ある意味究極の箱庭ゲーム

 2013年、あのシムシティの新作が登場する。
 4月19日と20日(現地時間)、イギリスのロンドンでプレス関係者を対象としたプレゼン“EU SHOW CASE”が開催された。
 あくまでも関係者に公開されたプレゼンであるため、そこに登場するものはあくまでもデモだったりイメージだったりと、曖昧なものが多い。
 今回公開されたシムシティの画像も、もちろんまだ開発途中のものであり、あくまでもイメージに留まるという事だが、その出来の凄さにある意味圧倒されてしまう。

 …ミニチュアみたいに見える所が何ともスゴイ。
 街が発展して、車が事故を起こしたシーンという事だが、こうしたグラフィック処理をひっさげてのシムシティの新作だという。
 ちなみに、周囲がぼやけて見えるのは演出でもあるが、同時にメモリの消費に歯止めをかける意味もあるようで、この処理は一石二鳥なのだという。

 こうした箱庭的な視覚効果は、ビジュアルで街に住んでいる人たちのデータを視覚化してくれるらしい。市政に不満が募れば、人々はデモを起こしたりするが、そうしたデモも見た目に分かるだけでなく、データもこれらの映像の上に表示させたりする事ができ、人々の生活が画面に事細かに表示されるようになるようだ。
 これらを可能にしたのが“GlassBoxエンジン”と呼ばれるシミュレーションエンジンで、このエンジンでシムシティは生活を視覚化するゲームへとより大きく進化しているようだ。

 また、このシムシティではイマドキの情勢を反映して電力供給の施設として風力発電所などが設置できるが、風力発電そのものは時間と天候で発電能力が変わる。そうした変化もシミュレートしていて、逆に火力発電所は安定電力供給が可能だが石炭や石油といった資源が必要でそれらがなくなると電力供給は出来なくなる。また原子力発電所にもメリットとデメリットがある事は史実がそれを証明してしまっているが、そういうメリットとデメリットをも含めたシミュレートがちゃんと行われるように設計されているから、もはやこれはゲームというよりは箱庭シミュレーションと言えるのかも知れない。


 私は初代シムシティを知っているのだが、作られる街が時間と共にいろいろ急成長していったり、或いは衰退していったりと、都市設計というものがいかに重要かという事をゲームで教えられた。
 人というのは、集まるべくして集まるのであり、そこに需要と供給のバランスがあるからこそ都市が形成される。そして人が集まればその作られた都市が荒廃していく要素をも大きくしていく事となり、それらのバランスを取る事が都市の維持計画を生み出す。
 たかだかゲームと思うなかれ。これらが高度にシミュレートされていたのがシムシティなのである。
 当時のシムシティは、PCパワーがまだそんなに高いレベルではなかったが、それでも基本的な部分は既に持っていたように思う。
 そんなシムシティだからこそ、今のPCパフォーマンスで作られればそうしたシミュレート要素がより高度になったゲームが生まれるのではないかと思う。

 発売は来年だが、このような箱庭ゲームが好きな人は楽しみに待っていてもいいのではないかと思う。あとは日本語のローカライズがいつの段階で行われるか? であるが…エレクトロニック・アーツに期待する事としよう。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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