Zen4の姿が見えてきた

内部的な情報にはまだ噂のような話もあるが、現物が見えてきた。

対Raptor Lake-S

AMDがこの秋に発表する新型Ryzenの噂は、もうあちこちに出回っているが、ここに来て現物の写真が出回りはじめた。
海外のサイト「OC3D」や「VideoCardz」などにその写真が掲載されたのだが、その写真を見ると今まで発表スライドなどで見られた独特のヒートスプレッダが、そのままの形で写されている事から、間違いなくZen4、AM5スロットの写真だという事がわかる。
独特な形のヒートスプレッダ
(画像は「VideoCardz」より)
この姿を見るに、どうもこの写真はEngineering Sample(ES品)ではなく、製品版である可能性が高く、CPUそのものはもう完全に安定した製品として製造されているのだろう、と予想される。
これは噂だが、最近AMDはZen4の発売を9月末に遅らせたのは、Raptor Lake-Sの発表にぶつけるためではなく、BIOSの調整に時間がかかっているからだ、という事らしい。
つまり、CPUは生産されているものの、それをドライブするマザーボード側のUEFIの根幹となるBIOSで、動作クロック含めた動的な設定の調整に時間を掛けているものと考えられる。
今回のZen4、つまりコードネームRaphaelは、その動作クロックの高さが最初から取り上げられていた。AMDとしては初の5GHz動作を当たり前としている設定で、それ故にTDPも高めで、いくらCPUで電力効率を上げたとしても、システムとして消費電力が以前より上回るだろうと予想されている。
そもそも、当初よりRyzen9-7950Xと7900XではTDPは170Wとしており、Ryzen7-7700Xと7600XはTDP105Wとしている事から、今までよりも高い熱設計電力を設定しているので、CPUは高性能を引き出すために電力をより消費する、という方向性には間違いが無いと予想できる。
今の所、こうした施策を採ったとしても、結果的にベンチマークではRaptor Lake-Sの方が、性能は上回るだろう、と予想されているので、価格は結構Ryzenは安くなるのではないかと思われたが、結局蓋を開けてみれば円安とドル高の影響でRyzen 5000シリーズよりずっと価格は上になるだろうとされている。

AMDの強み

AMDの強みは何と言ってもCPUとGPUを自社で製造しているところにある。いや、Intelも今やGPUを自社製造していると言えるが現段階ではGPU二大巨頭に並ぶまでには至っていないし、AMDはその二大巨頭の一つであり、ディスクリートGPUをNVIDIAと渡り合えるレベルで製造しているワケで、それがAMDの強みである。
そんなGPUメーカーでもあるAMDが製造するRyzenはGPUのRadeonとの連携でいろんな事でメリットが生まれる。だからCPUの性能ではIntelの後塵を拝するとしても、総合力で結果的に扱いやすい、などという性能指標では見る事のできない部分で良さが出たりする事もある。実際には実運用でどのようにユーザーが感じるか、次第というところではある。
もしこれに価格的メリットが乗っかってくれば、初心者にもRyzenはとてもオススメできるものになるのだが、現状噂されているその価格でいくと、結構微妙なところが多い。
日本市場では、米国価格を単純にドル換算した価格にならないので、結果的に高くなる、という事が多い。
その影響がまともに出てしまうと、今回のRyzenは性能指標でも、価格でも今一つという事になりかねない。
性能でRaptor Lake-Sに届かないのであれば、できればコスト勝負でシェアを獲得してくれるといいな、と個人的には思っているが、さて、どうなることやら…。

まずは8/29のイベントで

AMDは8月29日にライブストリームイベントを開催するとしている。そのイベントで、Ryzen 7000シリーズの発表を行うとしており、恐らくではあるがそのイベント内でSKUや更なる情報を公開すると考えられる。スペックについても、まだ公開されていない情報が出てくる可能性は高く、新たなメリットが示唆されると思われるが、残念ながら製品が市場に流通するのは9月末になると考えられる。
以前の噂では9月15日だろうという話もあったが、結果的に前述したようにBIOSの調整に時間を掛けている事から、Raptor Lake-Sの発表にぶつける形で製品発売が行われるとみられている。
最終的には正式な情報を待つしかないが、消費者にとって恩恵ある内容で発表される事を切に願いたい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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