KSRの応急処置&HondaJet

 KSRのセルが回らなくなったという問題、実は1ヶ月以上放置してしまっていた。
 9月22日にとりあえずプラグの掃除をして、セルが回らない事を確認したのだが、その際、私は単純に配線のどこかに問題が出たのだろう…と思っていたのだが、当Blogに来てくれたうめーさんやひろさんの「バッテリーでは?」という助言から、9月25日にはバッテリーのメンテを始めた
 その時、バッテリー充電器が電極版のサルフェーション化を解消しろと警告してきたので解決したのだが、結局そのままバッテリーを放置、KSRに搭載する事もなく今までそのままにしてしまっていた。
 我ながらさすがにコレではマズイ…と思い、本日再度バッテリーを充電しKSRに搭載したところ、無事セルが回るようになった。さすがうめーさんとひろさんである。私よりよくわかってらっしゃる(爆)
 ただ、アイドリング時は1,000rpm以下と非常に安定しないという問題は引き続いて残っているため、応急処置的に、キャブVM26のアイドリングスクリューを締め込んでアイドリング時に1,200rpm程度回るようにした。
 あくまでも応急処置であるため、ちゃんとしたキャブセッティングをしないといけないという事実には変わりが無い。…一人では無理なので、またうめーさんにヘルプだな、こりゃ(爆)

 さて、ここからが今日の本文。
 10月30日(日本時間)に、HONDAの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニーが、小型ビジネスジェット機“HondaJet”の量産1号機の生産開始を発表した。

 既に200機のバックオーダーを抱えるHondaJetだが、なぜそんなに人気かというと、恐ろしいまでの燃費の良さにある。
 6名乗機の同クラス機に対して約20%も低燃費であり、2,000km強の航続距離を持つ。なぜそんなに低燃費なのかというと、おそらく理由は2つある。
 一つはエンジンがHONDA独自開発であるという事。そしてもう一つが強靱なボディによって高高度13,000kmで飛行できるからである。


 エンジン独自開発。
 自動車の世界ではあまり珍しい話ではないかしれないが、航空機の世界ではまず考えにくい話である。通常の航空機でエンジンを自社開発するという事は、あのボーイング社でもやらないのである。
 一応、生産は航空機エンジンのシェア全米首位のGE社との合弁会社で行うというが、設計はホンダが主導している。そして出来上がったエンジンは、直径53.8cmのターボファンエンジンHF120で、航空環境保護委員会(CAEP)の基準値と同等以下の低排出ガス化を達成、さらに静粛性においてもCFR36のステージ4の要求水準も満たしているという、環境負荷の低減といった観点でも優れた特性を持つエンジンである。低排出ガス化が達成されているという事は、即ち高効率エンジンというワケである。

 このエンジンを主翼の上に2基配置するという双発機がHondaJetとなるのだが、このエンジンの配置にも独自性がある。
 通常、エンジンは胴体側面に配置するか、主翼下にぶら下げる形を取る。
 ジャンボジェットであれば、ほぼ主翼下にぶら下げているのが普通だが、小型ジェットの場合は通常は胴体側面に配置する。主翼下だと、地面との間に高さが必要となり、乗り降りにも不便をきたす為、通常は胴体側面となるのである。
 ところがHondaJetは主翼上に配置するという、実に変わった配置方法を採っている。
 もちろん理由はある。
 胴体側面にエンジンを配置すると、そのエンジンを支える部材を胴体部に持たせる事になり、胴体内のキャビンの広さを損ねてしまうばかりか、胴体の強度バランスが均一にならない。
 そこでHONDAは胴体側面に配置する位置そのものを維持し、エンジンの取り付け部位を胴体側面でなく主翼上にしたのである。
 しかもその主翼は強度を得る為にアルミブロックから削り出ししている。これは金属切削加工行に関わるものならわかると思うが、実に驚異的な話である。
 強度と軽量化を両立させるため、5mものアルミブロックから削り出しで数十ミリの薄さまで追い込んでいるのだ。この削り出し効果で主翼前縁付近にビスやリベットの類は存在せず、実に滑らかな空力特性を得られている。
 エンジンと主翼。この2つだけでも、HONDAは実に挑戦的な技術をひっさげて航空機業界に乗り込んできたのである。

 そして低燃費の理由2つ目の高高度飛行だが、これは胴体部の強度によって得られた結果である。高度が高くなると気圧が下がる為、機体内部から外側に向かって膨張しようとする力が強くなる。これを押さえ込む為の強度が必要なのだが、それをカーボン複合材を利用した材質で胴体を構成し達成しているのである。しかも一体成形というからスゴイ。
 高度が上がると気圧が下がるのは、空気が薄くなるからであり、薄くなれば空気抵抗が減る。だから燃費が良いのである。
 HondaJetは最大運用高度が13,000m、ジャンボジェットは12,000mというから、一般量産機でこれだけの最大運用高度を得られるという事が如何にスゴイ事かがよくわかるだろう。

 日本でも航空機産業が今ちょっと動きがあったりする。
 国内でのボーイング787のライセンス生産を三菱内で月産3機から10機にするという動きが6月くらいから出ているそうで、三菱内では従来機のサプライヤー化を急ピッチに進めているらしい。
 航空機は世界に5機飛んでいる間は部品供給を止めてはいけないというルールがあるらしいから、一端部品生産を開始すると25~30年は部品生産を辞めることができない=仕事が有り続けるという、超安定業種なのだという。
 但し、1部品を1ヶ月に3~20個程度しか生産しないため、部品点数こそ多いものの、生産という観点から見れば生産性は高くないのが現状だ。
 ただ、仕事は無くならないという強みがあるため、困窮している製造業ではそうした生産に対応できる仕組みを確立し、航空機業界に乗り込んでいく所もあるようである。
 日本国内ではパーソナルジェットという航空機は個人に売れる事はまずないが、海外ではそれなりの需要があるため、HondaJetのような民間に販売できる航空機の部品を日本メーカーが制作すれば、もうちょっと効率のよい製造が出来るのかもしれない。
 その先駆者として、HondaJetが先陣を切ってくれれば…日本の製造業もまだまだイケるのかなぁ…なんて思えてくる。
 ま、航空機業界に必要となる品質マネジメントシステムのJIS Q 9100の取得と運用はしんどいけどね(-_-;)

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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