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Ryzen7 5700

以前から噂のあったRyzen7 5700が登場した模様。

ベースコアが違ってた

AMDがRyzen7 5700を発売するのではないかという話はRyzen7 5700X3Dが噂になった時にも流れていた話だが、どうも今回、AMDはRyzen7 5700をローンチしたらしい話が出てきた。
利用できるものは何でも利用する。AMDらしい商売である。
Ryzen7 5700Xそのものが、Ryzen7 5800Xの65W版で、省電力志向のものだったワケだが、さらにRyzen7 5700という名称となると、どういった棲み分けが成されたコアなのか、気になってはいた。
Ryzen7 5700という名称が付く製品は、Ryzen7 5700Xの他にRyzen7 5700GというAPUが存在していたが、どうもこのRyzen7 5700はRyzen7 5700Gの流れを汲むものらしい。
Ryzen7 5700XはRyzen7 5800Xと同じ「Vermeer」に分類されるコアだが、Ryzen7 5700はRyzen7 5700Gと同じ「Cezanne」に分類されるコアだというのである。
同じ8コア16スレッドのCPUではあるが、この両者には明確な違いがある。
それはまずベースクロックが「Cezanne」の方が「Vermeer」よりも高いというのがある。
「Vermeer」が3.4GHzに対し、「Cezanne」は3.8GHzと400MHzほど高く設定されている。もちろんブーストすれば両者とも同じ4.6GHzなので、限界性能としては似通ってくるのだが、もう一つの差が性能差を生み出す。それはL3 Cache容量が「Cezanne」は「Vermeer」の半分しか搭載していないという事である。Ryzen7 5700Xが32MBに対し、Ryzen7 5700Gは16MBしかないので、これによって処理性能が変わってくる可能性がある。
また、「Vermeer」はPCI Express 4.0に対応していたが「Cezanne」はPCI Express 3.0までの対応となる。
これらの違いがあるので、Ryzen7 5700は5700Xと同系統と考えるよりも5700GからiGPUを削除したコア、と考える方が自然である。

他にもリークされた情報

Ryzen7 5700はローンチされたようなので、情報としては確定したものとも言えるが、その他にもいくつか出ている噂の製品に関しては、その価格などの情報がリークされた。情報元は188号@momomo_us氏で、3店舗の米ドル価格を示している。

  • Ryzen 7 8700G:$340-390-440
  • Ryzen 5 8600G:$240-280-310
  • Ryzen 5 8500G:$190-220-240
  • Ryzen 7 5700X3D:$260-330-340

価格を見ると、何とも「らしい」製品ではある。
リークした情報のスペックを見ると、Ryzen7 8700Gには12CUのRadeon 780Mが搭載され現行のAPUとしての性能としてはまずまずの性能と言えそうだ。
ただ、ステッピングから判断するに「Phoenix」コアではなく、さらにその次の「Hawk Point」と推測でき、現時点ではNPUの性能が不明なので、明確に「何のコアなのか?」は追究できないようである。
ただ、Ryzen7 7700Xや7800X3Dが採用する「Raphael」コアではないとすると、おそらく搭載するL3 Cacheは16MBとなり、通常の半分の容量しか持たない。ただ、それは「Raphael」がチップレット構造であるのに対し、APUはモノシリックダイで作られるので、L3 Cacheは半減した16MBになるだろうと予想される。
APUはiGPUが強化されている代わりに、L3 Cacheが半減するというのは、避けえぬ仕様といえるかもしれない。

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AM4コア、再び?

AM5が登場して1年が経過しようかという時に、AM4の新型登場?

8コア16スレッド

Ryzen7 5700X3Dが来年登場するかもしれない。
もうAM4からAM5に移行してから1年が経過しようとしている今の段階で、またしてもAM4の新型が発売という、トレンドを逆行しそうな話が出てきている。
発売されるのは、3D V-Cacheを唯一搭載していたRyzen7 5800X3Dの弟分ともいえるRyzen7 5700X3Dで、おそらくRyzen7 5800X3Dとは動作クロックが遅いという事とそれによって消費電力が低いといった違いしかがないのではないかと考えられる。
ゲーム性能以外の効果の発揮の仕方はないのだろうか?おそらくTDPはAM4の上限である105Wではないかと予想するが、もともとのRyzen7 5700Xは65Wだったので、もっと低い電力で3D V-Cache搭載コアを動作させる可能性もあるかもしれない。
省エネという意味ではRyzen7 5700Xは非常に良いスコアを出すコアだったので、できればTDP 80Wくらいの3D V-Cache搭載コアにすれば、パフォーマンスも省エネも満足できる良コアになるのではないかと予想する。
ちなみに、さらに下のグレードであるRyzen5 5500X3Dも予定されているとしていて、こちらはコア数などはRyzen5 5600X3Dと同等でそれよりもクロックと電力を絞ったものになるのではないかと予想される。
未だAM4環境でPCを動作させている人には、ちょっとしたアップグレードパスになるのではないかと思う。

