1.4MB

 データを持ち歩く際、最近はUSBメモリやフラッシュ系シリコンデバイスを使う事が多い。多分、それは私だけの話ではないハズだ。
 だが、それらのデータを誰か別人に渡すとなると、USBメモリやシリコンデバイスをそのまま相手にプレゼント…という人は多分そんなにいないと思う。
 まぁ安くなっている今であれば、そういう人もいるかもしれないが、まだ抵抗がある人の方が絶対数は多いと思う。
 これがCD-Rだったなら、多分すんなり相手にプレゼントという事もあるだろうが、持ち出すデータが小さいと、CD-Rを使う事にも多少なり抵抗がある(少なくとも私は)。
 データサイズが1.4MB以下であるならば、未だフロッピーディスクという選択肢が残るワケだが、コレにも問題はある。
 最近の時流というべきか、FDDを搭載していないPCなんてのが存在しているわけで、ノートPCなどは既に搭載しているモデルが存在しないという世の中である。
 しかも1.4MBなどという中途半端な容量だと、最近はメールに添付すれば事足りる世の中。
 詰まるところ…既にフロッピーディスクというのは、使い所がなくなってしまったメディアに他ならない。
 そんな売れないメディアを延々と作り続けるワケにもいかないのがメーカーであり、メディアメーカーの大手の一つ、三菱化学メディアが2009年3月末をもって3.5インチフロッピーディスクの販売を終了すると発表した。


 私が最初に触れたパソコンはまだフロッピーディスクすら搭載されていなかった。
 カセットテープに記録していた時代で、一つのゲームをロードするのに最低10分、長ければ30分はかかる時代だった。
 その当時のパソコンは高すぎて私の家にはなかったのだが、友人宅でその30分の時間を待ち焦がれていたのを記憶している。
 その後、その同じ友人宅に5インチのフロッピーディスクドライブが搭載されたパソコンがやってきて、初めてフロッピーディスクというものを見たのだが、カセットテープ時代にあれだけ待たされていたロード時間がわずか数分で終わってしまったのを見て驚愕した。
 今でこそ容量が小さく速くないと言われているフロッピーディスクは、当時では恐ろしいほど大容量で高速なメディアだったのである。
 容量的な問題や速度的な問題は、それらを構成する部品の性能や精度の向上と共に全く別のデバイスへと変わっていった訳だが、フロッピーディスクの果たした役割は大きいと私は思っている。
 少なくとも円盤状のものに同心円状に記録するという方式は、今でもHDDで原理的に同じ事をやっている。
 この発明がなければ、今のPC業界は成立していなかったとすら言えるだろう。
 そんなフロッピーディスクも国内ではSonyと日立マクセルはまだ生産するようだが、それもいつまで続くかはわからない。
 時代と共に新しくより都合の良いメディアが生き残っていくわけで、フロッピーディスクはそろそろその役目を終わろうとしている。
 今の時代に使い捨てのように使われるメディアは、容量的にCD-RやDVD-Rが引き継いでいる。
 中途半端な容量であっても、この二つのメディアに変わるものが存在しない以上、この二つのメディアが主力になるに違いない。
 コンピュータ関係の仕事をしている人からすればこんな事は極々当たり前の事かもしれないが、そうではない産業区分に生きる人からすると、このフロッピーディスクからの切り替えはまだ当分続いていく。
 そしてフロッピーディスクというものが店頭から消えたとき、多分その切り替えは完全に終了するのではないだろうか。
 まだ道のりは長いとはいえ、見えている結末。
 終わったワケではないのだが、お疲れ様と今のウチに言っておきたい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. アバター画像 ruser より:

    ホントお世話になりました。m(_ _)m
    私が初めて触れたPCには既に5インチFDDが2つ搭載されていました(テープは後々X1-turboで知りました)。
    ペラペラで黒い円盤を入れると何か動く。当時の私にはその程度の認識でしたが、それでも凄いと感じましたっけ…。
    変な人だけどフレキシブルディスクを発明したDr.中松はエライ!

  2. アバター画像 武上 より:

     ドクター中松がフロッピーディスクを発明した…と世間的には思われているが、実はそれが間違いだと言うことをつい最近知りました orz
     実はドクター中松が考えたのは、ジャケットの中に記録媒体を入れ、穴をあけてそこから記録媒体にアクセスするという、形(意匠)の権利を持っているに過ぎないそうです。
     いわゆる意匠権ってヤツです。
     IBMはそもそもドクター中松からその権利を買わなくても問題は無かったらしいけど、後で揉めるのがイヤという理由からドクター中松にその許可を取ったという事らしいです。
     つまり、円盤状の磁気媒体にデータを記録するという本来の権利はIBMのモノだそうです。
     …結構誤解してる人多いと思うけど、真実はそんなところ。
     これでアノ人はジャンピングシューズで飛び跳ねる変な人という格がまた一つ上がったという事で(爆)

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