PS4で不思議に思ったこと

 PlayStation4(以下PS4)がE3に登場した。Xbox Oneも同じく登場したが、こちらはデザインが先行して発表されていたため、インパクトという意味ではPS4の方が感じられたのではないかと思う。
 初お披露目となったPS4のデザインは、世間でも言われているがPS2の頃のソリッド感あるスタイルへと変化し、個人的にはPlayStationの原点回帰を行ったようなイメージがある。
 何よりこの薄さである。対するXbox Oneと比べても随分と小さく見えるスタイルであり、個人的には好印象である。

 中身でいうなら、処理能力的にXbox Oneと変わらない、という感じではないかというのは、以前から言われている。何故なら使われているCPU(APUというべきか)はPS4もXbox Oneもそう変わらないからだ。多少アプローチが違っていても、それが劇的変化を及ぼすとは言い難いだろうと思われる。
 ただ、両者が目指すベクトルは随分と違う。PS4はよりゲーム中心に主眼を置いたベクトルでユーザーに迫っていく。対するXbox OneはPS3が目指したホームエンタテイメントの中核という位置づけ。個人的にはPS4の位置づけの方が日本人には受け入れられるのではないかと思う。
 価格に関しては、PS4は上手いタイミングで効果的な価格を提示できているのかもしれない。Xbox Oneが499ドルに対しPS4は399ドルと100ドルの差が生まれた。もっとも、この100ドルの中にKinectが含まれているし、テレビのセットトップボックスを考慮している事を考えると、Xbox Oneが格段に割高という事はないだろうと思う。
 そんな両者に違いはあるが、私の目は既にPS4しか実は見ていない。オンラインへの常時接続が必要なXbox Oneに対し、オンラインは必須ではないとするPS4、そして中古ソフト対策を推進するMicrosoftに対し、中古ソフトを受け入れるとしたSCEA(現時点ではSCEAだが恐らくSCE全体の話になると思う)の温度差を考えると、よりユーザー視点に立ったのはSCE側であり、私としてもSCE側にどうしても好印象にならざるを得ない。というわけで、もし私が次世代機を購入するとするならば、現時点ではPS4一択という事になると思う。

 そんなPS4だが、スペックの中で不思議に思ったことがある。
 それが機能として持っているBluetooth通信機能のバージョンが2.1となっている事である。
 Bluetoothは現時点で最新が4.0(出力の問題で3.0+HSというパターンもあるだろう)となっている。当然、新しいものほど消費電力は少なくなっていて、特に4.0は劇的なまでに省電力化されていると言われている。なぜここで2.1止りにしたのかが気になる所。
 Bluetoothを調べて見ると、結構バージョン毎に有利な面と不利な面などがあり、そういう関係でPS4は2.1止りにしたのかもしれないと思う反面、従来のPS3の周辺器機に合わせて2.1にしたのかも…と邪推してしまう。もしPS3の周辺機器と合わせて…という事であれば、納得も出来なくはないが、そもそもPS3のソフトが動作しないPS4で統一する意味があるのか? という疑問も浮かんでくる。
 最終的には何かしらの意味があっての事だろうが、理解に苦しむ部分ではある。


 それともう一つ、不思議に思うことがある。
 それが前述の中古ソフト対策である。
 中古ソフトという存在は、新規開発する開発メーカー
からすると実に厄介な問題で、ソフトが売れない要因の一つとも言われている。ユーザー側からすると、安くないゲームソフトを複数人でシェアできるというメ
リットはあるものの、そもそもゲームをリリースするメーカーが潤沢な開発資金を得るためにはソフト自体が売れないといけない。つまり、中古ソフトでユー
ザーがシェアしてしまうとソフトの販売絶対数が伸びないというジレンマが生じる。
 この問題は、視点を変えると結論が真逆に向かう問題であり、ニ
ワトリが先か卵が先か、という問題と同義になってしまう。SCE側は今回ユーザーサイドに立った結論に向かったワケだが、当然そうなると開発側に問題を残
す事になる。SCE側はその問題をどうやって開発側で吸収しようというのだろうか?

 個人的には、クリエイターサイドは中古ソフトに対し
て守りに入ってはいけないのではないか?
という事をSCEは言っているように思えてならない。例えばだが、良質なソフトは中古市場に余り流れないし、結果的に販売数も伸びる。日本メーカーのソフ
トであれば、その良い例が“デモンズソウル”であり“ダークソウル”である。予想外の売れ行きを示し、超ロングセラーになったこれらの作品は、中古市場に
流れもしたが、新規に販売された数も非常に多い。
 つまり、SCE側とすれば、それだけ開発側に良質なソフトを作れ、という事を言っているように思えてならないのである。そしてその為のソフト開発支援をSCEが行う事で、中古ソフトに対するサポートとしようとしているように思える。
 ゲームというコンテンツを維持、あるいは活性化させる方法としては、至極真っ当であり、変に開発メーカーを擁護するよりは、より業界や市場を活性化させる手段ではないかと思う。
 ま、これらはあくまでも私が勝手にそう思っているだけの事であり、今回SCEAが中古ソフトを受け入れた真の意味とは違うかもしれない。
 
だが、開発メーカーを擁護しすぎると、所謂“駄作”が乱発され、コンテンツの全体品質を低下させてしまう。ファミコン時代には、それが顕著に表れた時期が
あったし、それ以降でも似たような流れは存在していた。表現力が増し、リッチなゲームを制作するにはゲーム黎明期の頃とは比べものにならないぐらいの予算
がかかると言われているが、その中でも“東京ジャングル”のようなソフトも登場している事を考えると、やり方次第で名作は生まれるワケで、開発メーカーは
守られるより淘汰される中で自己鍛錬して良質なコンテンツを生み出していく術を身につけないといけない…かつてコンテンツプロデューサーをしていた私はそ
う思っている。ま、私が優秀なコンテンツプロデューサーであったかどうかは別の問題だが…。

 とりあえずPS4は今年のホリデーシーズンには米国で発売されると言われている。日本でもクリスマス商戦に投入されるだろう。対抗するXbox Oneも同じような時期に投入される為、両者真っ向勝負が行われる事は間違いない。
 日本ではおそらくPS4が圧倒的優位になるのではないかと思うが、米国では果たしてどうなるか?
 生活スタイルや文化の違いもあるため、正直私では想像もつかない。
 今はその時期を座して待つのみ。
 今後の追加情報を心待ちにしよう。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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