AMDのZen4アーキテクチャが気になる。
最大コア数が増える?
AMDが次期Ryzenに採用する、としているZen4アーキテクチャ(Ryzen 7000シリーズ。コードネームRaphael)の噂がいろいろと出ている。
Zen4では、シングルコアのブーストクロックが5GHzを越えるものとなり、それは6コア製品であろうと16コア製品であろうと、すべてにおいて5GHzを越える、と言われている。
このブーストクロックに関しては、16コア製品ではシングルコアのブーストクロックが5.4GHzに達するとされ、一番少ない6コア製品のシングルコアのブーストクロックでも5.1GHzとなり、Intelの性能に食いつくためにクロックを引き上げる戦略で進めているように見える。
また、今までRyzenは最小単位をCCDというコアの集まりで構築しており、1つのCCDあたり8コアを搭載する形を取っていたため、ハイエンドであるThreadripper以外であれば2CCDである16コアまでが最大搭載数だった。
ところが、今回のZen4は、最上位のRyzen9 7950X(仮)は24コア/48スレッドという構成になる、という話が出ている。
こうなると、CCDあたりの搭載コア数が増えるのか、それとも3CCD以上の構成を採るのかのどちらかと考えられ、Ryzenとしても大きなジャンプアップが考えられる。
また、RaphaelからRyzenもGPUを内蔵する、という話もあるので、シリコンダイにはCPUやI/Oコントローラ以外の実装面積が必要となる。そう考えると、CCDを奇数個搭載し、その空いた場所にコントローラやGPUを配置する、という考え方もできる。
ここらへんは、モノシリックで設計するのか、それともマルチチップで対応するのかといった問題にも派生する事なので、今のところは何とも言えないが、モノシリックだと随分と異種混合型(ヘテロジニアス)になるような気がしてくる。
ただ、今までのAMDだと、異種コアをマルチチップで接続するという事は考えにくいので、モノシリックで構成したものをマルチチップで汲み上げる、という手法が当然考えられる。
その場合、GPUコアも2分割してマルチチップ接続で性能を倍化させる、なんて事もあり得るかも知れない。
消費電力は上がる?
とりあえず最上位となるRyzen 7950Xに関しては、TDPは170wになるだろう、という話は出ている。コア数が24コアと増える事で、消費電力も上げざるを得ないという事だと思われるが、恐ろしいのはクロックが上がっている事による消費電力の増加と合わせると、現時点で噂されている消費電力枠に収まらない可能性が高いと懸念される事である。
また、今出ている噂は結構ハイエンドクラスやミドルハイの製品群の話ばかりで、エントリークラスの話が全く出てきていない。
AMDはZen3の頃もそうだが、下のクラスの製品が非常に弱いというところがある。
Zen4でもその構成になる可能性が高そうで、そうなるとソフトウェアを作る側からすると、どうしてもユーザー数の多い側の技術を搭載しがちになり、結果、AMDに最適化されない方向に流れてしまい、性能が出せないなんて状況も出てきそうで、私としてはオールマイティに面倒見てくれよ、と思ってしまう。
ハードウェア性能が高いのはわかるが、それにソフトが追従しないのでは、実際の用途で性能が延ばせない。
AMDだって、その辺りはよく分かっているはずだと思うのだが。
ハイエンドのみだと価格が…
さて…私はメインPCの刷新を考えて既に長い時間が経過しているが、Zen4を待つという選択肢も当然そこには含めていた。
タイミング的にZen3のタイミングで予算が使える状況にならなければZen4が出たタイミングで乗り換え、という事を考えていたのだが、今の噂でいくと、Zen4の価格はとんでもなく高くなる可能性が否定できない。
ミドルクラスやローエンドとなると、Intelコアの方が絶対的に扱いやすい価格になるのは、ここ数年当たり前のような状況になっている。
AMDとしては、売上的にハイエンドやそのさらに上のエンスージアスト向け、そしてサーバ向けの方が利益率が高いので、そこに売れれば問題はない、と考えているのかも知れないが、全体的なユーザー数を稼げないという問題が出てくる。
数は正義、とまでは言わないが、Intelが強いのは、その圧倒的なまでの利用者の数であり、ソフトウェア開発側からすると、より多い利用者に向けた製品を作るのが理想的である。
AMDもこの辺りはよく分かっているハズなのだが、今度もまたマイノリティに全振りしたラインナップにするつもりなのだろうか?
願わくば、広く人々に恩恵のある製品を作って貰いたいものである。
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