パンドラバッテリ

 パンドラバッテリというものがある。
 多分、普通の人は知らないシロモノで、また知る必要のないモノである。
 PSPを普通のPSPとして使う人には関係のない話で、邪道な使い方をする人の一部にこそ関わってくるものがパンドラバッテリというものである。
 PSPはきわめてモバイルPCに近い構造をしている。
 専門家から言わせるとおそらくそれも間違った解釈なのかもしれないが、普通のゲーム機にはない機能と性能を持っているものがPSPだという事に関して言えば、多分同意してもらえる。
 PSPというゲーム機にだけしておくのはもったいない。
 PSPをよく知る人からするとそうなる。
 だから。
 PSPの内部にアクセスできるポートを利用して普通のPSPでない使い方をする事で、PSPをゲーム機以外として、またあらゆるゲームを走らせる事のできるエミュレーターとして利用可能にする事を“ダレか”が始めた。
 もちろん、今となってはそれがダレだったかという事はわからない。
 パンドラバッテリは、そうした普通でない使い方をする為に私が必要としたアイテムである。
 なぜなら…私の旧型PSPはファームウェアを3.7に引き上げていたからだ。


 PSPがこの世に登場したとき、そのファームウェア(以後FWと略)は1.00だった。
 このFW1.00、実に穴だらけのもので、そうした改造する人からすると好都合なFWだった。
 ところがそれに気づいたSonyは、すぐさまFW1.50を搭載したPSPを投入し、既存の1.00を搭載したPSPにも1.50にアップデートするように仕掛け始めた。
 たとえば、あるゲームをプレイするためにはFW1.50でなければならない…といった細工である。
 ところが、このFW1.50にも穴があり、今ではとりあえず1.50であれば何ら問題なく改造PSPにしてしまえる状態になっている。
 ところがPSPはファームウェアを新しくするたびに新機能を搭載し、気がつけばファームウェアは2.80、3.00とどんどんとアップしていった。
 PSPの販売台数も伸び、最初から2.80を搭載していたり3.00を搭載していたりする個体も現れ、1.50を搭載したPSPは一時期プレミア価格が付いた程だった。
 しかし、そんな状況下でFWを1.50にダウングレードする方法を考えた人が現れた。ダウングレードする事で2.80を搭載した個体であっても1.50のFWさえデータで持っていれば何とかなる…そういう状況になった。
 次第にFWも公式のものにダウンするだけでなく、最初からカスタマイズされた非公式のカスタムFWなるものまで登場してきた。
 それでもSonyにも意地があるのか、いろんな手で改造してくる状況を打破すべく、あらゆる手段で改造できるポートを塞いできた。
 しかし…Sonyでもどうする事もできない方法を編み出した人が現れた。
 なんと…PSPのバッテリーの残量を調べたりするポートからFWの書き換えを可能にする方法を見つけたのである。
 そしてその時使用するバッテリーの事を“パンドラバッテリ”と呼んだのである。
 このパンドラバッテリ、おそらく今まで試行錯誤されてきた中では最強最悪のシロモノである。
 PSP本体のFWがどんなバージョンであろうともFWの書き換えを可能にしているようで、今まで基盤のバージョンで改造が困難だった一部PSPですら、書き換えてしまうらしい。
 パンドラバッテリを作るには、3つのものが必要になる。
 一つはバッテリー(パンドラ化すると普通のバッテリーとして使用できない)、一つはメモリースティックデュオ(マジックメモリースティック化すると普通には使えない)、一つは“FW1.50、もしくはカスタムFWを実装したPSP”である。
 …つまり、パンドラバッテリを自ら生み出すには、私は遅すぎたワケである。
 そんな私のようなニーズに応えるべく、ヤフオクなどではパンドラバッテリを売りさばくバイヤーが多い。
 価格は純正バッテリー+αといった感じで、以外と手軽に手にはいる。
 もっとも、マジックメモリースティックの容量によって価格差がつくという感じで、4GBなどになるとセットで10,000円ほどするケースもある。
 大体は6,000~7,000円くらいで手にはいるのではないかと思う。
 私は去年の暮れに赤PSPを衝動買いしたために現在新旧PSPを一台ずつ持っている。
 正直、普通にプレイするのなら新型PSPがあれば事足りる。
 だがそれでは旧型がもったいない。
 もともと、旧型はオリジナルのままだったらそのまま放置してもいいかもと思っていたが、ボタンが反応しなくなった段階で修理に出し、なぜか無線LANのMACアドレスが違うものになって帰ってきたため、おそらくもう初期モデルとは言い難いシロモノになってしまっていた。
 なのでここで改造しても問題ないだろ…と思い、改造を決意。
 現在は改造に向けていろいろ準備中で、完成の暁にはPSのソフトをエミュレータで動かし、モバイルPSにしてやろうと画策中である。
 …はてさて、改造は上手くいくのだろうか?

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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