Ryzen 8000Gシリーズ

AM5では、いよいよデスクトップ版APUとも言える、Ryzen 8000Gシリーズが登場するとされる。
基本的にコードネームはPhoenixをベースとしたもので、Zen4コアにRDNAアーキテクチャのGPUを組み合わせたものになるのだが、PhoenixにはPhoenix 1とPhoenix 2という2種類が存在し、CPUコアであるZen4の内容に違いがある。
フルスペック版で考えると、Phoenix 1は、Zen4を8コア、RDNA3 GPUを12CUで構成するが、Phoenix 2はZen4を2コア、Zen4cという縮小版コアを4コア、RDNA3 GPUを4CU搭載したものになるという。
後続にPhoenix 3やPhoenix 4も予定されているという話もあるが、それらについてはまだまだ未知数である。
で、今回ある程度見えてきたのは、前述したRyzen 8000Gシリーズだが、これもPro版と non-Pro版に分かれていて、それぞれ仕様が細かく分かれているようだ。
Phoenix 1ベースのRyzen7 8700GとRyzen5 8600G、そしてそれらのPro版、さらにRyzen Pro7 8700GEとRyzen Pro5 8600GEが存在し、同じ構成でPhoenix 2ベースの製品が予定されているという。
注目なのは、Phoenix 1ベースのもので、搭載するRDNA3 GPUが12CUも搭載されているというところである。
APUの中では抜群のiGPU性能になる事は想像に難くない。Ryzen7 8700GがRyzen7 5700Gの最大2.5倍の性能を叩き出した、なんて話もある。
APUでPCを構成している人は、期待してもよいのかもしれない。

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3D V-CacheをRAMディスクに

高速アクセス可能なメモリは夢である。

半導体メモリを活用

昔、X68000 EXPERTを所有していた頃、初代X68000と異なり、EXPERTはメインメモリが2倍の2MB搭載していた事が私に福音を呼び込んだ。
というのは、当時のX68000のソフトウェアは、メインメモリ1MBで動作するようプログラムされたものが大半だったため、私のEXPERTはメモリを1MB近く使われない状況にあったのだが、16KBのS RAM(スタティックRAMの事。不揮発性メモリとして利用可能)を搭載したX68000の特徴を活かし、このS RAMにメモリキャッシュプログラムを保存し、X68000 EXPERTが起動するたびにこのS RAMに保存されたキャッシュメモリプログラムをロード、メインメモリ1MB分をキャッシュメモリとして利用してあらゆるプログラムで利用していた事がある。
通常ならFDからデータを読み込む所を、キャッシュされたメモリからプログラムを読み込むので恐ろしく高速ローディングされる状況を作り出すことに精工したため、その動作は実に快適だった。
このように、半導体メモリからデータをローディングするという行為で高速アクセスできるという事の恩恵は、実際に使ってみるととてつもなく快適で、たとえそれが当時高速だと言われたハードディスクであっても、それすらも凌駕するアクセス速度でメモリの大切さを実感できた。
また、その後Windows全盛期になった時でも、私はメインメモリを比較的多めに搭載し、そのメインメモリからRAMディスクプログラムでRAMディスクを作成し、それをダウンロードデータの格納先として利用していた時もある。
ダウンロードしてきたデータをセキュリティソフトで検疫し、そして圧縮されたデータを展開するのもRAMディスク上でやるので、そのアクセスがとんでもなく高速である事から、とても快適だった。
ただ、時代と共にこうしたRAMの利用頻度は徐々に減ってきているように思える。SSDそのものが半導体メモリだと言ってしまえばそれまでだが、わざわざメインメモリを活用しなくても、高速アクセスできるストレージが増えたからだ。

