ふるさと再生 日本の昔ばなし

 2012年4月からテレビ東京系で“ふるさと再生 日本の昔ばなし”という番組が放送される。
 日本各地に根付いた民話や昔話を紹介する番組で、感覚的に言えば昔放送していた“まんが日本昔ばなし”に似たものになるのではないかと思われる。
 語り手は俳優の柄本明氏と女優の松金よね子氏が担当、放送1回につき3本の物語を放送するというあたりも“まんが日本昔ばなし”に似たものと言える部分である。ちなみに“まんが日本昔ばなし”の語り手は市原悦子氏と常田富士男氏の二名だった。

 “まんが日本昔ばなし”は、いろいろな意味で重要な作品だったと思っている。
 1話あたり10分弱という中で、日本の昔から語られている昔話などが展開されるのだが、実はこの物語構成がものすごく秀逸で、学校で習う物語の基本である“起承転結”がしっかり構築されていて、物語の流れが実にスッキリまとまっている。
 まぁ、要するに日本に伝わっている昔話のほとんどがちゃんとその流れに乗った作品だったという事だが、それを毎週3話ずつ放送している事に意味があるのである。
 というのは、この番組を見続けていると次第に物語の構成というものが「こういうものだ」という理解に繋がるのである。


 意外に思うかもしれないが“まんが日本昔ばなし”が放送されなくなってから、子ども達の中に物語を作れなくなったという現象が出始めていたりする。
 具体的に言うと、簡単な作文が書けないのである。
 どうやって文章を構成していいのかわからない。そうした子どもはこのように言うそうである。
 こうした子どもが増えた背景には、私は“まんが日本昔ばなし”の影響が少なからずあると思っている。いや、私だけではない。おそらく、今子どもを持っている大人たちの中にもそう感じている人はいるのである。

 また、この“まんが日本昔ばなし”が放送されなくなってから、子ども達の中に「怖い物をしらない」子どもが増えた、という人もいる。
 まだ心根が素直な小さな子どもの頃から“まんが日本昔ばなし”を見せておくと、子ども心に世の中には怖い物がある事を知る事になる。怖い物がある事で、物事の善悪を知り、悪行には必ず報いがある事を知る。
 この事が、子どものその後に大きな影響を与えるのである。

 今回の作品が“まんが日本昔ばなし”と同様のものになるのかどうかはまだ分からないが、少なくともそれを期待している大人は多いのではないかと思う。
 良くも悪くも“まんが日本昔ばなし”は子どもにあらゆる影響を与えていた。
 そう考える大人は少なくない。
 私もそう思うし、子どもにこそ“まんが日本昔ばなし”のような作品は見せるべきだと思う。
 “ふるさと再生 日本の昔ばなし”が、かつて高視聴率を誇った“まんが日本昔ばなし”と同じような路線を辿り、そして世の中に受け入れられる事を私は切に願う。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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