EU離脱の大英帝国

先日、Bluetoothの記事でちょっと書いたが…

予測が当たった?

先日、Bluetooth5の記事を書いた時にちょっと触れたイギリスのEU離脱問題だが、私はその中で明言こそしなかったが、離脱機運が高まっている話をしつつ、離脱してしまえ的なEUの理不尽なまでの規制と税金のムダ使いについて書いた。
正直、私はイギリスは離脱した方が良いのではないかと思っていたし、EUそのものの存在に懐疑的なのだが、実際、イギリスで残留と離脱をかけて国民投票が行われた。
当初は残留も離脱も拮抗した展開だったが、最終的には離脱が過半数を超えるという結果におわり、イギリスはEU離脱に向けて今後進んで行く事になった。
私的には離脱してしまえーっ!と思っていたため、先日の記事にもEUの問題をメインに書いたワケだが、実際にそうなってしまったとなると、今後世界はどうなるのか? という事がちょっと気になってきた。
気になるのは、まず大英帝国と呼ばれるイギリスの今後と、イギリスが離脱した事によるEUの今後、そして今後の日本がどうなるのか? という3つの点である。

大英帝国、崩壊?

これは以前からいろいろ問題が他にも出ていたため、それが深刻化するのではないかと思ったのが、スコットランドの独立である。
スコットランドは元々イギリスという国を構成する大きな4つの国の一つで、グレートブリテン島の北3分の1を占める国だが、グレートブリテン王国が成立するまでは、単独で独立していた国である。
このスコットランドだが、スコットランドそのものはEU残留を希望していたと言われている。実際、投票結果でも62%程度が残留を希望していたようで、今回のイギリス離脱を受けて、スコットランドが独立するのではないか? と考えられるワケである。
日本は単一国家(これもいろいろ問題のある発言かもしれないが)であるため、あまり認識されない事ではあるが、連邦という構成をとっている国では、このように元々の構成国家同士の考え方が異なったりすると、一気に分裂する可能性が出てきたりする。
ソビエト連邦の崩壊にしても同じで、分裂した理由は異なるものの、結果ソビエト連邦への不信が原因で崩壊する結果を招いている。
だからスコットランドがEU残留を強く望み、スコットランド内部で住民投票などを行った場合、それでEU残留希望派が多数を占め、結果独立…という流れができても何ら不思議ではない。
こうなると、大英帝国(グレートブリテン王国)は大きく揺らぐ事になる。

EU崩壊?

イギリスのEU離脱によって、さらに懸念される事は、第2のイギリスが出てこないか? という事である。
つまり、EU圏の中でも経済的に優位に立っている国は、そのほかのEU圏の経済を支える側になる。つまり、支出金が結構大きな額になるという事であり、経済格差を埋めるためにそういった支出金の多い国の国民が血税を注ぐことになる。
もちろん、全てがそうだという事でもないのだが、イギリスはこのEUへの多額の支出金が問題視された事が一つの要因となり今回の国民投票に至った。
そうなると、経済的に支える側になっている他の国、たとえばフランスであったり、ドイツであったり、オランダであったり、そうした国々の国民も、イギリスと同じように自分達も残留と離脱を選ぶ権利がある、と主張する事になる。
実際、そうした主張が既に見られるようになったワケだが、もしこれでEU圏の他の国々でもそうした離脱の可能性が見られるような事になったなら、果たしてEUはその後存続できるのだろうか?
当のEU連合の議会では、崩壊する事などあり得ないというような風潮のようだが、EU連合の職員に対する厚遇がイギリス離脱の原因の一つである事を考えると、EU連合そのものの不信に繋がりかねない。
ただ、そうは言っても、今回のイギリスの離脱はイギリスだったからできるという事も考えられる。
そもそもイギリスは通過としてユーロを使わず、元々のポンドを通貨としていた。これが離脱を(比較的)容易にしているとも言えるわけで、既にユーロを通貨としている国々ではイギリスと同じように簡単に離脱という話はなかなかできない部分もある。
だが、EU連合の議会は血税に対する考え方を改めないと不信は決して払拭できない。
既にフランスなどでは、自分達にも選ぶ権利があると主張している人々が現れ始めているし、EU連合が問題ない、と言い続けるのもその実結構苦しいのではないかと思えてくる。
ドイツなどは経済的に苦しい状況から国民が決死の立ち直り策を実施し、今では経済が復興しているが、そこにはムダを排除してきた事実があるだけに、EU連合の議会の在り方は目に余るような気もする。
そうした国々に、今回のイギリスの影響が波及しないという事は非常に考えにくい話ではないだろうか?