キャッシュメモリ

だが、今でも高速にアクセスするメモリが重宝される事そのものに違いはない。
ただ、そのメモリの配置される場所が、昔より高度な位置に変化しており、なんとCPUの2階部分にメモリを配置してCPUからのアクセスを高速化したのが、AMDの3D V-Cacheである。
ゲーム性能以外の効果の発揮の仕方はないのだろうか?基本的に3次キャッシュメモリという位置付けでCPUからのアクセスをとんでもなく高速化できるメモリなのだが、驚くのはCPUに直結するメモリとして64MBもの容量を持っているという事に尽きる。
ただ…最近の状況で64MBと言われても、おそらくデータ量としては小さすぎて利用価値はあまりない。
だが、そんな3D V-CacheメモリをRAMディスクとして使用する事に成功した猛者が現れた。
https://www.tomshardware.com/news/amd-3d-v-cache-ram-disk-182-gbs-12x-faster-pcie-5-ssd
最速のPCIe 5.0 SSDよりも12倍以上も高速にアクセスできる事が確認できたようで、シーケンシャルリードが約182GB/s、シーケンシャルライトが約175GB/sという速度に達するという。
実にとんでもない速度である。

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Zen4のThreadripper

無印Threadripperは2020年以来の登場。

一般人には不要のもの

AMDがThreadripper 7000シリーズを11月22日に投入、ラインナップが更新された。今回のThreadripperは「Ryzen Threadripper PRO 7000WXシリーズ」および「Ryzen Threadripper 7000シリーズ」と、Proが付くバージョンと無印のバージョンが存在し、無印はZen2時代のThreadripper 3000シリーズ以来となる。
Proと無印では最上位モデルのスペックに差はあるが、そもそもThreadripperそのものがHEDT(ハイエンドデスクトップ)向けとされている。そこにProと無印に分ける意味はあるのか? と私などは思うのだが、世界には金持ちはいくらでもいるわけで、無印はエンスージアスト向けとして存在していると考えた方がよいのかもしれない。
96コア192スレッドの超級CPUPro版の最上位モデル「Threadripper PRO 7995WX」は、1パッケージに物理コアを96コア搭載し、その稼働スレッドは192にも上る。
一方、無印版の最上位モデルは「Threadripper 7980X」となり、物理コア数は64コア、稼働スレッドは128スレッドとなる。
これだけの並列性、普通は使い切れないところではあるのだが、余り有る予算を持っている人からすると、少しでも高性能なPCをと求めているようで価格がたとえ100万を超えようが、そこに需要があるというのが、私には別世界の話だという事を感じさせる。
ま、実際は最近のIntelコアにしても、40スレッドのCPUなどが普通にあるワケで、もう並列性で困るというCPUは存在しないのではないかと思う。
そうした背景を考えると、やはりThreadripperは根本的には業務用ではないかと思う。

メモリはECC付のみ

Pro版と無印版がある今回のThreadripper 7000シリーズだが、Pro版と無印版の違いとしては、メモリチャネル数がPro版は8チャネル、無印版が4チャネルという違いがある。
PIC Express Gen5のレーン数も違いがあり、Pro版は128レーンに対し、無印版は48レーンと絞られている。
どちらもZen4アーキテクチャでTDPは350Wと変わらないしオーバークロック等の機能についても違いはないが、メモリとI/Oまわりに違いが設けられている。
ただ、メモリの共通項としては、どちらもECC付きメモリを使用する必要がある。これはI/OダイをEPYCと同じものを採用している為である。
Threadripperよりさらにサーバ向けのEPYCという存在を考えると、Pro版のThreadripperの存在意義はさらに不思議な位置付けになるのだが、要は業務用としてサーバに特化したコアと汎用的に使用するハイエンド製品を分けた、といったところか…いや、最初からその棲み分けだったか。
また、今回のThreadripper 7000シリーズは、ソケット形状が「sTR5」となっていて、それに組み合わされるチップセットもPro専用の「WRX80」とProおよび無印共用の「TRX50」とが用意されている。
Pro版で気をつけなければならないのは、共用の「TRX50」を使用すると、メモリやPCI-eのレーン数が無印版相当にダウングレードしてしまう点である。
Pro版をちゃんとしたカタチで使用するとなると、相当な金額が必要になる、という事である。

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Ryzen 8000シリーズ

AMDの次世代CPUの噂。ホントかどうかはまだ分からない?

