平面駆動ヘッドフォンを自作

フォステクスから先行販売していたものが一般販売に。

RPKIT50

当Blogでも2021年7月に紹介した事があるが、フォステクスのオンラインショップで先行販売していた、平面駆動型振動板搭載のヘッドフォン組立キット「RPKIT50」が一般販売を8月上旬から開始する。
価格はオープンプライスだが、先行販売をしていた時と同じで33,000円前後になる予定のようである。
自作キットではあるが、難易度は高くないこのフォステクスのヘッドフォンは、独自開発のレギュラーフェーズテクノロジーを採用した振動班を搭載したもので、それを完成品ではなく、組立キットとして販売する。
スピーカーもそうだが、案外こうしたものの構造は単純なものが多く、それだけに調整でいろんな変化が起きる。
例えばこのキットだと複数の吸音材を取り付ける事でいろいろなチューニングが可能で、趣味の音楽鑑賞用としたり、あるいは正確な音を出すようにモニターヘッドフォンのような出音にチューニングしたりする事ができる。
ただ、いくら単純といっても電子機器なので、作るのはちょっと…と思えるかも知れない。だが、ベースとなるハウジング部分は既に組立済みになっているので、ハンダ付けはスピーカーユニットのプラスとマイナス端子にリード線をくっつけるというのみで作れてしまう。
なので、自分で自由にチューニングできるヘッドフォン、という捉え方で挑戦してみるのも面白いかも知れない。

平面駆動

この「RPKIT50」は平面駆動型のヘッドフォンだが、前述したように、独自開発のレギューフェーズテクノロジーを採用している。
このレギュラーフェーズというのは、全面駆動型という意味で、反発する協力な磁石で平面の振動板を挟み込むという構造になっている。コンデンサスピーカーのように高い電圧を掛けなくても平面駆動できるという利点がある、実に独特な方式である。
ドライバーユニットとして平面駆動型のヘッドフォンというのは、従来高級な製品しか存在していなかったのだが、フォステクスでは独自開発技術でこれを3万円台のキットとして提供できた、というところが面白い所である。

自作のおもしろさ

とにかく、このキットではエンクロージャ内部に吸音材を張りまくって自作していく。エンクロージャの下半分にスリットが空いていて、そこに貼り付けるパーツの違いでいろいろとチューニングができる。
たとえば、この部分に何も張らなければオープン仕様のヘッドフォンになり、不織布を張ればセミオープン、塞いでしまえばクローズドのヘッドフォンになる。オープン仕様のヘッドフォンは音が外に抜けるので自然な音に仕上がり、クローズドになればどっしりとした音が耳に返ってくるような音に変わる。
こうしたチューニングをモノづくりの中で自分でできるというところが面白い所で、自分の好きな仕様のヘッドフォンを作って、楽しむという行為をよく知ってもらいたい、と思う。おそらくフォステクスがこうしたキットを発売するのも、そうした意味があるのではないかと思う。

というわけで、33,000円という安くはない価格ではあるが、平面駆動というちょっと変わった駆動方式のヘッドフォンが自作できるというこのキットは、音を楽しみたいという人にオススメしたい一品である。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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