歴史的問題と配慮

配慮しないのも問題だが気にしすぎるのも問題?

戦後70年

第二次世界大戦は、歴史的に見ても最も被害が大きく、また最も破壊的な世界的大戦だったと私は思っている。
特に太平洋戦争は日米の戦力比が当初はそんなにない為、終わりが見えにくい戦争だったと思う。
流石にミッドウェー海戦で日本が大敗を喫したため、その後の戦局は大きく傾いた状態だったが、日本兵の想像を絶する抵抗が米国を相当に困らせたのはその後の歴史が物語っている。実際、日本が太平洋戦争に投じた技術は、その後の米国兵器に大きな影響を与えているといえる。
そんな大戦だったからこそ、不謹慎な言い方だがゲームでは華のあるデザインが生まれやすい。ゲームは現実ではない側面がある為、史実を元にしたリアルシミュレーションを作成する際、史実が派手であればあるほどゲームには華がある事になる。
繰り返すが、何とも不謹慎な話ではあるが実際そうなのだから仕方が無い。
だから史実を元にして作られたゲームは、その歴史的問題に配慮する必要が出てくる。それだけ第二次世界大戦は沢山の人が亡くなった大戦であったという事であり、その爪痕は未だ、各地に、各民族に根付いている。
先日、このBlogでも話題にしたWorld of Warshipsでも、この歴史的配慮を考慮しなければならないゲームの一つであり、先日、Wargaming.netが「旭日旗」に関する声明を発表した。

旭日旗

日本の国旗は日の丸、つまり日章旗が基本ではあるが、自衛隊旗や自衛艦旗としては十六条旭日旗が使われている。
この十六条旭日旗は、1870年に大日本帝国陸軍の陸軍御国旗、つまり軍旗として初めて使用され、1889年には大日本帝国海軍の軍艦旗としても採用されていて、日本人なら一度は見た事のある旗である。
だが、この旭日旗が大日本帝国の軍旗として使われていた事によって、未だ軍国主義の象徴としてアジア諸国(といってももっぱら二国だが)に悪いイメージを与える事があり、その使用が実に微妙な立ち位置に置かれる事がある。
World of Warshipsは、第二次世界大戦、とりわけ太平洋戦争に登場する軍艦が多数登場する為、当然日本の軍艦が登場すればこの旭日旗が本来なら使われるのが普通である。
しかし、前述した歴史的問題への配慮として、Wargaming.netは旭日旗の使用を全面排除という方向で配慮する事とする声明を出した。旭日旗が使われない大和なんて…ガイドラインが制定され、旭日旗を含めた写真を使ったディスカッションや、プロフィールやシグネチャへの使用、そしてMODの適用による旭日旗の使用については問題ないとしたが、ゲーム内のクランマーク等、表示が反映されるタイプの使用は禁止とした。

旭日旗使用に関するガイドラインのお知らせ
http://j.mp/1HnjFNp (現在リンク切れ)

まぁ…妥当な配慮とはいえ、旭日旗ひとつにここまでしなければならない現実というのが、実に悲しいところである。
おそらくだが、World of Tanksでも同じような問題があったのではないかと予測する。ドイツ第三帝国のハーケンクロイツのマークは、世界的にも使用を躊躇うものだが、戦車といえばドイツというぐらい、その関係は深いわけで、旭日旗もそれと同様、と判断されたのではないかと思う。

不謹慎な話

ココから先は実に不謹慎な話を書くかもしれない。
だから“旭日旗絶対ダメ”という人は読まないで戴きたい。あくまでも私個人の思っている事であり、このコメントに対して何ら責任を問われても私としては対応に困るからだ。
繰り返すが、私個人が思っている事であり、旭日旗を不快に感じる人は読まないで戴きたい。
念の為、文字を白文字にしておく。

