防衛省はF-22 Raptorを手に入れられるか?

 結構前から、防衛省で次期主力戦闘機(FX)計画が動いている。
 当初、今でいうところのF-2がその役目になるハズだったが、日本独自開発という事を懸念した米国の介入により、F-16系をベースに開発されることとなった。
 そのため、性能は支援戦闘機レベルでありながら、コストが主力戦闘機並という実に残念な結果となったのは有名な話。いや、決してF-2支援戦闘機の性能が悪いと言っているわけではない。ただ、制空権を確保するための性能として考えたとき、仮想敵と比較してその役目を担う事が出来るかという所に疑問が残る結果となったに過ぎない。
 このような状況であるため、現行のF-15Jからのリプレースとして防衛省がFX計画の要と考えたのが、F-22 Raptorである。
 ところが、このF-22 Raptorは米国でも機密の塊で、現在禁輸政策が採られている。

 ステルス性と超音速巡航能力、そして高度なアビオニクスを搭載し、現行の戦闘機の性能を遥かに凌駕する為、それを輸出する事で機密漏洩を懸念している…というのが禁輸の最大の原因と言われている。


 そのF-22 Raptorだが、禁輸措置を課している米議会が禁輸解除に向けた検討を始めたことが17日、明らかになったそうである。
Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090618-00000567-yom-pol
 詳しい内容はニュース記事を見てもらうとして、F-22にまつわる話をちょっと書いてみたい。
 もともと米軍は開発中の試作機には“Y”のアルファベットを追記して表現する。
 だからYF-22という機体が存在する。

 このYF-22と制式主力戦闘機の座を争ったのが、YF-23A ブラック・ウィドウII である。

 この2機でトライアルとなったワケだが、結果は言うまでもなくYF-22が残った。しかし、なぜYF-22が採択されたのかという事については詳細は公表されていない。噂によれば、YF-23はYF-22よりも高速飛行であり、燃料搭載量も多く、またステルス性も高かったと言われている。しかし、生産と整備の容易さ・汎用性の高さや機動性・操作性という所でYF-22が選ばれたのではないかと言われてもいる。
 要するに、絶対性能であればYF-23の方が上だったが運用性でYF-22が確定したという事なのかもしれない。
 だが、その運用性で勝るF-22 Raptorであっても、1機あたりのコストは運用コストも含めてF-15の2倍にまで膨れあがっていると言われている。
 こんなものを日本が果たして導入できるのか? という疑問も残るが、日本の防衛省としてはF-22は欲しい性能を持った機体という事なのかもしれない。
 ちなみに米国はF-16やF/A-18に置き換わるF-35系を日本に薦めている。

 まだ制式化していないため、X35と言った方がいいのかもしれないが、写真の機体は米海軍が艦載機として考えているF-35Cである。
 F-35系は3種の要望を全て満たす設計であり、一番コンパクトなF-35A(CTOL機。米空軍などがF-16のリプレースとする機体)、F-35B(STOVL機。イギリス空軍や米海兵隊がハリアーやF/A-18のリプレースとする機体)、そして前述のF-35C(CV機。艦載機であり3種の翼は大型化され、主翼には折りたたみ機構がある)とバリエーションが存在している。
 日本に薦めている機体はおそらくF-35AもしくはF-35Bだろうが、これならばコストはかなり安上がりになるはずだ。
 だが、米軍内でもF-22とF-35を比較した性能について疑問視する声があり、F-22の生産ラインを止めてF-35にする事そのものを懸念する人達もいる。
 つまり両機にはそれだけの性能差があるわけで、日本側としてはF-35系ではなくF-22にこだわるのもわかる話である。
 F-22 Raptorが禁輸ならYF-23(もちろんエンジンも不採用となった高出力タイプ)を日本が輸入する…というのはダメなのだろうか?
 …まぁ、イイワケはないとは思うが(爆)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

2 Responses

  1. アバター画像 ruser より:

    わふ-23って名前で誤魔化しましょうw
    自衛隊の場合、超高性能戦闘機を買うには障害が多そうですね。
    何に使うのか?
    最新鋭である意味は?
    より優先すべき装備があるのでは?
    …等々
    今のご時世は何と言っても価格で反発されるでしょうね。
    戦闘機より米軍に頼らないミサイル迎撃システムを、となりそう。
    専守防衛を貫くなら迎撃システムとか、イージス艦をもう一隻とか………余計に金かかりますねw
    やはり富嶽とか零式とか国産の作るしか!
    憲法? 大丈夫! 自衛用で武装は硬質ゴムスタン30mm機関砲とか、ゴムスタン500k爆弾とかだから!(爆)

  2. アバター画像 武上 より:

    FX計画は最初から必要という前提で推進されています。
    なので今更「何に使うのか?」とか「最新鋭である意味は?」なんて事は語られる事はないでしょう。
    今存在しているF-15Jの老朽化の方が深刻で、F-15Jを改修して使用し続ける事の限界が見えてきている…という問題を何とかしたいという所ではないでしょうか。
    ミサイル迎撃システムに関して、新たに開発するのは予算的に無理でしょう。今のPAT3を正式に米軍から買う方が現実的。
    ミサイル迎撃イージス艦をとなると…1隻で意味があるのか?という問題にも直面しそうですし…
    やはり必要と言われているFX計画が先でしょうね。
    それよりも…お台場にRX-78-2が立ったんですから、MS計画に進むべきでしょうw

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version