スマホでスキャンしやすいノートカバー

 キングジムから“らしい”アイテムが発売される。
 何が“らしい”かというと、実にキングジムらしい発想のアイテムなのだ。
 その名も「スマホでスキャンしやすいノートカバー」という製品で、普段使っているノートに書いた内容を簡単にスキャン&デジタル化できるノートカバーである。
 この「スマホでスキャンしやすいノートカバー」の前に、キングジムは同じようにスキャンする事を目的とした製品として「スキャンノート」というノートを発売した。
 このスキャンノートはスキャナ等のメーカーで有名なPFUとのタイアップ製品で、ミシン目や切り込みの入ったノートであり、そのノートに書いた手書きの文字や絵をPFUのScanSnapでスキャンしやすいという事をウリにした製品だった。
 しかし、ノートである以上消耗品であり、デジタル化時代のアイテムとしては汎用性すら低い製品と言わざるを得ないアイテムだった。
 今回発表された「スマホでスキャンしやすいノートカバー」は、そもそもがノートカバーであり、ノート部分は汎用性の高い普通のA5もしくはB5サイズのノートを使用できる。紙を消費する事に違いはないが、汎用性の高い一般の市販品でデジタルガジェットにスキャンしやすい状況を作り出す製品と考えれば、スキャンノートから比べれば進化したと言えるだろう。

 “スマホでスキャンしやすいノートカバー”を付けたノートに書いたものを、スマホを使って撮影してスキャンするワケだが、現在そのスキャンするスマホとしてiOSおよびAndroid OS用のアプリが提供される事になっている(アプリは無償提供と言われている)。
 ノートカバーとしおりひもで囲った部分を含めた画角で撮影すると、アプリが自動的に台形補正を入れて、その内容をスキャンする…という仕組みである。
 枠組みを認識して台形補正を自動修正してくれるため、比較的ラフにカメラを通しても自動認識するのではないかと思う。


 このような、手書きの文字や絵をデジタルガジェットに取り込むというスタイルは、スマートフォンなどで撮影してデータ化する、というアプローチと、スマートフォン(タブレットが現実的か)に直接手書きで書いていくというアプローチがあるが、慣れという部分も含めて、ノートに書いたものを撮影して取り込むという方が、人間側が対応しやすい。
 私はMetamojiのNote Anytimeを使用しているが、正直使い慣れるまでには時間がかかるし、手早く手書き資料を作るという意味ではノートにまだまだ軍配が上がるのが実際である。
 ただNote Anytimeは、手書き資料の中に活字を入れ込んでいけるというメリットがあるため、慣れればキレイに仕上げる事はできるとは思う。
 ただ、使い慣れきらない現状では、やはりノートに書いたものをスキャンする方が、手書き資料をデジタル化するのは楽だと言える。

 また、こうした手書き資料をデジタル化する、という事は、キングジムだけが進めてきているわけではない。
 コクヨも“CamiApp”(キャミアップ)という、手書き資料をスキャンして取り込むというツールを展開している。
 但し、こちらはキングジムのスキャンノートと同じように、専用のノート等の使用が前提となり、それをスキャンするツールが無料公開されている。このCamiAppは取り込んだ後のデータの整理などもできるようになっているため、消耗品さえ準備できればかなり便利に使えるだろう。

 手書きデータを扱いたい、という方法には前述の2通りのアプローチがあるが、汎用ノートを活用する場合は“スマホでスキャンしやすいノートカバー”が最適解と言える。
 A5サイズが1,680円、B5サイズが1,890円という価格だが、1つ購入すれば後は汎用ノートだけで済む事を考えればそんなに高い買い物ではない。
 手書き資料の活用を考えている人は、その選択肢の一つとしてみてはいかがだろうか?

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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