士郎正宗氏の作品“攻殻機動隊”で印象的なイメージと言えば、ほぼ間違いなく光学迷彩で主人公が景色に溶け込んでいくシーンだろうと思う。
光学迷彩と言われる、周囲の景色と同化する技術だが、実際に全く実現できない技術というワケでもない。
というか、この作品に感化されて研究している人もいる。
つまり、それほど手に届かない技術ではなく、また手に届いていない技術でもある。
10月23日～26日に、お台場の日本科学未来館で、CGや3D映像、ゲームなどの最新デジタルコンテンツを紹介する“DIGITAL CONTENT EXPO2008”が開催されている。
その展示の中に、光学迷彩の一つの形が展示されている。
これがそのデモンストレーションだが、見てわかるだろうか？
慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科の稲見昌彦氏が手がけたもので、攻殻機動隊をヒントに開発したそうである。
ただし、原理は攻殻機動隊とは異なっていて、道路標識などに使われている“入ってきた光を同じ角度で反射する”性質のある「再帰性反射材」を使って服を作り、背景となるバックスクリーン(静止画)をカメラで撮影、その映像をプロジェクタで投影する。
その作られた空間内に、先ほどの服を着た人が入ると、服の部分に先ほどの背景が写り込み、人が景色に同化するという仕組みだそうである。
impress AV Watch
光学迷彩も登場する「DIGITAL CONTENT EXPO」が開幕
この技術の問題点は、現時点でプロジェクタと同じ方向から見ないと効果がないと言うことで、実際に迷彩服として使用する事にはまだかなり問題があるという事。
ただ、現在の技術でもプロジェクタが映し出す映像が静止画でなく動画が可能であれば、車のバックモニターを大幅に改良できるとしている(詳しくは上記リンク先を参照の事)。
この光学迷彩以外でも面白い技術がいろいろと展示されている。
裸眼で立体視が可能なディスプレイなども展示されていて、中々に面白い。
中には私が2年前に東京ビックサイトのヴァーチャルリアリティ展で見た、床面に水を投射し、そこを歩くとリアルタイムに波紋アニメーションを重ねる技術なども展示されているようだ。
結局は人間の目を欺いて、そう見えるようにしている技術…とも言い換えることが出来るかもしれないが、より利便性の高い技術として確立するものが大多数であり、これから先に可能性を感じるものばかりである。
特に光学迷彩や立体視ディスプレイなどは興味が尽きない。
これからの技術開発に期待したい。
最近のコメント