Granie Ridge

AMDの次世代CPUである、Ryzen 8000シリーズの噂では、I/Oまわりは現行のRyzen 7000シリーズと同じものを使用するという。
既にAMDは6月上旬の段階でRyzen 8000シリーズCPUが2024年に登場するという事を発表しているが、もちろんその中身に関しては情報を公開はしていない。
ただ、ソケットは現行のAM5を用い、CPUコアはZen5、iGPUはRDNA3.5に、そしてTDPは65~170Wになると紹介していた。
進化する事はありがたいが、一休みも必要な時代ではないかと…TDPが170Wとなるところも、Ryzen 7000シリーズと同じなところを見ると、アーキテクチャは変わるが大部分の構成に関しては従来と同様というのもうなずける。ただ、iGPUに関しては、Ryzen 7000シリーズもRDNA2世代である事を考えると、ここに当初の発表と大きく異なる部分が出てくる。
Ryzen 8000シリーズの内蔵GPUはRDNA3.5ベースだと思っていたところ、よくよく確認してみるとRyzen 7000シリーズと同等という事ならRDNA2相当という事になってしまう。
ここを残念に思う層がどれだけいるのかは分からないが、CPU部は最新なのにiGPU部は2世代前になるという事を残念に思うというのは理解できる話である。

I/Oとしては

今回は「I/Oまわり」と大雑把に噂されているが、ここをそのまま受け止めるとすると、Ryzen 8000シリーズはPCI Express 5.0を28レーン持ち、2ch DDR5のメモリコントローラを持つという事になる。対応する動作クロックに関しては上昇する事はあるだろうが、レース数も増えなければチャンネル数も変わらないという事が考えられる。
あとは追加されるコントローラとしてUSB4への対応があるが、これはチップセットで対応する、という可能性もある。
そうなると、新チップセットが登場するという事も考えられる。正直言えばX670Eチップセットはもっと息が長い可能性もあるかとも思ったのだが、X770チップセット(仮)も登場する可能性は高そうである。

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Ryzen 5000シリーズの隠し球?

Ryzen 7000シリーズが発売された今であっても500シリーズに新製品が出るというのか?

Ryzen5 5600X3D?

AMDが新たなRyzen 5000シリーズを投入する可能性があるらしい。
従来、Ryzen 5000シリーズの3D V-Cash搭載のCPUは、Ryzen7 5800X3Dのみとされてきたし、今もこの製品のみが発売されている。
現在は価格が随分と下がり、ツクモでは36,170円と非常に手の出しやすい価格にまで落ちてきている。
このタイミングで、Ryzen 5000シリーズに、新たな3D V-Cash搭載のCPUが登場するかもしれないという噂が出てきている。


あくまでも噂レベルの話なので、どこまで信憑性がある話かはわからないが、Ryzen5 5600X3Dという、6コア12スレッドのCPUに3D V-CashでL3キャッシュを増量した製品が登場するかもしれないというのである。
トレンドは積層化へリークした情報の画像にはいくつかの情報が掲載されていて、L2キャッシュは計3MB、L3キャッシュは系96MBとなり、その動作クロックはベース3.3GHz、ブースト時4.4GHzとなるようだ。
何故今の時期にRyzen 7000シリーズでなく5000シリーズの、しかも下位モデルで3D V-Cash搭載モデルが出てくるのか? という疑問がないワケではないが、より安価で、より性能の落ち込みが少ない製品が同情することで、ミドルレンジからローエンドの分野で一定の存在感を示すことはできるだろう製品になることは何となく予想できる。

マザーボードがない?

ただ、もしこの噂が本当だったとしても、問題がないわけではない。
というのは、既にAM4ソケットのマザーボードの生産はかなり少なく、流通しているマザーボードの在庫も少なくなっているのが現状である。
おそらく、チップセットそのものはもう生産していないだろう。だからあとはマザーボードメーカーが在庫にもっているチップセットで製品を生産するだけになっていると考えられる。
主力はAM5ソケットに移行してしまっているので、AM4プラットフォームのRyzen5 5600X3D(仮)は、AM4ソケット対応製品でないと利用できない。
既にAM4ソケットのマザーボードを所有している人ならば問題はないが、そうでなければマザーボードを入手するところからになる。そういう意味では多少ハードルは高くなると言える。
私もAM4ソケットのマザーボードは持っていないので、もし導入を検討するとなると、まずはマザーボードの入手から考えないといけない。
私なら…Minisforumのベアボーンキットなどを利用することを考えるかもしれない。
もっとも、Minisforum自体がAM4ソケットの製品でベアボーンキットを発売する可能性にかけるしかないわけだが。
根拠がないまま話しているわけではない。一応は発売が予定されている製品に、B550 Proがあるので、それなら利用できるな、と考えているに過ぎない。

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Ryzen、ヤケチャッタ?

