アイドル化

こういう話はあまりしないのだが…ちょっとビジネスと繋げてみる。

コスプレの場合

ここ数年で急激に増えてきたのがコスプレイヤーのアイドル化だと思う。
コスプレの増加そのものは遡ればもっと歴史は長いと思う(というか確実に長い)が、アイドル化が進んだのはSNSの普及に伴っての事ではないかと思う。情報の拡散を考えればSNSの存在は無視できないだろう。
コスプレ自体のビジュアル指向は昔から決まった方向というモノがあるが、門戸は全ての人に開かれている。だから決まった方向のビジュアルにガッチリハマッたコスプレイヤーは自ずと人を集め、人が集まるからそこにビジネスというものが付いてくるケースが多い。
先日、コスプレイヤーでも格別に人気のある御伽ねこむ氏がツイートしていたが、彼女が12月15日に二十歳になる為、ブランド力の喪失祭と称して“20歳生誕祭”というイベントを行うのだとか。
この御伽ねこむというコスプレイヤーは個人的にはコスプレの世界からアイドル化した中でもその人気という意味ではダントツなのではないかとすら思う事がある。
もちろん、他にも有名な人もいるし、第一人者と呼べるような人もいるから、その名を挙げていけばキリがないと思うが、裾野が広がっていくが如く、この分野で名を挙げていく人が増え続けている事は間違いない。
アイドル化の条件としては、絶対的に「人を集める事ができる」というのがついて回るが、コスプレという分野は、確実にアイドル化する人材が増え続けている&増え続けて行く可能性があるジャンルと言える。

声優の場合

これは私の前々職の頃から既にその兆しがあって、現在も多少形は変わりつつあるものの継続してアイドル化が進んでいる業界である。
もちろん、この世界でもビジュアル指向は昔から決まった方向というものがあって、その方向に準じた人材がアイドル化していくのだが、約10年前に決定的に従来とは異なる方向が生まれた。
それは、演じるキャラクターと声優が同一視されるという方向で、その始まりはおそらくTHE IDOLM@STERだと言える。
元々はキャラクターと声優本人は別人格とされる世界で、それまでは声優がアイドル化したとしてもそれは多数のキャラクターを背景にもつ声優本人がアイドル化していたに過ぎなかったものが、アイマスではキャラクターと中の人が同一化するという流れを作り出した。
もっとも、それは意図的に狙った事で生まれたのかどうかは定かではないのだが、少なくとも一部のアニメはその流れに沿っているように見える。
また、この流れを利用して、従来以上に声優のアイドル化を進めているというのもある。オタクビジネスは売上に直結しやすいため、最近では普通にミュージシャンをやるよりも声優から出発した方が売れるという傾向もあったりして、アイドル化がビジネスを加速させている。
声優が、役者くずれの職業と言われていた遙か昔では考えられない世界である。

そこらにいるアイドルの場合

ん~良い呼び方が浮かばなかったので“そこらにいる”なんて表現の仕方をしたが、これはもう言うまでもなくAKBとかそういった類いのもの。
素人ビジネスとでも言おうか、厳選して厳選しつくして生まれるアイドルと違い、とりあえずそこそこイケそうな人材をターゲットに集団でアイドル化させていくというスタイル。
前述のAKBなどは「どこにでもいるクラスで10番目くらいの女の子」というような緩いターゲットを落とし所にしている。
この手のアイドルは、もちろん選ばれれば選ばれたでBIGチャンスにぶつかる可能性もあるにはあるが、当然ハズレもあるわけで、芸能界から消えていく人材を大量輩出している温床とも言える。
だが、これをビジネスとして体系化した人達は、さぞ大もうけしている事ではないかと思う。何しろ、享受される側が享受する側の想像を超えて大金を投下するため、このビジネスに群がる大人は数多い。
もともと素人をビジネスに活用してきた人としての先駆者は、おそらく萩本欽一氏ではないかと私は思っているのだが、その流れで成功する人もまた少なく、その後に秋元康氏、つくん氏などが成功させてきているのではないかと私は見ている。
一度成功させてしまえば似たようなプロセスで柱を数本立ち上げられるという利点もあり、アイドル化させる事で大きなビジネスにするという流れの本命みたいな感じを私は受ける。

ビジネスとして…

その他、モデルからアイドル化、大食い女子のアイドル化、等々、もともとアイドル=偶像というように、あがめる対象を確立し、それを元にビジネスへと繋げていくというスタイルは、形こそ変わるがどれも同じプロセスを辿っている。
その形というのが「人を集める」という事に支えられているのも、ビジネスの基本と何ら変わらない。つまり、人を集める事が出来る媒体を見出した結果が今のアイドル化ビジネスである。
昔、あるコミケ関係の人から聞いた事があるのだが、その人曰く、
「我々が儲けようと思えば実はそんなに難しい事ではないですよ。ただ、それが倫理的に許されるのか、或いは人道的に許されるのか、そういう所がクリアできるかが全てです」
たしかに、今やコミケは黙っていても人が集まるイベントであり、人が集まる事でとんでもないお金が動くのだから、儲けようと思えば簡単に儲けられるという事は間違っていないと思う。
仮にコミケの入場料として一人から100円を徴収したとしても、約30万人が出入りすれば約3,000万円のお金が動く事になる。もちろん、コミケの主旨はそうした入場料を取る事をヨシとはしないため、こういう事は起きえないが、人が集まるという事はそういう事なのである。

アイドル化は、そうした人を集める為の一つの手段であり、方法である。
アイドルとして祭り上げられる人がどういう気持ちなのかは別問題ではあるが、そこに群がる裏方の人達のいくらかは、少なくともそこにビジネスとしての商機を見ている事は間違いない。
確かにアイドル自身の志とか夢とかそういったものがないとは言わないが、一定の枠を超えたあたりで、夢や希望、志の裏にはビジネスが揺れ動く。それはまるで光と影のように、表裏一体なものである。
これらで動くお金が小さなものだったら、穢れた感じがしないのかもしれないが、とんでもなく大きな額が動くようになるだけに、光と影の関係はより近く、より大きなものに感じられるのかも知れない。

メディア関係の仕事の経験があると、純粋にみる事ができなくなるとは、良く言ったものである。
…自分が酷く穢れた者のように思える orz

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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