センサーシフトで高解像度?

来年2月に登場すると言われているオリンパスのE-M5の後継機だが、40MPという高解像度撮影が可能なようだ。

センサーシフト撮影?

センサーシフトと聞いて、まず最初に思い浮かべるのは手ぶれ補正機能である。センサーをぶれさせて手ぶれを補正するワケだが、今度のE-M5はこのセンサーシフトを利用して16MPのセンサーで40MP相当の撮影を可能にするという。
つまり、センサーを1/2ピクセルずらしながら複数枚の撮影をして、その後その画像を合成して16MPのセンサーでは撮影できないサイズの画像を生成する、というのである。
実にデジタル的な発想であるし、面白い試みではあると思うのだが、心配なのは「センサーシフトで高解像度を得る事により、本来の手ぶれ補正がどうなるのか?」という事である。
高解像度を得るためにブレ方向とは異なる位置にセンサーが移動してしまい、手ぶれ補正が効かない、となれば本末転倒である。もちろん、そんな事はメーカーも分かっているだろうから、そういう問題はないのだろうとは思うが、今一つ手ぶれ補正と併用できたとした場合の原理がよくわからない。
そういう小難しい事を考えないレベルで見たとき、たしかに魅力的な機能ではあると思うと同時に、なんだか光学的な要素からどんどんと離れていってしまうような気がして、私的にはちょっとイヤだなぁ、と思ったり。
センサーがデジタルである事で、撮影される画にいろいろとデジタル処理が施されている事は理解しているが、基本的にセンサーサイズで撮影されたものを出力する以上、そこには光学カメラと共通する部分が残る。
しかしセンサーシフトでの高解像度撮影となると、要するに撮影した画像の切り貼りであり、それは同じタイミングで撮影した画でないものを1枚の画にする、という事であるから、スチル写真といっていいのか私的にはかなり微妙に思えるのである。
シャッタースピードが相当に速かったとしても、センサーが一つしかなく、それを連続的に撮影している以上は違うタイミングで撮られた画を貼り合わせているワケであり、それを同時画とは言えないと思う。

一瞬を切り取る醍醐味

私はスチル写真というものは一瞬を切り取ったものだと思っている。
画の中に時間軸が存在してしまうと、それはもうスチル写真ではなく、映像である。もちろん、ブレた写真などは時間軸が存在しているようにも思えるが、それもわずかな一瞬を切り取ったものであり、決して時間の流れがそこに存在しているわけではない。
今回のセンサーシフト撮影技術は、残念ながら私が求めるような時間の切り取り方とは異なるように感じる。
具体的な技術要素が見えてくればまた変わるのかも知れないが、複数枚を撮影してそれを合成するという時点で一瞬を切り取るという要素とは異なるだろう。
但し、多重露光や長時間露光とは意味は若干重なるかも知れない。
星空の撮影や夜景撮影では、長時間露光によって効果的に面白い画が撮れるし、複数のイメージを多重露光する事によって面白い画が撮れる事は分かっている。これらは写真の中に連続した時間軸や複数の時間軸が存在する事になるが、今回のセンサーシフト撮影とはそもそも趣が異なる。
また、E-M10に搭載され、E-M1のver2.0以降に搭載されたライブコンポジット機能も、多重露光や複数枚の画像の重ね合わせという面で同じ仕組みではあるが、やはり趣が異なる。

たしかにセンサーシフト撮影は「高解像度」な画が撮れる技術ではあるが、この技術そのものは非常にライト感覚な機能に思えてならない。
スチル写真はもっと厳格な面があっても良いと思うし、もちろんライト感覚な面があってもいい。
ただ、その両者を一つのものとして捉えるのは、どこか崇高さとはかけ離れた所にあるような気がしてならない。

とりあえず実際のE-M5後継機が姿を現したとき、私にとってのベターカメラが新機種なのか、それとも旧機種になるのかを見極めたいと思う。
ベストカメラは今の所E-M1ではあるが、これも後継機が出る頃にまたイロイロと考える事になるんだろうな…。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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