Ryzen 7000シリーズで焼損問題が報告されている。

過電圧が原因か?

最初にその情報を見つけたのはTwitterからだった。
なんだかCPUの裏面の端子の一部が膨らんでいて、そこに対応するマザーボードソケットの部分が黒く焦げたような感じになっていた。


どうも、これは3D V-Cashを搭載したモデルだけの話ではないようだが、これに対し、AMD側は現在調査中だという声明を出したようだ。但し、内容としては3D V-Cashを搭載したモデルに対しての話のようではある。
元々、AMDがODMパートナーと協力してRyzen 7000X3DシリーズCPUに安全な電圧設定が適用されている事を確認しているのだが、オーバークロック中の過剰な電圧によってマザーボードのソケットとピンパッドを損傷させた可能性があるという事をAMDは既に認識していて、その調査に当たっているという。
だが、どうもその原因はRyzen 7000シリーズから導入された、温度95度で制御する機能に問題があるようだ。

この記事によると、SoCへの電圧が規定より高い値で流れてしまった事が原因で、それを引き起こしているのがBIOS設定から電圧オフセットを変える事で発生する他、EXPOメモリーオーバークロックプロフィールの設定次第で、SoC電圧が規定を超えるケースがあるためだという。
ただ、SoC電圧が規定を超えるとCPUがすぐに焼損するという訳ではないようで、これが引き金になって連鎖反応的に故障へと進んで行くらしい。
まず、SoC電圧が規定を超えるとCPUに内蔵されている複数の温度センサーの内、一部が損傷してしまい、CPUが熱暴走を検知してTDPを引き下げる機能やシャットダウンする機能が適切に動作しなくなる。Ryzen 7000シリーズはCPU温度が95度を超えない範囲まで動作クロックを上げるが、それを制御しているのが温度センサーなので、その一部が機能しなくなる事で95度を超えても動作クロックを下げず、動作し続けた結果、物理的に破損する状況になるようだ。
これが事実なら、確かに3D V-Cashの有無は無関係ではあるが、発生しやすいのはやはり3D V-Cash搭載モデルである可能性が高い。

EXPOプロフィールもヤバイ?

今回の焼損問題、どうもメモリのオーバークロック定義であるEXPOプロフィールも原因の一つらしい。
EXPOは、IntelのXMP規格のAMD版だが、Ryzen 7000シリーズと同時に登場した規格である。
未だ安定せず。AMDらしさである。なのでまだ規格としては新しいものになるが、私は中見としてはIntelとさほど差がないものだろうと思っていて、危険性は考えられないと思っていた。
しかし、実際にはオーバークロックするのだから、それに伴う電圧や熱の問題は当然あるわけで、それらが許容値を超えればトラブルになるのは必然である。
で、今回の私のメインPCは、メモリに関してはEXPO規格のものを使用していて、既にメモリは6000MHzにオーバークロックして使用している。
CPUは若干クロックダウンする様、BIOS設定しているが、メモリは6000MHzで動作させているので、場合によってはメモリに問題が発生する可能性がある。
ただ、現在報告されている内容を確認すると、EXPO規格でメモリをオーバークロックした状態でCPUが焼損した事例はあるようだが、メモリそのものが焼損したという事例はないようである。
どちらにしても、今は設定をデフォルトに戻した方が健全かもしれない。

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Zen6は2nmプロセス?

