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無線電力転送の夢

地道な基礎技術の開発で、夢はまだまだ広がる。

夢の無線電力転送

Qiという規格が一般的になり、現在では一部のモバイル機器等において、クレードル等に置かずとも充電できる環境が一般にも広がっている。
もちろん、コードを直接挿す方が安全かつ効率的に充電する事は可能だが、Qiを利用する事で置くだけで充電できる手軽さが実現されている事は喜ばしい事と思う。
だが、世の中はそんな置くだけ充電で満足しているわけじゃない。
昔から、電力を無線伝送できないか? と研究を続けている人達がいる。
その夢の行き着く先は、人工衛星で太陽光発電をして、その発電した電力を無線伝送で地上へと送電するという夢である。
これが実現する事で、天候に左右される事なく、大気に邪魔される事なく太陽光を受け続け、発電子続ける事が可能になる。まさに夢の技術である。
だが、当然現時点ではそこまでの技術には至っていない。
ただ、一歩ずつ確実に無線電力転送の技術は積み上がってきていて、このほど、金沢工業大学 工学部 電気電子工学伊東健治教授と坂井尚貴研究員らの研究グループが、マイクロ波(5.8GHz)による無線電力転送に用いる受電レクテナ(整流回路付きアンテナ)において、世界最高の電力変換効率である92.8%(1W入力時)を達成した事を発表した。無線電力伝送

マイクロ波の利用

今回の発表で使われたのは5.8GHzのマイクロ波で、マイクロ波を使う事で遠方に電力を転送可能だという特徴を使ったものになる。
実験では1W入力時で達成したようだが、次は10Wの高効率受電技術の確立に取り組むとしている。
何だ、10Wか、と思う人もいるかも知れないが、これぐらいの出力であっても便利に使えるものがある。
それはドローンである。
先日、当Blogの記事にも書いたが、ドローンはそのバッテリーの重さでドローンそのものの重量の多くを占めている。
もし、10Wクラスでも無線電力転送が可能になったら、プロポ(送信機)でドローンに電力を供給しつつ制御命令を送信してやれば、プロポ側にドローンのバッテリーを置けるので、従来よりずっと長時間の飛行が可能になる。
今までと全く異なるドローン運用が可能になるばかりか、場合によってはスマートフォンなどのアンテナ設備と組み合わせれば、街中で電力供給をしながらモバイル機器の運用も出来る様になるかも知れない。
もちろん、そこには電波の影響などもいろいろ試験をして調べる必要はあるが、5G技術やその次の6G技術と組み合わせてやれば、世界が変わるとすら言えるのではないかと思う。

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夏日まっさかり

梅雨が全く明けないな、と思っていたら、この暑さである。もうね…身体が暑さに慣れるとか神話だから、それ。

急激な気温上昇?

梅雨が明け、ここ数日とんでもない気温の日々が続いている。
夏、終了もともと暑さに弱い私からすると、この暑さで思考は停滞するし、意識は朦朧とするし、身体はだるくなるし、ロクな事がない。
というのも、我が家はとても機密性が低く、夏暑く、冬寒いという旧家のような作りの家だからである。
家は相当に隙間が多いので、クーラーでどれだけ冷やそうが、屋根は焼け、隙間から熱が入ってくるので、夏場の電気代はとんでもなく高く付く。
今日も部屋の温度計を確認してみたが、朝10時の段階で部屋の室温は32度もあり、それがお昼頃になると35度になっていた。もちろん室内でクーラーを付けて(設定温度27度)いて、の話である。
これでも以前はここまで室内温度は上がらなかった。
ここ数年で室温がガンガンと上がるようになった感じで、おそらく実際には1度や2度高くなっただけなのだろうが、体感温度でそれ以上に感じているのだろうと思う。
これを偏に「地球温暖化が原因」と言うのは、あまりにも乱暴だとは思うが、それでも理由の中に含まれる現象ではないか、と思っている。
北極の氷が溶け、ホッキョクグマが生息地を追われている、という話や、エスキモーの生活が豹変してしまっている、という話は、あながち嘘ではないのだろうと思う。

冷感グッズ

そんな世相を表しているのか、ここ最近冷感グッズが多種多様になったように思う。
扇子や団扇などという古典的なものは確かに昔から存在していたが、最近では保冷剤を活用するべく、いろんなグッズが発売されている。
また、当Blogでも紹介したが「着るクーラー」と呼ばれる製品も登場した。
また、最近ではモーター等が小型化した事から、手に持つ小さな扇風機も流行りで、首からかけて両頬を冷やす扇風機なんてのも登場している。
こんな製品が登場する背景には、年々気温が上がっているという事が少なからず関係しているのだろうと思う。

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E2-DR

ASIMO以外のHONDAロボット。

コッチが本命か?

HONDAのロボットと言えばASIMOが有名だが、ASIMOは人とのコミュニケーションを中心とした用途が多く紹介され、また歩いたり走ったりするデモンストレーションが多いのが特徴で、ASIMOを災害地に派遣してどうにかしようとかいうスタイルは、ちょっと想像が付かない。
しかし、東日本大震災の福島第二原発事故があってから、ロボットは災害時に運用できるものが数多く開発され、また実際に投入され、上手くいったりいかなかったりというのを繰り返している。
ロボットを作っているHONDAからすれば、ASIMOと同等に動けるものを災害地でも使えれば一番良いのだろうが、少なくとも二足歩行ロボットで不整地を歩かせるというのはまだまだ技術的には難しく、また施設内を自由に移動させるには、階段という手段以外にも昇降する為の設備が使えないといけない。
そういう理由なのかは分からないが、HONDAはASIMO以外にもそうした災害対応可能なロボットの研究をしていた。
それが「E2-DR」である。

動画を観ればわかるが、コイツははしごの昇降ができるロボットで、また不整地を四つ足で移動する事が可能なロボットである。

悪条件を考慮

このE2-DRが発表されたのは、カナダのバンクーバーで9月に開催されたロボット産業展示会「IROS 2017」で、まだプロトタイプだという。
リチウムイオン電池を電源としていて、90分の稼働が可能。はしごの昇降、階段の昇降、時速4kmでの二足歩行、瓦礫の上での四足歩行、構造物の隙間を横ばいでの移動、水平方向のプレッシャー(圧力)への耐性、他にも2m径のパイプへの進入、20分程度であれば雨天時での稼働が可能だという。これだけ対応できれば、かなりの災害時対応稼働が可能と言える。
また上半身は180度まで回転が可能なのだが、こうした動作か可能になっているのは、内部デバイスへの通信ケーブルに光ファイバケーブルを採用したからであり、このケーブルは100万回のねじり試験をクリアしているという。
頭部には2基のレーザーレンジファインダーやLEDフラッシュを持つ単眼カメラを装備し、両手にもカメラと3Dセンサーを搭載しているという。
また過酷な条件下で稼働できるよう、摂氏-10~+40度の環境で活動可能で、間接部分は凹凸の隙間を多重に配置したラビリンス構造を取り、汚染物質などはクラリスで排除できるようになっている。
手はASIMOのように人間の手に模したものというわけではなく、簡易的にモノを掴むだけの機能に止めていて、現時点では不明だが今後いろんなアタッチメントが用意される可能性がある。
耐衝撃性という意味ではまだ明確なものはないようだが、転倒しても自力で起き上がる事はできるとしたものの、現時点ではまだプロトタイプであり、今後実用化に向けていろんな改修が行われるだろうと思われる。

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