消えて欲しくない作品

今はもう姿をほとんど見なくなった作品でお気に入りのものがある。

POWER DoLLS

工画堂スタジオという会社がある。
まだWindowsというOSが登場する前に、この工画堂スタジオからいくつかのPCゲームが発売されていた。
その中の一つに「POWER DoLLS」シリーズという作品がある。
私はそのPOWER DoLLSシリーズを心の中で名作としているのだが、当Blogを「POWER DoLLS」で検索すると、その片鱗が見えるのではないかと思う。
POWER DoLLSは、シリーズ2作目で人気が爆発し、マルチメディア展開が起きた。
ゲームから始まって小説、漫画、ラジオドラマ、アニメとその広がりは広く、当時としてはその爆発力は結構大きかったと思う。
ただ、唯一の問題はアニメが駄作で終わったという事。これによって、結局はそこで勢いは終息してしまい、その後作品は消えるように小さくなっていった。
ゲームそのものは、メカ&美少女という組合せなので、ありきたり? と思われがちな作品ではあるが、実際にゲームをプレイするとそれが大間違いだという事に気づく。
とにかく難易度が高い硬派なシミュレーションゲームで、モタモタしていると敵軍にあっという間に囲まれて全滅、なんて事が平気で起こるゲームだった。
ドラマティックシミュレーションゲームというジャンルなので、一本のシナリオが用意されていて、ゲームはそのシナリオに合わせて時に状況が激変する事があり、単純な戦力比だけでゲームが進むわけではないのが特徴である。
とにかく甘いゲームではなく、クリアするのに随分と苦労したタイトルだが、そのイメージとミスマッチした難易度と設定がとても好きだった。
昨今のゲーム業界の状況では、POWER DoLLSのようなゲームはまず出てこないと思うが、あの作品をアーマードコアのような作りにしてゲーム化したら、それなりに売れるのではないかと未だに思う事がある。

特徴的なメカ

で、そんなPOWER DoLLS、その2作目に登場するメカであるパワーローダー「X-4+」が過去にプラモデルになって発売されていた事実は知っていた。
メカものは、ゲーム人気とは違うところで生き残る事があるので、POWER DoLLSのメカも模型分野での人気は一定数確保していたようだが、そのパワーローダー「X-4+」のプラモデルが2022年1月に、PLAMから再販される事が決定した。
価格は8,800円(税込)で、サイズは1/35スケール、全高約180mmといったものになる。
メカも魅力的なPOWER DoLLSX-4というメカは、設定上いくつかのバリエーションが存在し、X-4+はX-4の性能向上型と設定されている。他にもX-4RRという電子戦用があったり、X-4Sという最終発展型となる次世代機があったりと、設定として結構作り込まれていたのもゲームとして面白い所である。
見た目の最大の特徴は、その大腿部でその脚部や肩部などに武器マウントをいくつか持ち、複数の武装を切替えながら戦闘する、というスタイルのメカになる。ゲーム中もそれに合わせて四肢それぞれに武器をマウントして武装を使い分ける事が出来た。
本キットの残念な所は、その多彩な武装を再現できていない事。実際には肩や大腿部に多彩な武装ユニットを付けられるのだから、そうした兵器類も再現して欲しかったところである。
また、ゲーム中ではエンジェルユニットと呼ばれる空挺用の背部に装着する装備も存在するのだが、それは過去に限定版キットにしか付いてこなかったようで、再販版に付いていないのも残念な所である。

PLAM 製品ページ
https://www.pmoa.co.jp/product/67.html

名作を掘り起こす難しさ

コンシューマ機であっても、PCであっても、過去の名作を復活させるレトロゲームブームは確実に存在している。
プロジェクトEggというPCにおけるレトロゲームを復活させている製品群もあるが、残念ながらプロジェクトEggにPOWER DoLLSシリーズは登録されていないようである。
レトロゲームをそのまま復活させるのもよいが、私はPOWER DoLLSのコンテンツはイマドキの技術でリメイクしても面白いモノになるのではないかと思う。
ましてそれが一人称視点だったりするアクション系のゲームに様変わりしたとしても、それはそれで別の面白さに繋がるのではないかとも思う。
コンテンツとしての面白さがあるからこそ、そうした変更があっても成立するのではないかと思うワケだが、それが成立する為にはイマドキの人達に刺さらないと行けないという側面もある。
そうした難しさがあるからこそ、全てのレトロゲームが復活するワケではない理由なのだが、POWER DoLLSは少なくとも模型ファンにはまだ刺さっているのではないかというのが、今回の再販で見て取れる。
この勢いで、コンテンツそのものが再び盛り上がってくれるといいのに…と思うが、まぁ無理な話なんだろうな。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version