久々に外国車が欲しいと思った…

私は基本的には車好きである。
自分で操作するあのフィーリングがとても好きである。
だから、基本的にはATよりもMTが好きだし、できるなら実用性が伴っている車よりも、スタイリッシュでスポーティな車に乗ることができるのなら、その方が良いと思っている。
そう考えていたからこそ、HONDAのビートなんて車に乗っていた時期があるわけで、あの車に乗ったという経験が、私の車人生を大きく変えたと言っても過言ではないと思っている。
ビートに乗って何が一番変わったか?
それはMT操作がとても楽しいものであるという事を知った事。カチッと小気味よく決まるシフトフィーリングは、当時HONDAのフラッグシップ車だったNSXよりも気持ちいいと言われていた(何かの車雑誌にインプレッションを書いていた人がいた)。実際、私もNSXに試乗する事があったが、ビートの方がフィーリングは良い感じに思えた。もちろん、エンジンパワーや吹け上がりなどの感覚はNSXの方が全然凄かったし、良いワケだが。
だが、そんな車を楽しく操作する、という事を誰もが体験してきたかというと、実際にはそうではないと思う。車の価格や、家庭の事情でスポーツタイプに乗る事ができる人は限られるのが世の中だ。
私は運が良かった。多分、そういう事なんだと思う。

そんな車好きの私だけでなく、世の中の車好きのほとんどの人は、実際の所はスポーツタイプの車が好きなハズだ。走る事に重点を置いた車は、そのスタイリングも実に官能的だし、機能美にも溢れている。
だが、世の中の流れはそうした車から遠ざかっていっている。
売れるか売れないか? 車メーカーとしては、それが全てとも言えるからだ。
今の世の中はミニバン全盛期。しかもエコである事が重要視されているため、高回転型のエンジンはことごとく消えていった。高回転でパワーを得るより、低回転でも過給してパワーを出すという方向性がよりエコな結果を生み出す事が分かってからというもの、コンパクトカーですらスーパーチャージャーやターボを搭載してきた。日産ノートや私が乗っているHONDA N BOXなどを見ても、その方向性がありありと見える。
だが、自分が意図した挙動をそのまま再現するには、NAエンジンは最適である。少なくとも私はそう思っている。そう考えると、今の車事情はそうした高回転型NAエンジンがほとんど存在しない。

ところが。
あったのである。私がコレと思える車がもう一台。
一つはトヨタ86(スバルBRZ)だ。水平対向4気筒2LのNAエンジンを搭載した、国産スポーツで、いいなぁ…と思いつつも86という名前に旧車のイメージを壊すような感覚がどうも馴染めない一台である。
そして今回見つけたのが、PORSCHEの911 GT3である。


正直言うと、私は国産車が好きである。
日本の技術が好きだから…というのもあるが、コンパクトでハイパワーなライトウェイトスポーツが好きという事もあって、排気量をガンガン増やす外国車より国産車の方が好きだったのだ。
だが、国産車が今この体たらく。スポーツタイプなんてほとんど姿を見なくなってしまった。
もちろん、それは外国車でも同じなのだが、ヨーロッパなどはそもそもスポーツタイプはブランド化している所が多い為、それでも高級車は根強く残っている。
そんな中見つけたのが、このポルシェ 911 GT3で、排気量は3.8Lと私好みではないにしても、水平対向6気筒のNAエンジンが搭載されている。
知っている人なら当たり前の事なのだが、実はこの水平対向エンジンで6気筒という所に意味がある。本来ならスバルも水平対向6気筒エンジンを開発したいハズなのだ。というのは、水平対向エンジンは6気筒の時にそのエンジンの振動を完全なゼロにする事ができるのである。
4気筒では完全にその振動を打ち消す事ができず、僅かな振動を残す事になるのだが、排気量やその搭載スペースを考えると搭載できる車種が限定されてしまい、スバルでは6気筒の新型BOXERエンジンは開発されなかった。
しかし911 GT3は、そのエンジンをリアに搭載してきた。まさに理想のスタイルである。

他にも4WSを搭載したり、MTを廃してデュアルクラッチシステムにしたりと、従来の911シリーズから大きく変わった点があるようだが、私からすると今回見たGT3が印象的(というか今まであまり眼中になかった…)。
本心で言えばスバルの水平対向6気筒エンジンが見たかった…というのもあるのだが、国産車では久しく見なくなったスタイルが、海外では生き残っているというこの現実を、私も受け入れる時代が来たんだな、とちょっと思ったワケである。

この911 GT3を見ていると、HONDA S2000が姿を消したのが本当に悔やまれる。
911 GT3は、リッターあたりの馬力が125ps、3.8Lで475psだが、S2000は2Lで250ps、つまり同じリッターあたり125psという凄まじいパワートレーンを搭載していた。より小排気量でこの域に達するのは難しいといえるが、HONDAはそれをやってのけていたのである。
2015年にHONDAはF1に復帰するが、それに向けて、またスポーティなHONDAをぜひ取り戻して欲しいところである。
私が911 GT3がいいなぁ…と感じるよりも先に、やっばり国産車だよね、と言える時代が戻ってくる事を、切に願いたい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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