シリコンダイで2nmプロセスが可能な時代になったのか…。

Zen6の噂

AMDの技術者が、LinkdInというネットワークサービスでZen6のコードネームとプロセスノードを明らかにしたらしい。
それによると、コードネームは“Morpheus”で、プロセスノードは2nmになるという。
Zen5のコードネームは“Nirvana”で2024年に市場投入が予想されているので、Zen6はそれよりも後の話にはなるが、シリコンダイで2nmプロセスが可能になったという事自体、技術革新とは凄いものだと思わざるを得ない。
2014年頃、シリコンでは7nm以下は不可能だと言われていたと思う。たしか、Tech系サイトの記事で読んだことがあるのを記憶しているのだが、シリコンダイでその微細化限界は7nm~5nm程度と言われていて、その素材をカーボンナノチューブに移行する研究を進めているという話があった。

しかし、前述したように今のところシリコンダイで2nmというプロセスノードを実現しようとしているところを見ると、技術でこの限界を突破した、と言えるようだ。
ただ、先日亡くなったIntelのゴードン・ムーア氏が提唱した「ムーアの法則」がそのまま進むと考えれば、何れシリコンダイではプロセスノードを維持できなくなる事は明白で、その素材もシリコンであり続ける事は難しいと言える。
そもそも、ホットスポットの熱でシリコンが溶ける可能性も1ある。微細化が進むという事は、より小さなところに電力が集まり、それによって高温となる熱が集中する事になる。
その熱を冷やす為にヒートシンクなクーラーが取り付けられるわけだが、熱は発生源から冷却デバイスまで熱伝導で伝わっていくので、伝わっていくまでにシリコンが熱によって溶けてしまう可能性がある。なので、そろそろ物理限界が訪れても不思議ではないと私は思っている。

Zen5は2024年リリースに向けて順調

Zen6の噂が出ている中で、もっと現実的な話をするとなると、その前にZen5を見ていく必要がある。
Zen5は、プロセスノードとして4nm/3nmが予定されており、こちらはもう現実的なレベルで問題がない事はある程度見えているが、TSMCでも3nmはとても技術的な難しいところがある事が言われていて、開発が難航している事が今年の2月ごろに言われていた。
開発は順調でも製造でトラブルが出ているようでは…歩留りも悪いようだが、TSMCそのものは順調だと行っているようで、その真意が定かではない。もっと言えば、結局は難航している事から、生産に制限が設けられる可能性もありそうで、最終的な着地地点がZen5であってもまだ見えていないのが実情である。

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いよいよ発売のRyzen7 7800X3D

意外と初期流通量は多いようで。

3D V-Cashのパワー

本日より、Ryzen7 7800X3Dが店頭で発売された。
レビューでベンチマークテスト結果が既に流れているので、その性能はもうよくしられたものと言えるが、一部ゲームではRyzen9 7950X3Dをも超える結果を叩き出すCPUなので、ゲーマーの人達からは評判はよさそうではある。
ただ、キャッシュメモリを多用するソフトでない限りは、Ryzen7 7700X以下の性能になってしまうし、ゲーム以外の性能を考える人からすると、ちょっと悩みどころがあるCPUと言える。
ゲーム用途ならやはり強いただ、そんな汎用性を考えつつ、省電力性、低発熱性をも気にする人からすると、Ryzen7 7700XよりもRyzen7 7800X3Dの方が低電力、低発熱な特性があるため、選択肢に入ってくるCPUである。
私は…正直最近はゲームプレイ時間も短くなり、ゲーム中心と言いにくいところがあるが、かといってクリエイティブな事にPCをガンガン使っているかというとそうでもないので、おそらくRyzen7 7800X3Dの方が求めている性能に近づける事ができるとは思うが、かといって今7万円クラスの出費をするのか? となると、そこはちょっとちがうだろ、と考えてしまうので、おそらく今のままRyzen7 7700Xを低電力設定で使用する事になるだろう。

Ryzen9 7950X3DをRyzen7 7800X3D化

これはUEFI/BIOSレベルで知識のある人たちがやったりする事たが、一部の人でRyzen9 7950X3DをRyzen7 7800X3D化してゲーム性能を引き上げる実験をしている人達がいる。

何故こんな事をするかというと、Ryzen9 7950X3Dの方がRyzen7 7800X3Dよりも動作クロックが高い設定になっているからで、性能はクロックの高い分だけ高いだろう、という意味で2つあるCCDのウチ、CCD1を停止させ、CCD0のみ動作させるよう設定するらしい。
だが、この考え方の大元は間違っていると言える。
そもそも、Ryzen9 7950X3Dがより高クロックなのは、3D V-Cashを搭載していない方のCCD1を動作させた時のクロックを指し示しているはずで、キャッシュメモリを多層化している熱に弱いCCD0はその高く設定されているクロックで動作させないハズである(本件、何か根拠があって言っているワケではない。私の憶測である)。
ただ、UEFI/BIOSレベルで設定する事なので、その動作クロックからしてユーザーの手でコントロールできる事から、このRyzen9 7950X3DをRyzen7 7800X3D化そのものは実は危険な改造とも言える。
まぁ、自己責任でやる事なので、それで性能が引き上げられて問題がなければ、より高性能なゲーム用CPUにはなるだろう。

