よくわからない介護の事

母の介護生活が始まって既に1年半ほど経つが、未だに制度がよく分からない。

崩壊しないために

母の悔悟生活を1年半ほど続けているが、未だに介護というものがよく分からない事が多い。
介護保険の制度ももちろんそうだが、介護にまつわる生活という側面でみても、知らないことが多い事に気づかされる事が未だにあり、実はそうだったという事を知らされて驚くことが多々ある。
何と言ってもプライベートな部分でもあるので、他の家の悔悟生活の事なども情報などない事から、自分の家の状況がスタンダードだと思ったりする事もあり、思い込みと言えばそれまでだが、知らないが故に苦しむ事もある。
そもそも、いきなり介護保険を受ける事になった際、そういう介護系の職業に就いている人でない人で、介護の事が判っている人というのはどれぐらいいるだろうか?
おそらくほとんどの介護生活経験者でない人は、介護生活というものがどういうものか、イメージはできるだろうがその実態を理解できる人はいないと思う。
介護の覚悟なので、行政の担当者もしくは病院の担当者から紹介してもらう、その担当者が適していると判断したケアマネージャを紹介されると、あとはそのケアマネージャのいいなりのように従ってプランに乗っていく人ばかりではないかと思う。
自分から、介護をこのように進めていく、なんてプランを最初から持ち合わせている人はほとんどいないだろう。
また、これに併行して金額がどの程度かかるのか、保険や制度を利用した時にどう変化するかなど、一般人は知る由もない。
これらは全てケアマネージャが最適と考えるプランを提示され、それに完全に乗るか、一部修正して乗るかのどちらかだと思う。
ケアマネージャは被介護者の生活資金の事はわからないので、とにかく介護に必要な金額の提示しかしない。だから提示されたプランの支払いができるかどうかを被介護世帯が検討して受け入れるのである。
問題はまさにこの部分にあり、それによってすぐにではないものの、今後生活が崩壊していく可能性があることに気づかずに進めてしまうこともありうるのである。

被介護者の生活を優先

今日、私の知人から、介護職に就いている人を紹介してもらい、その人と話しをする機会に恵まれた。
今まで担当のケアマネージャやそこを経由した人達としか話したことがなかったので、全く第三者という立ち位置での介護職の人と話しができるのは、今の現状を知る意味でもとても重要と考えたので、ぜひ話を聞きたいとお願いしたのである。
我が家の状況を書く説明したのだが、その人曰く「要介護5で自宅介護、しかも家族一人でというのは、かなりのレアケースですね」とのこと。
通常、要介護5ともなれば、ほとんどが施設に入所するケースだという。
というのは、家族が多ければ話は別だが、家族一人、しかもその人が会社勤めだとすると、自宅介護だとどうしても要介護者が一人になる時間が長くなり、危険だというのである。
確かにその懸念は私にもある。が、今、我が家がそれを可能にしているのは、偏に要介護者である母が言葉は話せなくとも認知症になっていないことが最大の理由である。
で、自宅介護している状況から、どのような介護サポートを受けているかを説明すると、現状での自宅介護としてはベストと言える体制にはなっているようであった。
だが、繰り返し言われたのは、こういう時は要介護者の介護よりもその家族の生活を楽にすることを最優先に考えないといけない、ということである。
というのも、特に多いのが、女親が要介護者となり、その息子が被介護者となったケースは、特に介護生活が崩壊しやすいのだという。
理由は、自宅介護で金銭的にギリギリなのに、追加事項があっても生活の見直しでギリギリ何とか出来てしまう場合があり、それをすることによって被介護者の未来を切り売りし、生活そのものに余裕を失い、気がつけばその世帯全体が労力的にも金銭的にも疲弊してしまうからだという。
被介護者が女性である場合は、そもそも金銭的に限界をすぐに迎えるケースが多く、最初からいろんな支援制度の利用が検討されるので、こうした崩壊が起きることが少ないのだという。
なるほど、被介護者の生活か…確かに私も今までちょっとした追加事項などは自分の支出に加えて処理して済ませているケースばかりで、それによって未来の私の備えに影響が出ていることは間違いがない。
もちろん、家族のことなので、このような支出増も支えて行かねば成らないのだが、支援制度があることを知らずに自らの支出で解決するだけという人が多いのもなんとなく頷ける話である。

気になっていた施設入所

私は以前から気になっていたことが一つある。
世帯年収300~500万円程度の家族がいたとする。この場合未婚の子供と親の世帯だと、おそらくは親の年金を加えて、これぐらいの世帯年収になるハズである。
このケースの場合、親が要介護者となり、養護施設に入所するとなると、果たして入所できるのか? ということが気になっていた。
周囲の話を聞くと、おそらくは世帯年収が前述の年収額になっているにも関わらず、施設に入所していたりすることがある。
どうやって施設への支払いをしているのだろう? とずっと疑問に思っていた。
私は、今の所母親が施設に入りたくない、という意思を示していて、自宅介護で何とかなっているので、今は触れていないが、母親の状況によっては施設への入所を検討しなければならないのは、自明の理である。その時、その支払いが可能なのか? という事がずっと疑問だった。
よくよく考えて見ればわかる事だが、こうした施設に入所するとなると、月額10~12万円程度、場合によっては15万円程度が介護保険以外で必要になる。つまり持ち出し金というヤツで、これは被介護者、つまり要介護者の家族が施設に支払う金額である。
自分の生活費以外に、10万円以上を支払っていけるのか?
前述の世帯年収では、ほぼ不可能ではないかと思う。いや、何とかなっても、それはギリギリ生活していけるレベルであって、そこに余裕などないはずである。
ではどうやってそういった世帯は施設に入所しているのか?
カギは要介護者と同一世帯にしないという事と生活保護にあるという。もちろん、制度としてちゃんと利用できる事を前提とするための条件はいろいろとあるのだが、その条件を揃えて、要介護者が生活保護を受ける側となり、施設に入所するのだという。
…この話を聞き、なるほどと思うと同時に、全く気がつかなかった事にまず衝撃を受けた。どのような制度があるのか、またどのような制度をどのように使うのか、そして制度としてどうすれば使えるのか、といった事を知らない限りは、こうした手の内は出てこないだろう。
だが、こういう手があるのか、という事を知る事で、私の中では最悪まだ逃げ道がある、という認識に繋がった。もちろん要介護者である母親の意向もあるのだが、生活が困窮した時に、どうする事もできない、ではなく、まだ方法がある、という事を知っているだけで、私の精神的負担は軽くなる。
言われない限りは、知れることのないやり方…とまでは言わないが、行政の制度をよく知らない人であれば、おそらくほとんどの人が同じ反応になるのではないかと思う。

とりあえず、我が家はまだ自宅介護を継続する事になるとは思う。
だが、介護負担割合が1割から2割へと引き上げられるという話もある。もしそうなれば、この時点で生活が困窮する事は間違いない。
この時、どのように対応していくかと考えたなら、やはり制度を利用するしか方法はあるまい。
それもこれも、知っているかどうかが全てのカギになる事は言う迄も無い。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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