気がつけばネットのない生活はあり得なかった。
全ては7月2日から始まった
KDDIが7月2日から、au、UQ mobile、povo、au回線を使用するMVNOサービスにおいて、通信障害が発生していると発表した。
2日1時35分から発生していて、その範囲は全国に及び、音声通話やデータ通信が利用しづらい、というより使えない状況となっていた。
端末のアンテナピクトが立っていない表示になっていて、使えないと見た目でもわかるのだが、その状態でもデータ通信が出来たという話がSNSで成されていた事から、KDDIでは「使えない」とは言わず「利用しづらい」と案内していたと考えられる。
だが、大凡にして使えないという事実は変わりが無く、これによって全国規模で被害が出ている事が確認された。
事故が発生したのが週末という事もあり、週末に予定していた事が通信障害で出来なくなった、なんて人もいたのではないかと思う。
この通信障害の原因は、設備障害によるもので、音声通話(VoLTE)交換機での混雑(こういった大規模混雑を輻輳(ふくそう)という)だとKDDIは発表した。
7月3日にKDDI社長の高橋誠代表取締役が記者説明会を開催、謝罪し、その時の状況説明を行った。
原因は、当初はルーター機器の交換工事というメンテナンスを行っていたのだが、トラフィックルートの変更をする中で一部の音声通話が不通となってしまい、これを発端にルーターで障害が発生、VoLTEでの音声通話が使えないという状況となった。
この状況が発生した事で、トラフィックルートの変更を取り消し、ルートを取り戻そうとしたが、結果的にアクセスが集中して再接続要求が多発、全国規模で輻輳が発生したという。
発生時間が深夜帯だったにも拘わらず、この再接続要求が多発したのは、VoLTEでは50分に一度端末がNetworkに登録処理を行っている事から、使用者が使っていなくても一定の通信が実施されている事によって、接続要求が集中したと説明している。
通信できないために…
高橋社長の説明会は、一部の人には高評価を与えたと言われている。
通信障害を引き起こしたにも関わらず、高評価とされたのは、その技術的説明において、高橋社長が狼狽えることなく、自らの言葉でもって記者に説明していた姿が見られたからだ。
昨今のお偉方で、ここまで技術的な話ができる人はそう多くはないのではないかと思うので、技術者からすれば素晴らしい社長に見えたのかも知れない。私もこの技術的知識が豊富である事はもちろん評価したい。
だが、通信障害に対しての対応としてここまで問題を大きくしてしまったKDDIという企業に対しては、厳しい目で見ざるを得ないと思っている。
今や通信インフラは人の命を預かるインフラになっている。特に医療関係では、この通信が途絶する事で命が危険にさらされる事が起き得る。
医療機器が通信をするようになって、その通信にトラブルが起きないようにするのは勿論必要だが、医師との連絡まで専用回線という事はあり得ない。また、医療に繋がる介護関係でも同じ事が言える。
今や、通信インフラというものは、そうしたライフラインになっているという事をまず考えるべきで、今回のような大規模通信障害が起きたとき、そうしたインフラ不全による危険をどのようにして未然に防ぐかは考えておかねばならない話である。
ネットのない生活
命に危険が及ぶような通信インフラ問話はあるにしても、普通の生活においても、今やネットがない生活というのは、考えにくい時代になったのではないかと思う。
何か情報を調べたい時、サッとスマホを取り出して検索というのは、今や日常の事になっており、SNSで知人と連絡を取り合うのが当たり前になっていたりもする。
だから、ちょっとした待ち合わせでも今はリアルタイムに通信して落ち合う事になるわけだが、そこで通信ができなくなると途端に落ち合えなくなる。だが、よくよく考えれば、今から30年くらい前は別にケータイなどで連絡を取り合わずとも待ち合わせくらいは出来ていた時代である。
それが今や通信ができなくなっただけで、頓挫してしまう生活になってしまっている。
それがいけない事だとは言わないが、そういう自体が引き起こされるからこそ、通信インフラの重要性というものを甘く見てはいけないと言う事である。
正直、私も停電の時の会社に立ち会いで出勤した時は、何をどうしていいのやらという感じだったのを覚えている。
もう現代人はネットありきの生活しか思い浮かべられないんだろうな、と思う。
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