それでも欠陥は欠陥だと思う

 AppleがiPhone4の電波問題に関して結論を出した。
 そしてその問題を解決するために、純正のアクセサリ“Bumper”もしくはそれに準じる社外製カバーを無償支給するとした。
 結局の所、持ち方が悪いと電波受信に問題を起こす事を明確にしたワケで、発売した素の状態を素手で持つと問題を引き起こす事に違いはない。
 その事に関して、スティーブ・ジョブズはこう言った。
「携帯電話は完璧ではない。すべての端末に弱い場所がある」
 たしかにそうかもしれないが、iPhone4の場合、あからさまに外側金属アンテナ部分が剥き出しになっている事が問題なのではないだろうか?
 もし、ここに最初から樹脂製の何かしらカバーのようなものが付いていたならば、そもそもこの問題は起きなかったはずである。


 そしてもう一つの問題は、確証があるワケではないとした上での次の発言である。
「iPhone 3GSは、iPhone 3Gからボディのデザインを変えなかったため、発売時から多くのケースが販売されていて、8割以上の購入者がケースも一緒に買っていった。しかしiPhone 4の発売時にはうまくフィットするケースがほとんどなく、Apple純正のBumperもあまりたくさん用意できなかったので、ケースが買えた人は約2割ほどだった」(ITmedia掲載訳文)
 コレ、言い方を変えれば、そもそもケース使わずに使うと問題が起きる。カバーがたくさん発売されていれば、こんな問題は小さな問題でしかない、と言う事であり、製品としてのiPhone4には問題があると言っているようなものである。
 私は思うが、そもそも製品単体として問題が無かったのか? という事そのものに問題があるように思う。
 少なくとも、これが日本製デバイスだったなら、日本企業は今回の問題を設計上の問題として対応しているのではないかと思う。
 これを、Appleだから許されるとしていいのだろうか?
 むしろ、これからのAppleを考えると、許してはいけないように思えてならない。
 製造元に全ての問題を押しつけるワケではないが、Appleは既にちゃんとしたものを世に送り出さねばならない企業責任を負っているのではないだろうか?
 たしかに人命に関わる問題ではないかもしれないが、ビジネスとして世界に大きく影響の与える製品を世に送り出している関係上、その製品の欠陥は世界に影響を与えると考えて間違いない。
 しかしそれでもスティーブ・ジョブズは特に欠陥はないことを改めて強調したようだ。
 私から見れば、どう考えてもこれはデザイン上・設計上のミスとしか思えない。
 責任というものを負えない何か理由があるのだろうか?
 私は、潔くミスだった事を発表する事の方が重要だと思う。
 どのみち、アクセサリの無償配布を行うという責任を果たすのだから、ミスをミスとしてBumperを標準装備として再発売すればいいと思う。
 こういう問題が起きたとしても、Apple Evangelist(アップルエヴァンジェリスト:Apple布教の宣教師)はAppleを褒め称え、Apple製品は最高と世に広めていくだろう。
 私だってAppleが嫌いなわけではない。そもそも私はMac Evangelistだったのだ。
 ただ、ここ最近のAppleを見ていると、勝ち組故の迷走っぷりが見えて仕方がない。
 もっとチャレンジャーで製品に絶対の自信がある頃のAppleに戻ってくれないだろうか?
 今回のiPhone4問題を見ていてそんな気がした。
 真の優良企業とは何なのか?
 米国では大きな非難を浴びたトヨタだが、まだトヨタの方が遥かマシな対応をしたのではないかとちょっと思ったりした。
 まぁ、トヨタの場合は人命に関わる問題だったわけだが。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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