Nikon 1 V3、登場

Nikonから遂に1 NIKKORカメラシリーズの最新型「Nikon 1 V3」が正式発表された。
発売は2014年4月としている。

やはり噂どおりのファインダーレス

前回、このBlogでも記事として書いた通り、新型Nikon 1 V3はファインダーレスというボディで発売される。
搭載するセンサーは、有効1,839万画素のニコンCXフォーマットCMOSセンサー。
感度はISO160-12800で、光学ローパスフィルターレス構造になっている。
ニコンダイレクトでの価格は、ボディ単体で9万180円(税込)となっており、標準パワーズームレンズキット(1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM付)が9万9,900円(税込)。さらにプレミアムキット(10-30mm PD-ZOOM、EVF、外付けグリップ付)が13万5,000円(税込)となっている。発売が4月になるので、この税込価格は8%の消費税込みという意味とは思うが、実際発売された後にそのあたりに修正が入る可能性はある。
ファインダーレスが残念でならない搭載するAFは「アドバンストハイブリッドAFシステム」をNikon 1 V2に引き続いて採用している。撮像面位相差AFとコントラストAFを併用し、測距点の密度を従来機より高めている。AF追従時の連続撮影は約20コマ/秒を実現し、Nikon 1 V2では同約15コマ/秒だったものから進化させている。AF非追従での連写速度は最高約60コマ/秒(いずれも電子シャッター使用)というから、連写性能は優れていると言える。
もっとも、この連写機能は動画からの切り出しで可能にしているのではないか? と邪推したりしている。正式なところはしらないが、以前のV2の時も動画技術から静止画を切り出して高速連写を実現していたと記憶している。今回もその流れではなかろうか。

一緒に発売されるレンズ「1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM」はレンズバリア内蔵の電動ズームレンズで、手ブレ補正機構も備えている。35mm換算での焦点距離は27-81mm相当にあたる。
電動ズーム機能と電動レンズバリアを搭載するレンズとしては世界初としていて、さらに電動ズームを搭載した交換レンズとしては世界最小・世界最軽量だとしている。
4段分の手ぶれ補正機能をレンズ内に内蔵し、レンズのカラーとしてはブラックとホワイトを用意するとしている。
レンズとしての完成度は高いと思うが、残念なのはフィルターが取付けられないという事と、フードを取付けられないという事。完全に手軽なスナップ撮影を対象としたレンズであると言える。

小さくても動画に強いカメラ

Nikon 1 V2の時もそうだったが、今回のNikon 1 V3はNikon製品の中でも動画という部分にフォーカスを当てた製品となる。
最大1,920×1,080/60pのH.264撮影が可能で、最高1,200fpsのスローモーション動画撮影も可能としている。
また動画撮影中にカメラが自動で静止画撮影するという「動画中おまかせスナップ」を新搭載した。静止画と動画を組み合わせた「モーションスナップショットモード」は、以前ではできなかった環境音の記録も今回は可能になったというから、どう考えても動画性能を引き上げ、それを静止画でも活用しているという構造なのだと思う。

個人的にいろいろ思う事

Nikon 1 V3は、個人的な話であれば、もっと早い段階で情報が出ていれば検討していた可能性のある機種である。
もっとも、その噂でファインダーが外付けになった、という段階で候補から外したかも知れないが、このファインダーレスという部分を除くとかなり高性能なモデルではないかと思っている。
まず、1型センサーでありながら、有効1,839万画素を持つ時点で、私が所有するE-M1を超える。
また、約20コマ/秒のAF追従連続撮影は、相当追従AF能力が高くないと実現できないと考えられるし、動画機能でもフルHDで60fpsの撮影ができる。性能としてはかなり高いといえるだろう。
また、搭載する画像処理エンジン「EXPEED 4A」は、約60コマ/秒でのRAWデータ保存が可能という高速処理と、大容量メモリーを持っているとの事で、そうした撮影したデータという面で見ても高性能と言える。
だが、やはりEVFを外付けにした時のこのデザインだけはどうも閉口してしまう。
このスタイリングがねぇ…もっとも、カメラとしてのその形は最近の新しいデザインで固めてきているため、カメラ然としたスタイルではないように思う。好みの問題で言うなら、もう少しレトロっぽくてもいいのだが、そこはNikonとしてNikon 1シリーズの方向性をレトロな方向に持って行っていないという事なのだろうと思う。

私は、デジカメはその性能とスタイリングの融合点に価値があると思っている。スタイリングはデザインと言い換えてもいいかもしれない。外観という見た目と、内部のシステムのデザイン双方を含んでのスタイリングだ。
デジタルである以上、新しいものは高性能になっていくが、カメラは光学特性がそこに連動しないとデジタル部分だけが高性能化しても良い写真は撮れない。
そういう意味で、デジタル家電やPCのように、単純にデジタル的に高機能・高性能であれば良いカメラとは言えないのだが、そうした全ての要素のバランスで最適なデジカメが決まると思っている。
そういう意味では、Nikon 1が私の中で良いデジカメと言えるかどうかという事については、今の所『良いカメラ』と思っている。
ただ、スタイリングが徐々に私が考える『良いカメラ』からハズレ始めてきている。まぁ、あくまでも私の趣向の問題だから、他の人からしてみれば非常に良いカメラという位置付けになるかもしれない。

まぁ、私はOlympusの OM-D E-M1を購入し、もちろん今の所後悔はしていないし、今回のNikon 1 V3よりもE-M1の方が好みであるから、何ら問題はない(価格はNikon 1 V3の方が魅力的だが…)。
そう考えると、カメラは車と同じくらいに何か一つの要素で善し悪しを決められないデバイスなのではないかと思う。
見た目だけが良くてもダメ。でも性能だけが良くてもダメ。そして中身のデザインも良くなくてはダメ。それもその人の視点で。
カメラは実にワガママな商品ではないかと思う。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. ruser より:

    性能は良いですねー。
    …性能はw

    高性能でコンパクトなカメラとしては良いと思います。…が、欲しいかと言われるとそんなことはなく、私だったらこの値段帯ならE-M10を選択します。
    フラットに近いボディとファインダーレスが個人的マイナス点。
    要するに、デザインが気に入らない訳ですがw

    特に外付けファインダーは「無いわー」って感じですw

    自分が趣味で使うものなら、やはりデザイン、性能、価格の折り合いが付いたものにしたいですよね。

    • アバター画像 武上 より:

      Nikon 1シリーズのセンサーは、1型と小さいのでボケ味を出すのが苦手になります。
      その点を問題としないなら、性能はとんでもなく良いと言えそうです。

      しかしデザインがカメラ然としていない所に引っかかる人は多いと思います。
      そういう意味ではNikon 1 V2はまだカメラ然としていたのかも…。

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