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Ryzen7 7800X3D

やはりゲーム用途に強いのは間違いなさそうだ。

レビュー情報公開

Ryzen 7000シリーズの3D V-Cache搭載製品が2月に情報公開となって後、一番最後に発売されるとされていたRyzen7 7800X3Dのレビュー情報が公開された。
2CCD製品であったRyzen9 7950X3Dや7900X3Dは、高クロックが必要な時は3D V-Cacheが載せられていないCCDを活用し、キャッシュメモリが有効な時は3D V-Cache搭載のCCDを使い分ける事で性能を引き延ばすという手法を採っていたが、これはタスクの振り分けを上手くコントロールする必要があり、それで性能が伸び悩む場合が考えられた。
しかしこれら2CCD搭載製品と異なり、クロックを低く抑えた1CCDのみで構成されたRyzen7 7800X3Dの性能は、どこまで伸びるのかについては、実に未知数と言えた。
大凡の見解では通常時はRyzen7 7700Xの方が性能が伸び、マルチメディア系処理の時はRyzen7 7800X3Dの性能が伸びるだろうと予測は出来ていたが、いざレビューを見てみると、やはりそのとおりの傾向で、ゲームにおいては部類の強さを見せつける結果のようである。
ゲーム用途ならやはり強い大凡ゲームではRyzen7 7700Xを15~20%ほど性能向上させる結果のようだが、GPUにゆとりがある場合だとRyzen7 7800X3DはRyzen9 7950X3Dに匹敵する性能を叩き出す事があり、そう考えるとコストパフォーマンスは抜群のCPU、という捉え方も出来そうな感じである。

驚きのワットパフォーマンス

ただ、CPUベンチマークの結果で言えば、Ryzen7 7700Xの方が性能は伸びる傾向にある。
これは当初から言われていた事だがやはりクロック依存の性能ではどうしてもクロックと温度に低めの設定がなされているRyzen7 7800X3Dでは、Ryzen7 7700Xには性能は及ばない事になる。
なのでゲームしかやらないといった人であれば、Ryzen7 7800X3Dは最適なCPUの一つと言えるかも知れないが、ゲームはPC使用の比率としては思った程高くないという人は、Ryzen7 7700Xを選択するという手もありそうだ。
省電力性という意味ではRyzen7 7700という選択肢もあるが、こちらは省電力を優先したが故に全体の性能を落としてしまっているので、性能の伸びを気にするのならRyzen7 7800X3Dを選択するのが良い結果を出しそうである。
もう一つわかるのが、Ryzen7 7800X3Dはそのマルチメディア能力に比して、消費電力が全体的に低いという事である。
上限値の温度とクロックが低い事が影響しているのだろうが、得意なゲームベンチマークを動作させていても、そのワットパフォーマンスはRyzen7 7700Xを超えてくる。
こうなると、Ryzen7 7700と7800X3Dのワットパフォーマンスの比較が欲しいところだろう。
発売された後、どこかで比較してくれるといいなと。

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Ryzenの個体差性能問題?

