興味が沸いたRyzen7 5700X3D

AM4プラットフォームだが、これは名CPUではなかろうか?

Ryzen7 5800X3Dの型落ち?

AMDからRyzen 5000シリーズの新CPUが登場した。
先日も既存CPUの型落ちみたいな製品が出たばかりのRyzen 5000シリーズだが、今回は3D V-Cash搭載のRyzen7 5800X3Dの型落ちみたいな製品である「Ryzen7 5700X3D」が登場となった。
AM4を再び盛り上げるCPU元となるRyzen7 5700Xも、私からすると遅れて出てきた名CPUだと思っているが、今回のRyzen7 5700X3Dもまた、遅れて出てきた名CPUではないかと思うところが多々ある。
スペックだけを見ると、Ryzen7 5800X3Dとは動作クロックと最大ブーストクロックのみが異なるだけで、他は全く同じ仕様のCPUなので、多分本当にRyzen7 5800X3Dの型落ちといった製品ではないかと思う。
当Blogをずっと読んでいる人であれば知っている事かもしれない。過去にも同じような事を記事に書いたのだが、半導体は1枚のウェハの中で複数個製造されるものだが、それらにはにバラツキが存在する。
そもそもCPU…というか半導体は、一つのシリコンウェハの上に複数個のコアのパターンを印刷し、それを切り出したものである。シリコンウェハだって、薬剤を注入して導体部分と非導体部分が出来る様にするのだが、その薬剤が上手く通っている場所とそうでない場所でバラツキが出る。それに露光したパターンの出来の良し悪しが重なって、それぞれの半導体にバラツキが生まれる。
だから1枚のウェハから良品と不良品が生まれ、さらに良品の中にも高性能品と型落ち品が生まれる。そこからメーカーは製品をランク付けし、高クロック耐性のあるものを高付加価値品とし、性能耐性の低いものを型落ち品として製品化する。
だから果物などの作物と同じで、1本の木から糖度の高いおいしい果物もできればそうでない果物もできるというのと同じなのである。
今回のRyzen7 5700X3Dは、Ryzen7 5800X3Dを製造する上で、クロック耐性の届かなかったものを製品パッケージにした…という言い方もできるのである。
クロックは低くてもL3キャッシュは96MBと非常に大きな容量を搭載しているので、特定の用途ではかなり処理能力が高くなる事が期待できる事を考えると、Ryzen7 5800X3Dよりも価格的には安く販売されるというメリットを感じる人もいるのではないかと思う。

期待するRyzen7 7700X3D

もしRyzen7 5700X3Dが5800X3Dの型落ち品だとすると、同じように期待できるのがRyzen7 7700X3Dという製品が出てくるのではないか? という事。
確証はないし、間違いなく出てくるとは言い切れないが、Ryzen7 7800X3Dを製造する時にも同じように型落ちになる個体が存在しているはずで、それがある程度の数が存在すれば、間違いなく製品として登場させるのではないかという期待が持てる。
これで価格が安くならないなら販売する意味はないが、Ryzen7 7800X3Dの歩留りがあまり良くないようであればそれなりの数がストックされる事になるので、AMDとしてもムダにしたくないだろうから、製品化される可能性はある。
AMDは結構早いウチからモノシリックダイからMCMによる分割ダイを統合したパッケージで製品を作っているので、x900シリーズ(CCDが2個搭載されている上位製品)の歩留りが悪いという事はあまりないはずなので、Ryzen9 7950X3Dとか7900X3Dに型落ち製品というものはあまり出てこないと考えられる。そもそも、これらの製品は3D V-Cashを搭載したコアは2個あるCCDのウチ、1個にしか重ねてメモリを搭載していない。だから型落ちが出るとしたらCCDが1個しかないx800シリーズしかあり得ない。
何はともあれ、纏まった数がなければ登場する事はないので、元々の歩留りの良さに左右される事はまちがいない。
…ま、一番いいのはRyzen7 7800X3Dの価格が相当に下落して安くなることだが…これは次のRyzen 9000シリーズが登場した時にどうなるか? といった所ではないかと思う。

Intelとの競争激化

Intelは自社工場での半導体製造で微細化という側面でAMDに出遅れていた。だが、それは今までの話で、Intelは今後社外ラインでの製造を推し進めてくる。
つまり、IntelがTSMCの製造ラインで製品を作ってきたりするという事である。
そうなると、今までAMDが持っていた微細化による省電力性などの優位点がなくなる事を意味する。
Intelは今まで微細化という部分で出遅れていた事で、その不利な部分を補うように省電力化を推し進める努力をしてきた。そこにきて、微細化の恩恵が一気にやってくるとなると、AMDよりも省電力コントロールで先んじる可能性もある。
また、IntelはHyper-Threadingを辞める方向で動いているという話もある。1コアで2スレッド動作させる事で性能を押し上げてきたが、これによって消費電力を下げる事が難しくなってきた側面があるが、今後はこのHyper-Threadingを辞め、その分増加させた高効率コアを細かく制御する事で性能の引き上げと省電力化を進めていくという事なのかもしれない。
AMDはIntelとは異なり、未だに高性能コアと高効率コアのハイブリッド構成は執っていない。アプローチの違いでAMDももちろん省電力化の技術開発はしているが、今後のIntelとの差がどうなるのかは、気になる所ではある。

話が逸れたが、AM4プラットフォームを持つ人はRyzen7 5700X3Dはかなり良い選択肢となるコアではないかと思う。
性能はかなりRyzen7 5800X3Dに近いところまで来るコアでありながら、価格的にも格下なので、導入しやすいと思われる。マザーボードのBIOSを引き上げて導入する事をぜひお薦めしたい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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