私が思うに、旭日旗など戦争に使われたものに対しての話というのは、大凡敗戦国にだけ課せられる問題と思えてならない。
戦勝国の象徴というものを使わないとするケースはまずなく、問題視されるのはいつも敗戦国側である。
では戦勝国は被害を出していないのか?
決してそんな事はなく、場合によっては戦勝国の方が無差別に被害を与えているケースだってある。たとえば米国の原子爆弾などは、たった一発で民間人を大量虐殺した兵器であり、米国はそれを終戦間際に使用した。
決定的に戦局が傾き、終結が全く見えないという状況でない状態で、米国は2発の爆弾を落としたのである。
その原子爆弾を使用した理由は、いろいろと言われているが、一説では戦後のソ連との関係において、圧倒的戦力を見せつける為に使用した、という話もある。
いわば、見せしめの為に原爆を使用した、というのである。
それでも戦勝国というだけで国際的に赦されているのが今の米国の立ち位置である。
また、世界平和の為の連合体として国連があるが、この国連(国際連合)は元々は日独伊三国連盟に対抗して生まれた連合であり、第二次世界大戦で勝利したが故に、今は世界平和の連合という立場に立っている。
つまり、勝てば官軍、負ければ賊軍という、そういう理論だけで今の世界平和の連合が作られているに過ぎない。
その実、国連の維持費である分担金は米国22%、日本10.8%、ドイツ7.1%、フランス5.5%、イギリス5.2%、中国5.1%と、常任理事国でない日本が米国に次いで支払額が多いという事実である(数字については2013年度の比率を元に少数第2位を四捨五入している)。
あれだけ文句を言い続けていて、今経済が急激に成長している中国は日本の半分も出していないのである。しかも国連維持費の分担金を滞納している国も多く、国連自身が実に不安定な運営で行われている事実もある。
戦後70年が経過し、それでも敗戦国という名の下、いろいろなものに制限を受け、貢献しているにも関わらず未だ配慮をし続けなければならないこの事実は、果たして正しい評価と言えるのだろうか?
特にアジア二国は、日本から供給された技術などによって大きく成長している側面もあるが、未だ反日教育という事を行って日本の多くのものを拒否する立場を取っている。
今回のWorld of Warshipsの配慮も、そのほとんどがアジア二国を祖国に持つゲーマーへの配慮といえるワケで、全ては反日教育の結果ではないかと思ってしまう。
日本はアジア二国に対して謝罪をし続けている国で、それはアジア二国以外の海外諸国からも今はもう謝罪ばかりで良いのか? という発言をする国すらある。
一体いつまでこのような配慮が続くのか?
戦後70年の結果として、日本が歩んできた政治は絶対的に正しいとは言えないと私は思っている。
謝罪すべき所は謝罪し、はたしてきた責任に対しては毅然として主張する。
それが出来ていないから、いつまで経っても配慮、配慮、配慮である。
内政干渉すら赦してしまっている現状がある事を、政治家は解っているのだろうか?
私は、ゲームという仮想の中ですら配慮し続ける事がどんなにバカけでいるのかという事をホントは声を大にして言いたい。ただ、それではあまりにも人として配慮に欠けるという思いがあるから言わないだけで、そこですら口を挟んでくる人は仮想の世界を楽しむ権利を侵しているという事に気がついていないと思う。
事実でなく、史実でなく、仮想の話なのである。戦後70年でそれすら見えない世界は、正しい未来を築けていると言えるのだろうか?

私は、コーエーテクモの「提督の決断」シリーズをぜひ復活させてほしいと思っている。
シミュレーションゲームの中で、戦略と戦術、そして政治力をゲーム化していたのはこのシリーズだけだと自分では思っているのだが、中国や韓国を配慮して4作目以降が発売されていない。
歴史的な問題は確かにあるが、仮想と現実の違いをわきまえてゲームデザインすれば、決して発売できない内容ではないと思う。
艦これで日本国内の太平洋戦争に関わった軍艦に人気が集まっているのに、それでも発売しないという流れに、コーエーテクモも日本の政治家と同じ立場を採るのかと、残念でならない。
ぜひとも、正しい歴史認識を公言する意味でも、当時の資料をたくさん付けて発売して欲しいものである。

とりあえず、World of Warshipsではガイドラインが制定されて問題は解決した。
あとはゲーマー各人の良識に則ってゲーム内でトラブルが起きない事を祈りたい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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