Ryzen5 7600Xにて一割程度の性能差が出る当たり外れが確認されたとか。

個体差があるのは当然だが…

CPUは生鮮青果と同じだと言った人がいた。
何を言っているんだという人も居るかもしれないが、青果と同じほど一つのまとまりから作られるCPUの個体性能はバラバラで1つたりとも同じモノはない、という意味で青果に例えられるのだが、この話を本当の事と考える人は案外と少ない。
半導体製品が青果と同じ…にわかには信じられないという人も多いわけだが、1本の木から取れる果物の糖度がバラバラのように、1枚のシリコンウェハからとれるCPUもまた、全てが同じ性能を持つものではない。
理由は、シリコンウェハを製造する際に化学薬品を注入して半導体(条件によって電気を流したり流さなかったりする特性)にするのだが、この注入する薬品をシリコンウェハにできるだけ均一に注入するようには製造しているものの、なかなか確実に均一化できない問題があり、一枚のシリコンウェハの部分によって電気特性のよい個体もできればよくない個体が出来たりする。
通常はそれを性能別により分けて、さらに有効化するコアの数などを揃えてIntelならCore i7やCore i5、AMDならRyzen7や5といったCPUに利用していく。
AMDはCCD毎にそうした違いを有効活用できる仕組みなので、時にはCCDの中でも活かせないコアが含まれているものが見つかればRyzen9 7900Xに搭載してみてCCD 1個あたり6個活かせるコアとして利用したり、と歩留り向上に役立てている。
コアが有効化できるかできないかだけでなく、電流を流した時により温度が上がりやすい個体は高クロックCPUには利用できないところもあるので、そうした特性に合わせて商品ランクを変えて製品化している。
だから、総合的に見てCPUには当たり外れは確実に存在してしまうのだが、品質管理上、それらをできるだけ均一化する事で、ブランドを維持するのが常である。


ところが…私がよく見るサイトの一つで、個体差では説明が付かないほどの差が生まれた記事が掲載されていた。

性能差5~8%

前述記事によると、Ryzen5 7600Xにおいて、同一型番のCPUで性能差が5~8%にも及ぶ個体が確認されたという。
実動クロック5.4GHz前後のものもあれば、5.0GHz前後という違いであり、自費で追加購入して調査した結果でもバラツキが出たというのである。
しかも雑誌レビューで使われた個体だけが特別によい性能を見せているなら、メーカー側が選別したものを特別用意した、という事も考えられるが、普通に店頭購入したものの中で、性能が出ているものとそうでないものが確認されている。
これでグリスが完全に防げるとは考えにくいが、保険ぐらいにはなるだろう
さらに、生産国は中国、マレーシアと複数にわたっているが、この生産国の違いで性能差が出ているわけでもなさそうで、どういった条件で性能差がでているのかが今一つわからないようである。
性能が伸び悩む個体は、CPU温度も上がりやすい傾向にあるようで、特に温度でクロックを絞るという特性を持つZen4なだけに、顕著に性能差が出ているのかもしれない。

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3D V-Cacheでゲーム番長

Ryzen 7000シリーズのX3Dモデルのレビューを見て思うこと。

あまりにもピーキー

Ryzen9 7950X3DとRyzen9 7900X3Dが3月3日11時より発売開始となる事が発表され、情報解禁が始まったようである。
各テック系サイトではレビュー記事がバンバン出始めているので、詳細情報はそういったサイトを見ていただきたい。私もそれらのレビューを見たのだが、結果としては思った通りの傾向となっていて、強烈なまでの驚きはなかった感じである。
ただ、事前に分かっていた事だが、2CCD搭載のRyzen9で、L3キャッシュを増量しているのが片方のCCDのみだという事が、どういう影響をもたらすのか? というところが気になっていた。
impress PC Watchより画像引用Intelのように、ハードウェア的に処理スレッドを操作する仕組みを持たないAMDが、BIOSとOSドライバのみで処理の傾向を制御できるのかも気になっていたし、TDPがぐっと抑えられた状況がどのような影響を与えるのかも気になっていた。
そうした気になっていた傾向がレビューで調査された結果、私がX3Dモデルを見た時、出てきた言葉がコレである。
「やはりゲーム番長か」
想像から逸脱していない結果。
キャッシュメモリが効くゲームとメディア系アプリケーションにだけ強いという何ともピーキーな特性。
実にAMDらしい、面白いハードウェアである。

ゲームでも高負荷だと…

ただ、個人的にちょっと残念な部分もないわけではない。
それはゲームのキャッシュメモリの効果が出やすいベンチマークであっても、4Kのような高負荷状況でIntel Core i9-13900Kあたりと比較した時、性能差がほとんどない、という事である。
唯一の救いは、その性能差の少ない状況であっても消費電力や発熱量はぐっと小さくなるという事なので、それがより高性能である、と言えるという事なのかもしれない。
また、今回は特性の異なるCCDが2個搭載されているRyzen9なので、X3Dコアと高クロックコアの使い分けというところで全般的な性能に落ち込みが許容値だったわけだが、これがRyzen7 7800X3Dとなった時どうなるのか? というのも気になる。
純粋にX3Dコアだけの時、そのクロック低下から性能がどこに落ち着くのか?
とても興味深いとこである。

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