政治的ショック

3つ目の気になる事の話をする前に、一つ明確にしておかねばならないことがある。
それは今回のイギリスのEU離脱は政治的ショックであって金融的ショックではない、という事である。
前述したように、イギリスは独自の通貨であるポンドを採用していて、共通通貨であるユーロを採用していない。
ポンドは完全変動相場制の通貨であるから、ポンド下落という事態になったとしても為替の調整で関税等をある程度コントロールできる。ユーロは為替の調整ができないため、イギリスそのものが今回金融的にショックを受けたとしても、立ち直れる要素は十分あると言える。
つまり、これは金融的にはショックではあっても大ショックではない、という言い方ができる。どちらかというと、政治的な部分のショックであり、そのショックの中に含まれるものが、キャメロン首相の辞任劇やEU内の他国離脱の問題である。
だから今回のイギリスEU離脱は、金融的ショックではなく、あくまでも政治的ショックである。この点を踏まえた上で、今後の日本がどうなるのか? という問題を見るひつようがある。

日本はどうなる?

実は今回のイギリス離脱による影響を間接的ではあるがもっとも大きな被害を受けるのは日本ではないかとも思える。
これは世界金融の話をすると見えてくるのだが、今、この影響を受けてユーロが値下がりして、逆に円が高騰し始めている。
ユーロが値下がりしたといっても、実はこれはものすごく堅い話で、大暴落という状況ではなかったりする。
それは前述したように、元々イギリスはユーロを採用していないため、通貨としてユーロが今回の被害を直接受けているわけではないからだ。

もし為替介入でドル資金を世界金融市場に供給するとしたら、そこで行われる方法は「ポンド買い・ドル売り」あるいは「ユーロ買い・ドル売り」を実施、という事になる。
しかし、日本の円はイギリスのEU離脱の余波で1ドル100円を割る円高となっている。このような日本が、世界各国と協調して「ドル売り介入」を実施するのは常識的に難しい…というか、自殺行為である。
では日本はこの円高をどうやって食い止めるのか?
今、この方法が見えていない。
現状に戻そうとするならば、全くと言っていいほど見えていないんじゃないかと思う。

私は、方法はどうすれば良いかはわからないが、何となく、現時点で日本円は1ドル90円台後半というのが妥当な時代がやってきたのではないか? と思ったりする。
別に円が高くなるのが当たり前とか言っているのではなく、世界金融を見たときに、日本の円の価値は揺らいでいないという事が言えるのではないかと思うワケである。
日本は、いつも何かしら米ドルとの比較で価値を見ているため、常にドル比価格を気にしている。
もちろんそれも重要なのだが、世界には他にも通貨があり、その通貨と価値を見直したとき、日本円の立ち位置が今までと同じであり続ける事は、もう難しいように思う。
日本企業はもちろん円安を望むだろうが、もう想定として1ドル95円程度の為替が当たり前という前提でビジネスを捉えていないと、今後は足下をすくわれると私は思う。
昔、ある記事で読んだのだが、日本企業が最も困るのは、円が安定しない事だ、という事らしい。
つまり、逆を言えば円高でもある程度落ち着いた変動幅に留まっていれば、それに応じたビジネスを展開していくしかない、という事である。
まぁ…私にはその方法が解らないし、その方法を考えるならば、この手法は政治経済学を学んだ人達の領域なのだろうが…。

何はともあれ、日本経済はアベノミクスで上手くいっている…という事はあり得ない。
よく言われている「有効求人倍率が上がっている」というのは、単純に労働力が不足し始めた余波が出てきているだけだろうし、どちらかというと個人消費は落ち込み、労働賃金も落ち続けている。
目に見える結果だけにとらわれていると、日本経済は単純にドツボにハマッているようにしか見えないわけだが、そこから抜け出すには、いろいろな英知をそこに注がないといけないように思う。
政治も金融も、もうアメリカを見習う時代は終わりを告げている。日本は独自の道を作っていく時代に突入したよう思えてならない。

今回のEU問題はそのうちいろんな余波が世界各国で見られるようになる。
日本はその時、どのように進んで行く事になるのか?
今の政治家は、その船頭としての能力を試されているように思う。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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