自作PCの電源を考える

今まで深く考えていなかった事だがとても重要。

考え方から変える

自作PCにおいて、電源という実に地味なパーツを購入するにあたり、今まではその選択基準はとにかく変換効率が良いという事、そして消費電力の合計がその電源ユニットのワット数内に収まっている事という2つのみ見て選んでいた。
だが、これは大きな間違いだという事に今更ながら知った。
長年、自作PCに携わってきたというのに、電源というものを真剣に考えてこなかったのはもちろん私の落ち度だが、案外知られていない事なのかもしれない。
変換効率の高いものというのは間違っていないが、出力数の考え方はそもそも表記されているワット数で考えてはいけないというのである。
例えば、私は今まで、自分のPCで使用する電力をパーツ毎にある程度想定し、その合計値に収まるワット数の電源を購入していた。いや、実際にはそれよりも大きい出力数の電源を購入していた。
だが、実は電源というのは、通常消費する出力数の半分の出力時にもっとも変換効率が良くなるので、できれば自分の構成PCの消費電力を割り出したなら、その倍の出力容量を持つ電源を購入するのがもっとも正しい買い方になるらしい。
で、そういった構成パーツから適正な電源容量を計算してくれるサイトがある。

ドスパラ 電源容量計算機
https://www.dospara.co.jp/5info/cts_str_power_calculation_main#ch2

電源容量計算機

上記サイトにもいろいろ解説が書かれているが、とにかくまず自分が想定する構成パーツの近似値を上記計算機に入れると、使用電力目安が表示され、その倍の出力数の電源が紹介される。
これによると…私が次期メインPCとして構成する内容を照らし合わせると、なんと使用電力目安で604w、つまり1200w電源が理想という事になった。
これは私が考えていた製品より400wも多い出力数である。

CPUとGPUが圧倒的

ただ、この計算機に入力したデータは、今後最大限にデバイスを接続した際の数値である。ストレージにしても、当初はM.2 SSDも1~2枚程度だろうし、HDDもせいぜい1基くらいしか接続しないと思うが、今回M.2 SSDは4、SSDが2、HDDも2という数量で計算機に入れている。
また、ケースファンにしても吸排気で4基組み込む事で計算しているので、ここらへんで僅かながら過剰に数値が出ていると言える。
だが、そうしたパーツの差し引きを組み入れたとしても、大凡600wという枠組みは意識しなければならない。結局、前述のサイトのガイドに従えば1200wの電源をチョイスするという事になるだろう。
というのも、消費電力においてはやはりCPUとGPUの消費が圧倒的だからである。
特に昨今のCPUは発熱が落ち着いていればブーストしてクロックを引き上げ、消費電力を増大させる傾向にあるため、総じて高パフォーマンスではあるものの、同時に消費電力が大きいと言える。この仕組みがある以上、電源出力は大きめのものを選ばざるを得ない事になる。
こうした事情から、昨今は普通に1000w以上の電源が商品として増えているという理由になっているのではないかと思う。

80Plusマーク

電源の変換効率を認定する80Plusマークというものがある。
この80Plusマークは、Standard、Bronze、Silver、Gold、Platinum、Titaniumとランクがあり、最高ランクのPlatinumまでの段階で、それぞれ負荷率に合わせた変換効率が定められている。
Standardだと、負荷率20%、50%、100%どの負荷率であっても、変換効率は80%が定められており、それがBronzeになると負荷率20%で82%の効率、負荷率50%で85%の効率、負荷率100%で82%の効率と定められている。
こうしてランクが上がる度に変換効率も引き上げられていくのだが、このマークでわかるのは、製品が一定のテストを受けて認定を受けているという事。
実際の運用の際に計測すると、必ずしも認定時の結果と同じになるとは限らない。
というのも、一例で考えるとよく分かる。実際には緻密に計算する必要があるとは思うが、大凡にして実測するとGoldとPlatinumは誤差範囲というレベル。
しかし、Platinum認定はGoldよりも認定にかかるコストが高いので、結果商品としてもPlatinumランクは価格が高い事になる。
そうして考えると、皇都パフォーマンス的にはGoldを選んでおけばほぼ間違いは無い、という事だろう。
今まで、私は比較的Platinumランクの電源を買う事が多かったが、実運用でGoldと誤差レベルなら、あえてPlatinumを選ぶ理由はないように思う。
ま、安心を買う…という感覚みたいなものだが、その差が2%程度なら、誤差も何もあったものではないのではないかと考える。

今回、改めて電源というものに真っ正面から向き合ってみたのだが、知らない事がボロボロ出来てきて、改めて知っておくべき知識だと感じた。
自作するならこれぐらい知っておけよ、という事なのだが、今回で得た教訓は、何でも高ければそれでいいという事ではない、という事。
コストが全般的に高くなっている今だからこそ、正しく理解して製品を選ぶ必要があるという事だろう。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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