人も多いのではないかと思う。

この薄いカード型筐体でスーパーマリオブラザーズMy Nintendo Store ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ
https://store-jp.nintendo.com/list/hardware-accessory/hardware/HXA_S_RAAAA.html

ゲーム&ウオッチは、おそらく任天堂が開発した初の携帯型ゲームで、昔は電子ゲームまたはLSIゲームと呼ばれたものである。カード型で本体内には1つのゲームタイトルが収録されており、別のゲームを遊ぶには別のハードを用意する必要がある「1ハード1ゲーム」というスタイルのものだった。昔は内蔵するROMの容量が少なく、価格的に1タイトルのゲームしか収録できない容量のROMを使った製品しか作れなかったという事である。
始めて世に登場したのは1980年で、爆発的な人気を誇っており、国内でも1287万個、日本国外で3053万個を売り上げ、全世界合計4340万個という、当時としてはとてつもないセールを記録している。
このゲーム&ウオッチの売り上げで、当時70億円の負債を抱えていた任天堂がその負債を完済、あげく40億円ほどの黒字に転じたという任天堂の救世主的製品である。
この40億円の黒字収益が、3年後にファミコンを生み出す原動力となったわけだが、そのファミコンの登場と共にゲーム&ウオッチは徐々に世から消えていくことになる。ただ、この現象は日本国内の話で、実は海外ではその後10年近く開発が続けられている。
そんなゲーム&ウオッチ35周年を記念して、そのゲーム&ウオッチの筐体で「スーパーマリオブラザーズ」と「スーパーマリオブラザーズ2」、さらにゲーム&ウオッチ初期のゲームである「ボール」のマリオバージョンが本機には収録されている。

このサイズにカラー液晶を搭載し、さらに「スーパーマリオブラザーズ」が遊べる時代になったのかと考えると、当時のゲーム&ウオッチを知る世代から考えて見れば、時代の進化を感じずにはいられない。

仕掛けがいろいろ

さらに、このゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズには、マリオ時計という時計機能が搭載されているのだが、名前の通り、マリオやその関係キャラクター達がいろいろ動き回る時計の機能が搭載されている。
このマリオ時計だが、いろいろな仕掛けが用意されており、その数は35種類。
どんな仕掛けかというと、例えば60分キッカリの時間を迎えると、ヨッシーが登場して画面内の時計ブロックを一斉に破壊、マリオが時間の数だけコインを取得したりする。
このような時間をトリガーとした仕掛けや、何かしらのボタン長押しでイベントが起きたりと、ホントに多彩に画面内でいろいろなイベントが発生する。
任天堂らしい、コミカルなイベントなので、見ていても飽きないのだが、さすがに時計をずっと眺めるというのは暇すぎるといえば暇すぎる…。
オマケ機能なので、あくまでも見られればラッキー程度のものではあるが、こういったところにも手を抜かないというのが、任天堂の良さでもあるのかもしれない。

任天堂の転機を呼んだハード

ゲーム&ウオッチは、おそらく任天堂という企業が電子的ゲーム作りに突入するきっかけを作った製品だろうと思う。
このゲーム&ウオッチを発案、開発したのは、かの横井軍平である。Wikipediaによると「新幹線の中で暇潰しに電卓のボタンを押して遊んでいる人を見て、「暇つぶしのできる小さなゲーム機」として発案」したそうである。
前述したとおり、当時の任天堂は70億の負債を抱えていたわけだが、このゲーム&ウオッチによって一気にその体制は逆転し、ついには電子的ゲームを開発する足がかりを作った。
考えようによっては、このゲーム&ウオッチが存在しなかったなら、今の任天堂はあり得なかったし、ファミコンという絶対的なゲームプラットフォームが生まれる事もなかったワケである。
仮に任天堂がファミコンを発売しない事で、ビデオゲームという存在が世に登場しなかった、とは思わないが、家庭用にここまで画期的なゲーム機が普及する時代が来たかどうかは結構微妙である。
何故なら、現在コントローラーに当たり前のように搭載されている十字キー(十字ボタン)は、登場こそ他メーカーから出たものが最初ではあるが、爆発的に普及させたのはゲーム&ウオッチであり、ファミコンだからである。任天堂はこの十字ボタンの実用新案権を取得し、技術・工学エミー賞を受賞した経緯を持つ。
まさに今のゲーム機の土壌を作ったとも言えるわけで、これらがなかった事でこれらの歴史がなかったと考えれば、家庭用にここまでゲームが普及した背景には、任天堂という企業が大きく関わっているのではないかと思う。

3月末までの期間限定として発売されているゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズは、あと半月ほどで発売期間が終了する。この記念すべきアイテム、気になる人はすでにチェックしているとは思うが、まだ買えていない人は急いだ方がいいだろう。

 

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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