最近のコンシューマソフトの販売戦略

 ゴッドイーター2(以下GE2と略)が来月の11月14日に発売となる。
 前々から、バンダイ系のソフトの売り方などは、私の前職の売り方と似たような所があって(ま、ほぼ同業だから仕方が無い)、実に抜け目がないなと思ったりしていた。
 だが、私が前職を止めてから既に数年、状況はもっと進化していて、このGE2の販売戦略はもっと(良い意味で)狡猾になってきている。
 まず、販売する店舗毎に特典物を変えるというのは、昔からある手段なのだが、問題はその特典物にある。
 昔は限定扱いで現物を特典とするケースが多かったのだが、ここ最近のバンダイナムコゲームスの特典は、徐々にDLCという方向に流れてきている。
 このDLCという特典は、デジタルデータを作るという手間はかかるが、ゲーム中に反映させられる特典という事で、ゲーマーとしても利用価値があったりする。もともとコレクター魂を揺さぶるための特典物だが、そこに現物だけでなくデジタルデータを織り込んできた、というのが、今の状況という事になる。
 だが、不思議な事に、販売店舗の主要企業よりも、その後を追いかける企業の方がDLCの特典を用意しているケースが多く、何故そうなっているのか?という疑問を常々持っていた。
 コレ、実はバンダイナムコゲームスの実に狡猾な戦略が隠されている可能性があるのだ。

 DLCは、そもそも物理的に存在する特典ではないため、基本的にデジタルデータを作成してしまえば、あとはそのデジタルデータを反映するコードを生成して、特典とする。
 問題は、この“デジタルデータを反映するコードを生成する”という事であり、コレこそが販売店舗最大手などがDLCを特典として手がけない理由の一つになると考えられる。
 というのは、おそらくだが、このDLCは後々バンダイナムコゲームスから正式なDLCとして販売される可能性があるからだ。
 当初は店舗のみの特典になっていても、一定の時間(ほとんどの場合は1ヶ月後~3ヶ月後程度)が経過すると、メーカーがDLCとして販売するため、その店舗で購入するメリットがなくなってしまうのである。
 極端な事を言えば、DLC特典のついている店舗で購入するメリットは、そのDLCの価格分のメリットがあるという程度のものかもしれない。
 現物特典はその時しか作られない為、絶対的な限定品になる。
 しかしデータは複製が出来る(もちろんメーカーだけだが)ため、完全限定とは言い難い。
 そのレアリティの差で、販売店大手はDLC特典を嫌っている可能性がある。

 今回のGE2では、DLCを特典としている店舗グループが6つある。
 詳しくは以下リンクで確認して欲しい。

impress Game Watch
http://j.mp/15K6hk9

 これを見て気づいた人もいると思うが、ココには『DLCオリジナル先行配信特典』と書かれている。つまり、後々DLCとしてバンダイナムコゲームスが販売する事を決めている事を明言している。

 このように、特典物に関しての考え方が多様化した事も相まって、現在の販売戦略は完全オリジナル特典で販売を目指すか、それとも先行配信DLCでスタートダッシュで売り切るかという2つに割れているといえる。
 私は現物を必要としない人だから、DLC先行配信を特典とする方が良いのだが、人によっては現物が良いという人もいる。それら選択肢が広がった事を考えれば、販売店側も、消費者側もメリットを見いだせる展開と言えるかも知れない。

 ちなみに気づいた人もいると思うが、これら特典を展開している中にAmazon.co.jpがない。
 Amazon.co.jpはさらに強気で特典なしの低価格で挑むつもりなのか?
 ちなみにAmazon.co.jpで予約した際の価格は4,835円。
 ローソンのDLC先行配信特典の価格が5,679円。差額は844円である。
 もしこのローソンのDLC特典が、後々バンダイナムコゲームスのDLC配信の際に、844円以上の価格が付けられたなら、ローソンで購入する方が安いという事になる。
 逆にDLCが500円程度で提供されたなら、Amazon.co.jpで購入し、後々DLCをPlayStation Storeで購入する方が安くなる。
 どちらを採っても、そう変わるものではないのかもしれない。

 私は…どっちにしようかなぁ。
 今の所Amazon.co.jpで予約は入れているが、別の所に乗り換えるかもしれない。
 現物特典は不要だから、DLC先行配信特典の店舗という事になるが…選ぶとすると、やはりローソンか?
 だって…武器はコレよりも良い武器が最終的にはメイン武器になるのだし…ね。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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